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2023/02/08

作家の万城目と作曲家の万城目と

 ← 『オセロー―シェイクスピア全集〈13〉』(松岡 和子【訳】ちくま文庫) 「元老院議員ブラバンショーの娘デズデモーナと結婚し、幸福の絶頂にあるムーア人将軍オセロー。だが、部下イアゴーの策略により、その幸せは無残な結末を迎える。(中略)オセローは嫉妬に狂った末に―。シェイクスピア四大悲劇の傑作を待望の新訳で。」

オセロー―シェイクスピア全集〈13〉』を昨日読了。松岡和子訳シェイクスピアは二冊目か。昨日、三冊目を早速買ってきた。

 松岡和子氏は、「1942年、旧満州新京生まれ。東京女子大学英文科卒業。東京大学大学院修士課程修了。翻訳家・演劇評論家」だとか。海外の小説や戯曲は登場人物の名前を覚えるのが億劫になって、敬遠気味になっている。それでも、世評の高さもあり、昨年から徐々に松岡版を読み出している。

 人物紹介が載っているので、最初は(ずっと?)頼りっきり。それでもいざ読み出すと一気だった。愛と嫉妬の物語。人種差別の気味もある? さすが劇的な…というか戯曲なんだから劇なのは当たり前だが、怒涛の展開で、息が苦しいくらい。こういう悲劇に至るしかなかった…と思わせる説得力がシェイクスピア劇にはある。

 最後は帳尻を合わせたようなのが、観客へのサービスなのか、古典とされる故なのだろうか。

 現実には、事の真相など当人にだってわかりゃしないはず。傍白の言葉が戯曲の場合の登場人物だけしか分からないはずの本音であり、小説での背景説明に相当する箇所なのだろう。が、現実では独り言は盗聴したって他人に知れるはずがない。歴史も現実の事件も調書に、あるいは判決文に書かれた文言が事実とされていく。

 人間は言葉があるがゆえに人間なのだろうが、同時にその言葉に呪われたりもする。真実は執念という情熱で示すしかない?

 

 万城目学なる売れっ子作家の名を折々この読メでも。字面からロートルの我輩は、戦前戦後に大活躍した作曲家の万城目正をつい思い起こす。比較的珍しい名前だし、何か縁戚関係ある?

 調べてみたら、(Wikipediaでの情報では全く?)関係なし。そもそも字面は同じだが、作家の万城目学氏は、大阪出身で「まきめ」であり、作曲家の万城目正氏は、北海道出身で「まんじょうめ」と読む。まあ、遠い先祖までは分からないが、取り敢えずは無縁なのかな。 (02/08 14:33)

 

 高山宏著『鎮魂譜: アリス狩りVII』(青土社)を入手した。

 内容案内:「卓越した問いかけには答えはない。一期一会の出会いから、時代精神を共有し解答探究の喜びを懐かしむ。 五輪・コロナ禍の空虚さと熱狂の渦中、何処を目指してわれらは生きるべきか? その曖昧な不安と期待を、タカヤマ魔学という奇想天外の文化観が、快刀乱麻の如く応答する。立花隆・安野光雅ほか近年鬼籍に入った学者、美術家、デザイナー、歌人などの偉業に共振し、捧げられた熱烈なエールとオマージュを中核とした希望と可能性の書。」 

 高山宏のことを知ったのは、不思議の国のアリスの翻訳だったか。それともかの浩瀚なる「風景と記憶」の翻訳書だったか(拙稿「アルトドルファー追記」など参照)。しかし、我輩は同氏のことをまるで知らないできたのだ。

 たまたま戴いた商品券のお陰で、多少の余裕が出て、普段なら(最近の自分なら)素通りする哲学思想の一角を物色して本書を手に。これでいつでも読める。 (02/08 16:05)

 

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 松井 孝典著の『地球外生命を探る 生命は何処でどのように生まれたのか』(山と渓谷社)を昨日から読み始めた。

 30年ほど前、大著「宇宙誌」を読んで以来、松井氏の消息を追ってなかった(というかほとんど欧米の宇宙論の本ばかりに)。現役を離れられた……? 

 とんでもなかった。久々同氏の本(新刊)を昨日書店で目にして思わず手にした。火星の衛星フォボスからのサンプルリターンプロジェクトにも関わっているとか。(火星からの)微生物の発見が期待されるとか。 (02/08 16:32)

 

 自宅では、相変らずべッセル・ヴァン・デア・コーク著の『身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法』(紀伊國屋書店)を読み続けている。明日には読了か。約二週間! 合間には小説や上掲書を読んで気分転換。

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