これが雪だったらと思うと
「2022年2月の読書メーター」
2月のメインは、ブライアン・グリーンの「時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙」と折口信夫による「口訳万葉集(上)」、それと長年の懸案だった青木 冨貴子による「731―石井四郎と細菌戦部隊の闇を暴く」か。
ポピュラーサイエンス本や風俗などインタビュー本も欠かせない。紗倉まな、桜木紫乃、草凪 優、花房 観音、スティーヴン・ミルハウザーら、初読の作家も何人か。
一月、三週間に渡って会社を休むことになったギックリ腰もなんとか回復してそれなりの日常を送れていることに感謝。
← スティーヴン・ミルハウザー 著『夜の声』(柴田元幸 訳 白水社) 「夜中に自分の名前を呼ぶ神聖な声を待ちわびる者たちの心のうちをたどる表題作など、奇想と魔法の職人芸で唯一無二の世界を紡ぐ8篇」
先月も読書を楽しんだが、中でもスティーヴン・ミルハウザーの『夜の声』は、異色の読書体験だった。それほど多いとは言えなくとも、自分なりに小説(虚構作品)は読んできたが、まるで異質な世界に迷い込んだようだった。確かに奇妙な出来事の連鎖だったりするのだし、物語の中の登場人物たちも、戸惑ったりあれこれ騒ぎになったりはするのだが、そういった奇妙な出来事も起こりうるよねと、何処かあっけらかんとしているようなのである。作者のミルハウザーがそのように描いているんだから、読み手が文句を言っても仕方がないわけで、異次元の時空が厳然とそこにあるのを誰にも否定はできない。
昨日、本作の感想を以下のように書いた:
メビウスの輪のようなものか。表の面をなぞっているだけのはずなのに、いつしか裏の面へ辿りついてしまうような。違うのは、元の表の面に戻れるかどうかは定かではないこと。世界は幾重もの時空の積み重なり。しかも、異次元の世界は何処かポール・デルヴォーの描く夢の夜の街に迷い込んだような、ノスタルジーの念にも似た錯覚を催す。奇妙な世界は、遠く彼方にあるのではなく、足元のマンホールか水溜まりのようにさりげなく潜んでいる。ミルハウザーの世界に嵌り込んだら、抜け出せなくなるかも。というか、戻る必要もないのかな。
[冒頭の画像は、ポール・デルヴォー作品。「3分でわかるポール・デルヴォー(1) マグリットと双璧をなすベルギーのシュールレアリスト、デルヴォーの生涯と作品 : ノラの絵画の時間」より]
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