パラフィン紙は今も健在
← アチェベ作『崩れゆく絆』(粟飯原文子 訳 光文社古典新訳文庫) 「古くからの呪術や慣習が根づく大地で、黙々と畑を耕し、獰猛に戦い、一代で名声と財産を築いた男オコンクウォ。しかし彼の誇りと、村の人々の生活を蝕み始めたのは、凶作でも戦争でもなく、新しい宗教の形で忍び寄る欧州の植民地支配だった」
電気代の領収兼請求証が。閉じ籠り生活2週間。暖房には電気ストーブのみ。予想はしてたけど、1.6 倍に。収入は当然 激減だろうし。ま、例年灯油代が相当に掛かってたし……。物価だけが上がってく。(01/25 15:23)
今日、スーパーであれこれ買った中で、かつ丼を久しぶりに。値段は数年前と変わらないが、中身の量の少なさ! 値上げするか、中身を減らすか。淋しい困ったことだ。
検診が間もなく。メニューにバリウムによる検査がある。今の腰痛の治りかけの状態でバリウム検査は厳しい。下手すると、腰痛を悪化させかねない。
アチェベ作の『崩れゆく絆』を昨夜半読了した。「アフリカの伝統的社会に生きる人々の姿、そしてヨーロッパの植民地支配が壊したものを痛烈に描いた彼の作品群は、その後の世界の作家たちに大きな影響を与えた」という。ナイジェリア作家のアチェベは、「アフリカ文学の父」とも呼ばれる(誰からか)。中国文学の父というと、魯迅。アメリカ文学の父は、マーク・トウェイン? 日本文学の父というと、漱石か鴎外か。じゃ、四迷や一葉は? 紅葉は? こう書く場合、近代文学ということが前提にあるだろう。日本では古事記や源氏物語や平家物語、方丈記、枕草子、徒然草など日本文学を語るうえで欠かせない世界に誇る作品群がある。
アフリカを巡る文学作品というと、個人的には、エッセイではあるが、イサク・ディネセン作の『アフリカの日々』をまず頭に浮かぶ。詳しい方なら、オラウダ・イクイアーノの名を挙げるか。南アフリカ出身のJ・M・クッツェーは逸するわけにいかないだろう。
だが、一般的には、ジョゼフ・コンラッドの『闇の奥』が筆頭に上がるか。
が、アチェベはコンラッドのこの作品を「帝国主義を描いた有名な小説」であり、「アフリカの背景や人物を歪めて非人間化し、人種差別的な文脈や語彙を潜ませていると断じた」。
アフリカは嘗て未開で野蛮で原始的な暗黒大陸と呼称された。が、それはアフリカの資源などを狙う白人らの偏見そのものの観方。現生人類発祥の地であり、アフリカには一言で片づけられない欧米より遥かに長く深い歴史がある。が、この歴史が問題だ。歴史とは何らかの文字などに記録されたものの積み重ね。口承や伝説の類は、民族学などの対象だろう。どんなに豊かだろうと、文学とは呼べない。アチェベは、植民地育ちで在り、キリスト教の価値観を大事にした。一方で19世紀以降のヨーロッパの植民地主義への反発もあった。そのためにはアフリカ固有の、ヨーロッパ文学に対峙し得る文学を生み出さねばと考えた。尤も、そういった試みは既になされきた。
アチェベは、「植民地教育のもとで自らのルーツを忘却し、自らを蔑むこともあったが、作品作りを通じて、自らのルーツであるイボ社会へと想像力を介して戻っていく試み」を為した。が、文学的素養はヨーロッパ文学であり、キリスト教と植民地教育であり、「イボ社会の文化や伝統を忠実に再現しようとしても、それはアチェベが調べた嘗てのイボ社会の風習や風俗意図的な民族誌的な描写以上ではなかった。。が、読み手、特にアフリカの一部の人たちには、ナイジェリア…アフリカを知るための資料や更には現実の資料として読まれ、教えられたと感じた。作品には二重の虚構を読み取る人もいるだろう。さらに、今はともかく、ナイジェリアはアフリカでは一番出版事情に恵まれていたことも考慮に入れる必要があるかもしれない。
そういった斟酌はしつつも、作品として読み応えがあった。訳者である粟飯原文子氏の解説も非常に参考になった。
