馴染みの作業着との別れ
← 中山 可穂 著『白い薔薇の淵まで』(河出文庫)「雨の降る深夜の書店で、平凡なOLは新人女性作家と出会い、恋に落ちた。甘美で破滅的な恋と性愛の深淵を美しい文体で綴った究極の恋愛小説」著者は、「1960年生まれ。(中略)93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。」
快晴微風。遠出したかったが、目覚めたのが遅く(帰宅が未明)、今日(5日)は大人しく庭仕事。例によって庭木の剪定。高枝切鋏をフル活用。二時間ほどの作業。日没でストップ。庭中が伐採した枝葉で一杯。納屋にも一杯。
中山可穂 作の『白い薔薇の淵まで』を読了。同氏の作品は初。二階堂奥歯の自死に至る日記『八本脚の蝶』にて言及されていた作品の一つ。
大半は仕事の合間に読んできたが、残り50頁ほどは自宅で。
最初は濃厚な性愛シーンにポルノチックなものを感じ、退屈な小説なのかと思ったら(大概のポルノ小説は読み出して間もなく退屈で飽きる)、途中から読むほうのギアもあがって、持ち帰って読んでしまった。読了直後の印象として、傑作だと思った。書かれた(公表された)のは20年ほど前。LGBTなど今日ほどは理解が進んでいなかったし、同性愛…レズも同様。当時にあって、レズ小説を本格的に書くのは社会的抵抗も想像以上のものがあったろう。語り手は三十路の美人で仕事も立派にこなしている。男性の彼氏もいる。が、心底惚れるのは女性。あるいは惚れる相手がたまたま女性だということであったというべきか。
本書の謳い文句は、究極の恋愛小説であり、作家へのレッテルも当時、レズビアン小説家だった。河出文庫版への著者自身の後書きによると、本人はもう恋愛は卒業した、こんなレッテルは引き剥がしたいと思っているようだ。レズは当時だからこそ、つまり社会と二人して共闘しているという同士だからこそ、燃え上がれたという面があるのではないか。今日だと、社会的圧力が弱く、レズの関係も、普通の男女の恋愛と同じように燃え上がり、やがて冷えて別れていく、そんな恋愛風景の一点景を描くにすぎなくなるのか。
著者は「女×女の恋愛小説」はもう書かなくなったし、自分の中から恋愛が消えてしまったと言う。「全身恋愛小説家」の称号も返上しなければとも。
女の恋愛感情はいつまでという大岡越前守の問いに、越前の母親は黙って火鉢の灰をかき回したという話は有名だ(典拠は怪しいが)。瀬戸内寂聴などは、「爛」なる最新長篇小説で、「燃える女たちの波瀾に富んだ生と性を、九十一歳の著者が円熟の筆で鮮やかに描き出」してるとか。書くのは作家本人だし、性愛を卒業するのも本人次第だし、最近の作品は読んでいないのだが、折角なら生涯全身恋愛小説家を通すのも乙なものではないかと勝手ながら思う。というのも、本作品を傑作と感じたからである。
← 画像は、13年 庭仕事に使ってきた作業着。帰郷した年、家事や介護で定職に就けず、運転代行の仕事を夜中に。代行の会社でアルバイトする際、作業着を買わされた。高かった。が、品物はなかなかのもの。代行は数ヶ月で辞め、新聞配達をやった。憧れのスーパーカブで。代行のユニホォームは、会社名入り。外では着れない。数ヶ月でボツは惜しいので、畑や庭仕事に使ってきた。藪のような庭木の間を這うように作業。ジッパーがダメになったし、惜しいが外仕事の戦友とお別れ。お疲れ様でした。問題は次からの外仕事に何を羽織るか。父の遺品から何か探すか。
水曜日のこと、昼過ぎ 庭木の手入れなどする。車道沿いの生垣へ出たところ、思いがけず、下校する女の子に出会す。小学生になりたてかな。その子は我輩を観て明らかに警戒してる。まじまじと見入る目。人相の悪いおっさん。我輩は彼女に悪くて庭の奥に引っ込んだのだが、その子は庭先を通らなかった。その子は道を変えて行ったようだ。LGBTとか、人はそれぞれ個性があって素晴らしいとか、尤もらしい話が聞こえてくる。異論などありえようはずもない。でも、人相(外見……顔)の悪いおっさんには近付くなは、ずっとそのままなんだろうな。それとも近所の奥様方が子供にそう教育してる?
大丈夫だよ。ボクは女の子(女性)には決して近付かないからね。
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