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2022/10/24

ぐったり三昧の一日

   ← フィリップ・ジュリアン 著『世紀末の夢 象徴派芸術』(杉本秀太郎 訳 白水社) 「ラファエロ前派→モロー→象徴派→シュルレアリスムという世紀末の絵画の流れを正しく捉えた絵画史。象徴派と表裏一体の運動であった「アール・ヌーヴォー」への言及も多い。」 表紙画像は、ギュスターヴ・モロー画の『レダ』。

  今日月曜日は休み。昨日の過度な外仕事と、室内でのどんどこで疲れ果て、今日はうすら寒くはあっても外出…バイクツーリングも可能だったのに、終日家に閉じ籠った。

 読書三昧…というより、ぐったり三昧。フィリップ・ジュリアン著の『世紀末の夢―象徴派芸術』(白水社)の残り40頁余りを読んだ上で、和田利男著の『漱石の漢詩』 (文春学藝ライブラリー)と、下記の本とを交互に読んで過ごした。

 無論、過日よりの楽しみで、DVDプレーヤーでクラシックを聴くのも忘れない。今日はチャイコフスキー。

 フィリップ・ジュリアン 著の浩瀚な著作『世紀末の夢 象徴派芸術』を月曜未明から明け方にかけて残りの部分も読んだ。「ラファエル前派→モロー→象徴派という芸術の流れを正しく捉えた絵画史。19世紀末、画家・詩人たち600人が織りなす夢を自在に見透かしその輪郭をあざやかな手ぎわで描き出す。」という内容。

 翻訳刊行の題名は『世紀末の夢 象徴派芸術』だが、訳者あとがきによると、原題は『耽美家と魔術師』で、副題が「世紀末芸術」だとか。1982年初版で、2004年に再版となっているので、今も読むに値する文献と云える。吾輩は初版で読んだ。当時はこんな高価な本を買えた……。

 再読したが、またいつか読み返す機会が来るものか……。

 著者のフィリップ・ジュリアンは、博覧強記の文人で画家としても知られているというが、小生は全く知らない方。

 訳者の杉本秀太郎(1931年 - 2015年)は、日本のフランス文学者・文芸評論家・エッセイスト…だった(以下、情報はWikipedia参照)。今は亡き人物。杉本家は、重要文化財に指定されている。「屋敷地一帯は、平安時代には、関白となった公卿・藤原頼忠の屋敷があった所で、歌人で有名な(息子の)藤原公任も住んでいた」とか。往時はアナトール・フランス『赤い百合』 や、アルチュール・ランボー『酔いどれ船』、モーリス・メーテルランク『ペレアスとメリザンド』 の翻訳など、小生のような素養のない者にも名前は聞こえていた。

 

 本書はかなり衒学的というか、絵画はもちろん、音楽や文学その他に渡る相当の予備知識がないと十分には楽しめないかもしれない。その分、読みこめば勉強にはなる。豊富な画像だけでも吾輩は楽しめたが。

 注釈の類いは最小限だが、現代はスマホなどを駆使すれば、深堀はどれだけでも可能。吾輩も、何度もスマホに頼った……お蔭で進行が渋滞気味となったが、ま、それはそれで楽しい。昔は、こういった本一冊があれば、美術関連のブログ記事の十個も書いたものだが、いまはそんな元気はないし、暇もない。

 一昨日のブログ日記には、イタリアの画家ジョヴァンニ・セガンティーニの『悪しき母たち』を紹介したが、もっともっと! 調べたい。

 

 プルーストの『失われた時を求めて』に登場する人物との相関も可能だし、本文でも言及されていた。

 本書の内容案内をそのまま紹介する:「世紀末の画家、詩人たちは夢の怪獣キマイラの命じるままに、反物質文明の道を追求し、神秘でもあればエロティックでもあるような作品をおびただしく生み出した。本書はそういう画家、詩人ばかりか芸術パトロン、女優、画商など600人が登場して世紀末の夢を織ってゆく。著者は彼らの「世紀末の夢」を、縦横に自在に見透かし、あざやかな手際で彼らの夢の輪郭を描きながら、同時に夢の抵抗物、夢の対立物を描き出す。103枚の図版および巻末の「テーマ別サンボリスム文選」(詩と散文およそ百数十例)が本文に対応し、世紀末芸術が何であったかを具体的に示す。」

 この巻末の「テーマ別サンボリスム文選」は、それだけを楽しむのも、あるいは独立させるのも面白いのではと感じたほど、読み甲斐があった。

 

 ヘレン・ピルチャー著の『Life Changing:ヒトが生命進化を加速する』を読み始めた。

 冒頭の第一章から面白い。読みやすい。理解しやすい。

 本書によると、オオカミからイヌへの移行が従来 考えられていた時期より早い段階で起きていた可能性が強まっている。農業のはじまりや定住社会よりも前なのは確か。その時期とは、最終氷期最盛期のど真ん中である、3万5000年前! これまでの常識が覆るのも、そう遠くないか。 (10/24 16:18)

 以下は我輩の憶測:オオカミの家畜化(イヌ化)に成功した種こそ氷期最盛期を生き延びれたのではないか。それがクロマニヨンでとネアンデルタールとの運命の帰趨を分けたのではなかったのか…… (10/24 16:22)

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