ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ
← 三浦佑之著『古事記の神々 付古事記神名辞典』( 角川ソフィア文庫) 「なぜ出雲神話は詳細に書かれたのか? なぜヤマトタケルは悲劇の英雄なのか? 古事記には「滅びゆく者を見守る」思いがある。そこに記された敗者たちの記録とは。」
年が明けた。年賀である。謹賀新年…というにはあまりに例年通りの暮らしぶりが既に始まっている。大晦日は仕事。未明に帰宅し、洗濯。まずは洗車用の雑巾類。ついで、ワイシャツや普段着などの洗濯と二回。
大晦日は買い物に行かなかったし、元旦はスーパーが休みなので、ありあわせのもので食事。幸い、親類からのもらい物があったので、冷蔵庫の中を片付けるように雑多なメニュー。もらい物は、普段目にも口にもしたことのないものばかり。舌がびっくりしそう。
徹夜仕事の翌朝は、いつものように寝たり起きたりを繰り返し、暮れなずむ頃になってようやく目覚めてきて、チャールズ・C.マン著の『魔術師と予言者――2050年の世界像をめぐる科学者たちの闘い』や小泉 八雲著の『日本―一つの試論』をとっかえひっかえ読み進めた。ミネルヴァの梟だ。意味合いは歪曲しているが、「ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ」のだ。睡眠障害を持つ者の通弊だが。
繰り返しの愚痴になるが家の中が寒い。暖房効果のため、茶の間での食事(テレビ鑑賞)の時間以外は、三畳ほどの書斎に籠りっきりである。エアコンだけが吾輩を暖めてくれるのだ。
三浦佑之著の『古事記の神々 付古事記神名辞典』を昨年末、それこそ大晦日の日に読了した。僅か2年ぶりの再読である。
再読でもあるし、今回は「古事記神名辞典」も丁寧に読んでみた。数々の神々が(特に)古事記には登場する、その語り口が面白い。
内容案内(「なぜ出雲神話は詳細に書かれたのか? なぜヤマトタケルは悲劇の英雄なのか? 古事記には「滅びゆく者を見守る」思いがある。そこに記された敗者たちの記録とは。」)にもあるように、「古事記」の「日本書紀」との大きな違いは、出雲神話が詳細に書かれていること(逆に言うと、日本書記からは出雲神話は削除された)。
三浦氏も常々強調されるように、記紀神話という文言は大きな誤解を与える。古事記の本文は712年頃には完成されていたとしても、その序文は後世付されたもの、というのが三浦氏の予てよりの主張。
序文にある、天武天皇が編纂をもくろみ、「数十年後に元明天皇の命令を受けた太朝臣安万呂が、稗田阿礼の誦習(しょうしゅう)する「勅語の旧辞」を文字化した」という記述を事実と見なしてきた。
三浦氏は、古事記序は後世の偽作であると見做している。これは、小生のような古代史にも無知な人間でも、古事記の序の文章は文字使いからして到底七、八世紀に書かれたとは到底思えない。
情けなくも小生は「日本書紀」は一度も通読したことがない。正史としての資料的価値などは重いとしても、読んで面白くないのだ。藤原氏の都合のいいように歴史が改竄されている。その最たるものが出雲神話の抹殺なのだ。
それはそれとして、古事記は稗田阿礼(か誰か)の誦習(しょうしゅう)する「勅語の旧辞」が原点にあった。平家物語じゃないが、歴史に消されていった者たちの思いが濃く描かれているのだろう。
神々の名に出自たる朝鮮の面影が残っているだろうことも興味深い。その点を突き詰める研究もされているに違いない。
← 今年送った年賀状の一つ。添え書きには、「今年は13回忌法要とギックリ腰の一年でした」と。
一昨年までの複勤(日に21時間勤務を月に12回)から、日勤(日に8時間15分勤務を月に22回)へと勤務体制変更。新しい日常の生活リズムが1年経っても掴めない(夜間勤務でもあることが大きく左右している)。
当然ながら、通勤の準備や帰り支度なども12回から22回に(出勤は夕方のラッシュ時。土日はその分、気が楽だ)。夜勤の人間が少なく、有休が取りづらいことも難儀だ。 (01/01 22:05)
先月(師走)も多様な本を楽しめた。苦手な経済社会分野も。その分、文学系が減った? 2022年12月の読書メーター 読んだ本の数:14冊 読んだページ数:5148ページ ナイス数:5146ナイス ★先月に読んだ本一覧はこちら→ 「2022年12月の読書メーター: 壺中水明庵」
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