← パオロ・ジョルダーノ作『素数たちの孤独』(飯田 亮介訳 ハヤカワepi文庫)「ふたりは理由も分からず惹かれあい、喧嘩をしながら、互いに寄り添いながら大人になった。だが、ささいな誤解がかけがえのない恋を引き裂く」
パオロ・ジョルダーノ作の『素数たちの孤独』を昨夜半から読み始めた。
ほとんど題名で選んだかも。なんたって素数だもの。素数は孤独なのかな。たとえ一瞬ぶつかり火花を発するように見えても、それは眺める誰かの錯覚に過ぎない。衝突する2つがゆえの、燃え上がる焔の須臾の煌めきを垣間見たいという願望の為せるわざに過ぎない。星座を為すオリオンの白々しさ。宇宙に於いては素数という名の星は音楽を奏でることはない。(01/25 03:43)
2008年のイタリアでのベストセラー。著者は当時、弱冠二十六歳。モラヴィアやエーコらが受賞した、イタリア文学賞の最高峰のひとつを処女作で。日本では早くも2009年に刊行。2013年に文庫入り。まだ数十頁だが、読ませる。この文庫、店頭で買ったのだが、2013年の第1刷。こんなに面白いのに(胸に突き刺さるのに)、この9年 第1刷のままって信じられない。というか、この9年、店頭に店晒し? (01/25 20:16)
1冊 読み終え、さて次は何を読むかなと、書棚を眺める。新刊……買ったばかりの本もいいが、隅っこには古い本も鎮座している。昔、読んだ懐かしい本を書庫の奥からわざわざ引っ張り出してきたもの。再読の候補だ。その中には、岩波文庫もある。(01/25 18:10)
その岩波文庫には、パラフィン紙(グラシン紙)が今も。我輩は本を読む際は、自分の本だろうと図書館本だろうと、必ずカバーする。書店で貰うカバーもあるが、新聞の折り込み広告で片面が真っ白のもの、時にはカレンダーも。一月か二月毎にビリッと。当然、裏面は真っ白だし、かなり上質紙である。
本は、消耗品、読んだら右から左に処分する。図書館本なんて最初からカバーや帯もない。が、我輩は貧乏性なのか、財産(?)は本しかない。表紙も帯も解かない。本だろうと、裸にするなんて、そんな! 本は装幀を含めまるごとが本であり、作品である、という考え。
古い岩波文庫も紙かビニールのカバーをして読んできた。なので表紙などの手垢は、頁を繰る中身ほどしか付いてない(かどうか分からない)。パラフィン紙は流石に歳月を感じさせる。色褪せて、書名や著者名は、間近で目を凝らさないと読み取れない。心ならずも破れたものも。買った当初から破れてると悔しくてならない! 本末転倒か。
仄聞するところでは、岩波書店創業(あるいは岩波文庫発刊)50年を契機にパラフィンのカバーを止めて、他社に右並えしたらしい。正直、パラフィン紙は扱いにくかったし、ホッとしたが、一抹の淋しさも。高校時代、旺文社文庫の本も何冊かは買ったが、文庫なのに箱入りで鬱陶しかった……が、箱入りにしろパラフィン包みにしろ、無くなってしまうと惜しくなる。
パラフィン包みの岩波文庫。今は滅多に手にしない。書棚の片隅でこっちを睨んでるのか、それともお役目返上で御隠居暮しか。尤も手にしないのは、訳が古いとかじゃなく、活字が細かすぎて読めないからだ。流石の岩波さんも、人間の老化、目の衰えまでは想定外だったか。ドイツのレクラム文庫に範をとった文庫という目標は成ったのか。
岩波文庫とパラフィン紙について調べようとしたが、奥が深すぎて、我輩には手に負えなかった。(01/25 18:41)
ちなみにパラフィン紙は今も健在のようである。
参考:「ぜろだまBlog: 追憶の岩波文庫~脅威のパラフィンバリアー」
「レクラム文庫と岩波文庫 – 文庫本大好き-岩波文庫コレクション」
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