薬玉にハネズに
← 棠棣(ハネズ 波泥孺 唐棣花 翼酢 朱華)(画像は、「万葉の植物 はねず を詠んだ歌」より)
寒波がまたやってきているようだ。特に北海道などが強風に見舞われているとか。夜の11時になるいまの時点では、雪は薄化粧程度。このままなのか、明朝、カーテンを開けたらショックを受けるのか、疑心暗鬼である。腰痛は小康状態。腰に爆弾を抱えているような。とにかく、姿勢をきちんと保つようにと心掛けている。
折口による「口訳万葉集(中)」を詠んでたら薬玉なる言葉が。くす玉…端午の節句に駅の構内などで飾るあれの原形かな。(02/20 18:07)
その手前では、ハネズなる花が。植物にもまるで疎い我輩、調べてみた。「奈良時代以前に中国から渡来した落葉低木。四月の終わりごろ、細い枝をしならすように枝いっぱいに花を付け」るとか(「万葉の植物 はねず を詠んだ歌」より)。(02/20 17:58)
← 牧 輝弥[著]『雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界 気候・健康・発酵とバイオエアロゾル』(築地書館)「気球や飛行機、ヘリコプターを使った独自の微生物採取手法を開発した著者が、実験・研究の工夫、苦労、成功談などをおりまぜながら、大気中の微生物の意外な移動の軌跡と、彼らの気候や健康、食べ物、環境などへの影響を探る、異色サイエンスノンフィクション。」
牧 輝弥著の『雨もキノコも鼻クソも大気微生物の世界 気候・健康・発酵とバイオエアロゾル』を本夕、読了。自宅で少しずつ一週間余りを費やして読了。書店での背の「大気微生物の世界」という題名で手にし、パラパラと捲り、買うと決めた。
内容は上掲の通り。一昨年だったか、新型コロナが流行り始めた頃、空気感染しやすい、クシャミはもちろん、息を吐くだけでも移るという話の中で、エアロゾルという科学用語がマスコミでも使われ出した。本書の刊行は昨年の八月なので、その関連も話題に出るかと思ったが、全くの空振りだった。新型コロナのウイルスが、黄砂…でなくとも、中国からの大気の流れに乗って日本などにも飛来することが全くないのか、知りたいものだ。あるいは早くから飛来していて日本などアジアは少なくとも当初は多少の免疫があったのではと、素人らしい憶測を逞しくしたものである。
さて、著者(おわりに)によると多くの人に楽しく読んでもらえるよう三点工夫したとか。①「私が携わってきた研究の経験談を時系列に並べ、一緒に観測や調査に臨んでいる気持ちになるようにエッセイ風に。」②折々の「セクションで、研究に関連しなさそうなエピソードや映画、小説などで始めることで、研究活動そのものになじみのない方でも話に入りこんでいただけ」るように。③本文を読まなくても、図の写真や絵を見れば、バイオエアロゾル研究の雰囲気を味わってもらえるようにし」た。これらの点は読んで確かめられた。ただ、惜しむらくは(ないものねだりと思いつつも)写真などどれもカラーでないのが残念。
最後に本文でも触れられていたし、「おわりに」でも言及があったが、「大気微生物に限らず、フィールドに出て地道にデータをとるような、明日、明後日すぐに役に立たないような研究がじつは科学にとってとても大切なのですが、現在はそうした研究が行いにくくなっている」ことは非常に気になるところだ。この点は、細菌に日本の一般向けサイエンス本に共通して言及されているという印象を受ける。目先に役立つことも大切だが、中期長期の視点で科学技術研究が後押しされる国であってほしいと思う。
← 紗倉まな著 『最低。』(角川文庫 ) 「AV出演歴のある母親を憎む少女、あやこ。家族に黙って活動を続ける人気AV女優、彩乃。愛する男とともに上京したススキノの女、桃子。夫のAVを見て出演を決意した専業主婦、美穂。四人の女優を巡る連作短編小説」
