『世界の名著』シリーズ…屋根裏部屋
← 『世界の名著 (1) バラモン教典 原始仏典』 (1979 by 大河内 一男/長尾 雅人 中公バックス) 書架に辛うじて残っていた。
『世界の名著 (1) バラモン教典 原始仏典』を二週間ほど費やして読んだ…通読した…通覧した…。読んだとは到底言えない。1969年に出版された同書のコンパクト版。『世界の名著』シリーズを創刊の当時から高校生だった吾輩は順番に買って行ったが、何故か箱入りの本書は手元にない。
調べたらこのシリーズの第一回配本は「ニーチェ」で、この原始仏典はずっと後の配本のはず。
もし、本書が第一回配本ならそもそもこのシリーズに手を出したりしなかっただろう。
そこは出版社も分かっているはず。ニーチェだったりパスカル、キルケゴール、プラトン、デカルト、ベルクソン、ラッセルなどなどが刊行当時のラインアップだった。高校生の吾輩は、受験など諦め気味だったし、我が家の受験生が宛がわれる屋根裏部屋で、せっせとこのシリーズを鉛筆片手に食らい付いていた。
この原始仏典の巻は1980年代半ばも過ぎていて、既に中公バックスに成り代わっていた(出版社名も変わっていた)。当時律義に通読はした痕…痕跡は鉛筆や書籍印、当時書店でゲットした栞などで分かる。
が、肝心の内容はさっぱり。実際、今回、ひょんなことから再読に駆り立てられ、二週間ほども向き合ったが、理解にはまるで至らなかった。この度、読んでいて、そうだ、初読後、中村元氏の諸著で復習めいた読書はしたものだが…。
「バガヴァッド・ギーター」や「ヨガ」経典「ジャイナ教綱要」などは興味深かったが、何とか読めたのは、「中篇の経典」や「短篇の経典」、「出家の功徳」くらいか。これらとて、理解とは程遠い。
← 受験生時代の居室だった屋根裏部屋の窓から眼下を眺める。田圃が野原に変わった以外は、光景はほぼ同じ。 画像は、拙稿「屋根裏部屋の秘密」より。
よって感想などとても書けない。ただただ世界の宗教の源泉の地の一つインドでは古来より修行も知の探究も極められ続けてきたということ、仏陀ですらその阿羅漢の一人に過ぎないことだ。
ニーチェやヘルマン・ヘッセなど影響を受けた西欧の文人哲人は何人も。物理学や数学医学も精緻を極めてきたが、全く違う発想の世界があることを知ることも無意味ではないはず。
今の自分に言えるのは恥ずかしながらそれだけだ。まして文字が小さすぎて、内容云々以前の次元で難儀したなんて、口外はできない。初読の時は肉眼で大丈夫だったことに歳月の流れの残酷さを思う…。
それにしても、昔もだが肝心の『世界の名著〈第2〉大乗仏典』が手付かずなのは、悔やまれる。無鉄砲にもチャレンジできる若いうちに登攀を試みるべきだった。悔やまれる。
← 浅田 次郎作『月島慕情』 (文春文庫) 「表題作ほか、ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた傑作「シューシャインボーイ」など、市井に生きる人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集」
さて本書を書棚に返し、次に手にしたのは、浅田 次郎作の『月島慕情』 (文春文庫)である。原始仏典から世俗の巷へ。吾輩の等身大にやや近い世界に舞い戻り、ホッとしているところである。
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