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2022/07/09

読書と仕事の日々へ

 ← エリフ・シャファク作『レイラの最後の10分38秒』(北田絵里子訳 早川書房)「1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏のゴミ容器のなかで、一人の娼婦が息絶えようとしていた。テキーラ・レイラ。しかし、心臓の動きが止まった後も、意識は続いていた──10分38秒のあいだ。」

 法事が終わった。今は終わって半日以上を経過して、脱力状態から徐々に日常へ向かいつつあるか。 

 父の書斎を我が書斎にすべき作業が残っているが、明日以降のことにする。

 まだ家の雑事が山の如くに残っている。早く、読書と仕事(家事の仕事と会社の仕事)の日々を取り戻したい。

 法事終了後、住職と雑談。住職は高齢にも関わらず活動家。平和を祈念する活動に専心されている。頭が下がる。我輩にも参加してほしいようだ。吾輩は腰が重い。不甲斐ないと思っておられるだろう。

 その住職に横笛を頂いた。葦笛か。吹いたが全く音が出ない!

 エリフ・シャファク作の『レイラの最後の10分38秒』をたった今、読了した。13回忌法要の準備に大わらわだった仲、日に数十頁ずつ読んできた。9日の昼前、全ての行事を終え、しばし脱力状態に。

 それでも、夕方降り出した思いがけない雨の中、シャワーを浴び、食事を済ませたら、それなりに元気に。残りの120頁ほどを自分としては早いペースで一気に読了した。傑作。

 話の凡そは、「1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏のゴミ容器のなかで、一人の娼婦が息絶えようとしていた。テキーラ・レイラ。しかし、心臓の動きが止まった後も、意識は続いていた──10分38秒のあいだ。1947年、息子を欲しがっていた家庭に生まれ落ちた日。厳格な父のもとで育った幼少期。家出の末にたどり着いた娼館での日々。そして居場所のない街でみつけた"はみ出し者たち"との瞬間。時間の感覚が薄れていくなか、これまでの痛み、苦しみ、そして喜びが、溢れだす。」に尽きる。

 訳者あとがきによると、二〇一七年三月、ある医療系サイトに驚くべき記事が載った。「カナダの酋長治療室勤務の医師らの報告によると、臨床死に至ったある患者が、生命維持装置を切ったあとも十分三十八秒間、生者の熟睡中に得られるものと同種の脳波を発し続けた」という。

 本作は、このニュースに興味を引かれた作家エリフ・シャファクが、「人はそのわずかな時間に何を思うのだろう? もし人生を振り返るのなら、どんなふうに? という想像をもとに描きあげた、ひとりのトルコ人女性の物語である」とか。

 トルコ人作家の本は恐らく初めて。トルコ…イスタンブールが舞台の小説も初めて。こうした設定はまして前代未聞? 

 小説の主人公は娼婦のレイラ、その仲間たち五人、六人目が居るとしたら、イスタンブルという街そのもの。レイラが葬られるのは、町はずれにある”寄る辺なき者の墓地”。誰にも気遣われない死者の行き着く惨めな場所。ほとんどが番号札が付きたてられているだけの場末である。

 小説の最後の章は、まさにその人外境での逐一が、ユーモラスに、だが、当人たちの切迫した息遣いの伝わる筆致で描かれ、読ませる。

 仲間の五人も主人公同様にあるいはそれ以上に傷を負った個性派ぞろい。それぞれの人生がドラマ。読書メーターで本書を知った。感謝である。

 

 ← 法要が終わり、住職との式後の雑談も終え、親族は退散されたあと、静寂を取り戻した庭を少し見て回った。アガパンサスの花の気品ある淡い紫色が一層際立ってきた。

 13回忌法要終了。無事? 肝心の障子は無視……気が付かず。ま、いっか。 (07/09 18:35)

(頂いたコメントへのレス):ありがとうございます。無事(?)終わって、午後は脱力状態でした。家の中は未だ片づけることがあるのですが、しばらくは放置。とりあえず、読書モードで過ごします。 (07/10 00:52)

(頂いたコメントへのレス):七回忌も経験しているのに、しかも、その時も業者の手は借りなかったのに、やり方をすっかり忘れてしまって、あたふたしました。今は脱力状態。徐々に日常を取り戻します。一人でやったとはいえ、あれこれアドバイスは貰ってます。今夜は読書と居眠り三昧したいな。(07/10 00:55)

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