紗倉まな作の 『最低。』を18日に読了。仕事の合間に読んできた。(執筆当時も今も)現役AV女優・紗倉まなの小説デビュー作だとか。AV映画の当事者ならではの体験や知見を踏まえた短編集。小学生の頃、作文が嫌いで、国語の授業が嫌だったとか。「さて著者はなにを感じていたでしょう?」なんて漠然とした質問に、求められるような紋切り型の答えを書くことに抵抗があったとか。
その点、吾輩はなーんにも感じず何も考えなかった。先生の期待に応えたいのに、どう答えたらいいか見当がつかなかった落第生だった。著者の天邪鬼かもしれないけど、反骨精神の芽生えは作家に限らず、注目に値する。やがて学校在学中の十八歳でAV女優を始めたという。早晩、身バレした。家族を巻き込む騒動や葛藤は、彩乃編に投影されているようだ。
性…セックスは大人もだが子供も強い関心事。中性化が進む現代にあっても、逆にどうあるのが正常なのか分からず、誰しもが自らに自分がどうあればいいか迷っているのではないか。秘事とされがちな微妙な営為だからこそ、旺盛な男女の営みを露わに描かれ暴かれることへの社会の抵抗や反発蔑視の念も強い。一方、女性向けのAVが女性誌で特集されたりDVDが付録となったりと、社会の変化も激しい。
本短編集は、率直に好ましい短編が揃っている。題材や描かれる社会に特殊性があるだけで、そこには変わらぬ人間たちの葛藤がある。やりたいことをやる…やっていても、人間は人間の葛藤からは逃げられないのだ…喜びも含めて。
但し、中の一篇で、あまりにもひどい言葉の使い方の間違いがあったことは指摘しておく。(02/18 02:33)
夕暮れ時、女性の一人暮らしの家に誰かが勝手に入り込んできた。来る心当たりはない。空き巣? 部屋の隅の箒を手に、「しゃなり、しゃなりと」玄関へ歩み寄る。ここで、「しゃなり、しゃなり」なんて使うか?
そう、強盗か空き巣が侵入してきたと感じた時は、中にいる若い女性は、足音を忍ばせ、息を潜め、気配を消して……だろう。
辞典に拠ると、「しゃなりしゃなりとは。意味や解説、類語。[副]身のこなしをしなやかにし、気取って歩くさま。」
小説上の意図があるのかと先を読んだが、作者は気付かず進めている。あるいは、若い人特有の言葉の誤用なのか。いや、校正ミス以外の何物でもない! (02/18 02:39)
ついでに付け足しておくと、悲しいかな情けないことに吾輩は、紗倉まな主演のAV作品は観たことがない。観たい。写真集は観たことがある。素敵でした。
← 草凪優 / 著『嘘だらけでも、恋は恋。』( 幻冬舎アウトロー文庫) 「人間関係はなにもない。知っているのはセックスだけ。刹那的官能ダークロマン」
草凪優 作の『嘘だらけでも、恋は恋。』を今朝未明読了。仕事の合間に読んできて、最後の二十頁ほどを自宅で。
「温泉宿に逗留中の元ヤクザ・崎谷の前に突然下着姿で現れた場末のホステス・カンナ。元カレに攫われて犯されそうになり、逃げてきたという。女嫌いだったはずの崎谷は、彼女の魂をさらけ出すようなセックスに溺れていく…」という出だし。Vシネマの原作に相応しいような内容であり読み手を退屈させない物語の意外性と展開の速さ。話が進むほどに人間の殻が剝ぎ取られ、己が何を求めているか、何物なのか、何物でもないかすらが露わにされていく。ギリギリまでの激しい鬼畜めいたセックスと暴力の果てに、ようやく真実らしい恋に遭遇する。逆に言うと、そうでもしないと人の本心は剥き出しにはならない。臆病なのか保身なのか。それが嫌だからこそヤクザや美人局になったりするのだが、むしろそうした裏社会のほうが身を守るサバイバルの武器が研ぎ澄まされていくという矛盾。まずは最後まで読ませてくれた。
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