微風快晴…書店へマイクロツーリング
← エドワード・ブルック゠ヒッチング 著『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』(高作 自子 訳 ナショナル ジオグラフィック) 「「最上級の奇書を並べた本棚をつくるとしたら、いったいどんな本が選ばれるのか?」 本好きなら時間を忘れて没頭するこの上ないテーマについて、古今東西の奇書を渉猟し、歴史に埋もれていた珍本を発掘し、豊富な図版を集め、古書マニアの本領を発揮してその魅力を縦横無尽に語る。」
10日は休日。前回の休日は6日だったが、その日は庭仕事に全精力を奪われ、読書の点では災難の日だった。
今日はというと、快晴微風でお出かけ日和(庭仕事日和でもあるが…)。ミニツーリングしたいという思いもあったが、この頃の再読本の連続にやや辟易気味で、そろそろ新しい本をという欲求を満たすことを優先した。
いつもの紀伊國屋書店ではなく、富山に本店(本社)のある文苑堂の豊田店へスクーターを駆って。その帰りもわざわざ遠回りして帰った。ミニじゃなく、マイクロツーリングである。
文苑堂は数年前まで折々利用していたが、通うたび、サービスが省エネ。立派な紙袋が、ビニール袋になり、ついにはその袋も買わないとくれない。三万円も買ったのに。
しかも、店員はあくまでバイトでたまたま書店で働いているという感が強かった。
本の扱いがぞんざい。レジで積み重ねた本に彼女の肘が触れ、何冊かが落下。黙っているとそのまま。当然、本には傷や凹みが生じていると容易に想像できるのに。本を愛する気持ちは皆無。その本は買えば吾輩のものになるという思いに至らないのだろう。
レジでビニール袋を買わせられるのが癪で、バイクに常備してあるビニール袋を持参。さすがに3万円もの本となると、袋が破れそう。だからといって、店員が何かしてくれることもない。
買い物をしておカネを落とすなら、地元資本の店に、が吾輩のモットー。スーパーでも本店(本社)が富山にあるかが、店の選択の基準。紀伊國屋書店は、富山じゃない。あとは中田書店か。選択の余地が少なくて苦しい。
遠回りしていつもとは違うスーパーで買い物。「とやまアルペン乳業」のコーヒー牛乳を期待して。いつもの店からは、今月から牛乳は依然として売ってるが、コーヒー牛乳は店頭から消えてしまったのだ。が、その店にも売ってない。がっかり。トーストがまた食べたくなったので、食パンや総菜を少々買った。
帰宅して、車道沿いの生垣の柘植やバラなどの剪定。高枝鋏などを使って。30分余りだが、今日は寒さも和らいでいたこともあって、服装もバイク仕様だったし、汗びっしょりに。
エドワード・ブルック゠ヒッチング 著の『愛書狂の本棚 異能と夢想が生んだ奇書・偽書・稀覯書』を10日朝方読了。読んだというより眺めた…という感が強い。
「不可解な事象、奇人変人、世界を欺いた事例など、「奇書」にまつわる珍妙な話や驚くような事件が次々と登場する。ヴォイニッチ手稿や台湾誌といった世界的に有名な奇書から、フォルツァス伯偽目録事件やヴィクトリア朝時代に俗語を収集した人物、中世宗教書の奇抜な事件」から、更には「人の皮で作った本のブーム、フセインの血のコーラン、国を挙げての大騒動となった宝探しの本、秘密結社の奇抜な規則が書かれた本、非常に美しいでっちあげの図鑑、宗教にまつわる突飛な奇蹟、偽予言者の本、地獄を描いた本、誤った科学を伝えた本、巨大な本、極小の本など。」
決して貴重な意味での稀覯書を集めたわけではないので、注意ご用心。ひたすら好奇心で手にした。やたらと重たい。重さの割に本としての綴じ方の強度が足りない気がした。
← A.R.ルリヤ 著『偉大な記憶力の物語 ある記憶術者の精神生活』(天野 清 訳 岩波現代文庫)「人並みはずれた鮮明な直観像と,特有の共感覚をもったその男は,忘却ということを知らなかった.(解説=鹿島晴雄)」
A.R.ルリヤ 著の『偉大な記憶力の物語 ある記憶術者の精神生活』を9日(水)、仕事の車中にて読了。数年ぶりの再読。
「直観像と共感覚をもつその男は,忘却を知らなかった.電話番号を舌で感じ,コトバの音から対象の意味を理解する.想像によって手の体温を変える.直観像を利用して課題を鮮やかに解決する一方で,抽象的な文や詩の理解はひどく困難.特異に発達した記憶力は,男の内面世界や他者との関わりに何をもたらしたのか」といった内容。
先月、これまた数年ぶりの再読となるオリヴァー・サックス著の『意識の川をゆく: 脳神経科医が探る「心」の起源』で、改めて読みたくなってしまった。
著者のアレクサンドル・ロマノヴィチ・ルリヤ:「1902‐77年。カザン生まれ。カザン大学を卒業後、モスクワ大学心理学研究所に室長として勤務していた折にヴィゴツキーと出会い、ヴィゴツキー、レオンチェフとともに高次精神機能の文化・歴史的理論を創設した。(略)モスクワ第一医科大学に入学し、失語症に関する研究を始め、学位を取得。長年の失語症研究を基礎に、心理学の新しい分野である精神心理学を切り開いた。1945年より、モスクワ大学教授として、研究・教育の両面で広範な分野にわたって活躍した。」
学校の試験のたび、ああもっと記憶力が良かったならと慨嘆していた凡人たる吾輩には想像も及ばない世界。
通常の感覚領域を超えて言葉から音や風景、数字に勝手につながっていってしまう。通常の生活も会話も困難だろうことは容易に想像が付く。A.R.ルリヤが長年根気よく被検者に付き合い観察し研究したそのこと自体が素晴らしかったともいえる。
詩人ランボーの「母音」« Voyelles»なる誌はあまりに有名だ。「A 黒、E 白、I 赤、U 緑、O 青:母音、 いつの日か、お前たちの潜在的な誕生を語るだろう。」(「ランボー「母音」 Rimbaud, « Voyelles » ボードレールを超えて Au-delà de Baudelaire – LA BOHEME GALANTE ボエム・ギャラント」など参照。)
ランボーに共感覚や尋常ならぬ直観力があったかどうかは分からないが、本書での被検者はその域を遥かに超えている。本書は詩的センスのある人が読んだなら、凡人の吾輩には思いもよらないどんな感想を抱くか聞いてみたいものだ。
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