ナミアゲハの行方
← 佐瀬稔 著『女子高生コンクリート詰め殺人事件』(草思社文庫)「1989年、東京足立区綾瀬。史上稀にみる凶悪な少年犯罪が起こった。法廷で犯人とその親たちが語った恐るべき事実とは。丹念な取材で衝撃の事件の全貌を描く力作ノンフィクション」
佐瀬稔 著『女子高生コンクリート詰め殺人事件』を今朝(19日)未明読了。
子供の頃の教育が大事。出会う先生との相性や教育の熱意。小学生の頃は(中学1年もだったけど)、成績はクラスの最下位辺りをうろうろ。幸い先生にも級友にもバカにされずに済んだ(相手にされなかった)。このままでどうってことないと思ってた。母は何度も先生に呼び出されていた(我輩は知らなかった)。お袋の口癖は、この子は早生まれだから……。我輩には意味が分からなかった。
叱咤されたりバカにされたりしなかったのは、周りの配慮もあったのだろう。幾つかの障害があったから(短気でもあったし)、周りからしたら、腫れ物に接する思いだったのだろう。
主犯格の少年は、柔道の推薦で入った高校で曲り角を迎えた。目立つ一年生は徹底して制裁を受ける。先生も一緒に彼を追い詰める。怪我……退学。そう言えば子供の頃、我輩に何かと優しくしてくれた近所の兄さんも、高校で柔道部。制裁を受け怪我、退学。荒れた……。指導がなってない。結果だけ。
自分がぐれずに済んだのは周りの配慮のお陰もあるが、保育所時代に自分の人生をネグレクトしたからかもしれない。周りは見えない。遠い世界。喋ろうとしても、言語不明瞭で親とも意思の疎通は難しかった。
犯行に関わった四人の生い立ちが本人たちの証言も含め語られる。本書の大半がそうした記述。出版社は、「現代の子育てと学校教育を考えるための最重要資料」と謳っている。法廷での犯人たちや親たちの証言は、生々しい。女子高生は40日もの拉致監禁で凄惨なリンチを受ける。監禁は犯人グループの一人の自宅。親も女子高生の存在に気付くも、それまでの息子との軋轢で断固たる措置が取れず、ずるずると監禁が長引き、最悪の結果に至った。当時、あまりの凶悪ぶりに、少年らがこんなとをするのかと、信じられない思いだった。今も。一人一人の姿を証言で垣間見ると、少年故の未熟さと思慮のなさの結果なのだろうが、納得のいく理解など得られるはずもない。被害女性の無念恐怖も想像を超える。少年グループは強姦を含めた様々な犯行を繰り返してきた。その彼らも社会復帰を果たしている。釈然としない。するはずがない。
← 松本清張/著『砂の器〔上〕』(新潮文庫)「惨殺死体。被害者が残した謎の言葉〈カメダ〉。犯人と被害者を結ぶものは何か?」
松本清張作の『砂の器〔上〕』を昨日夕方近く読了。
野村芳太郎監督(橋本忍:山田洋次脚本)の映画「砂の器」は放映当時、滅多に自分では映画館に足を運ばない吾輩が劇場で観て深く感動した。テーマがテーマだけに他人事に思えなかった。映画版は、時に原作を超えるとまで言われ(清張に失礼だよね)、ストーリーの凡そは知っている。でも、いつかは原作をと思いつつ、四十年という歳月が過ぎてしまった。半ばまではいかにも大衆小説って感じで、飽かせないがどうかなと。段々盛り上がってきた。いよいよ本作品を重厚なもの足らしめているテーマへ。始めチョロチョロで、中パッパであることを期待。早速下巻へ。
17日は雨だったので買い物に行かず。幸い室温(気温)は25度。夕食は即席麺とレンチンの赤飯。夏場にラーメンは久しぶり。
← 画像は、18日未明に玄関先…玄関の前に置いてある刈った雑草を溜め込むバケツの縁で見かけた青虫……蝶のサナギ?こんなところに居たら鳥に拐われるよ! どうやら、ナミアゲハらしい。19日未明には姿はなかった。何処かへ行った? それとも……
午前は雨。昼過ぎ目覚めたら晴れちゃいないが雨は降ってない。今のうちだと自転車を転がして(最近は駆って……とは言えない)スーパーへ。中途半端な距離なので車じゃ近い、アルクには遠い。自転車がちょうど。
18日の夜、月影を観た。久しぶり。雲のためか、メタボな上弦の月。
← デビッド・クアメン 著『スピルオーバー ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか』(甘糟 智子 訳 明石書店)「ウイルスたちはなぜ、いつ、どこで、いかに種を超え人間へと飛び移り、大惨事をもたらしてきたのか。異種間伝播(スピルオーバー)を通じて爆発的に広がった疫病の実態とそれに挑戦する人々の苦闘を、徹底した現地取材を通して辿る」
デビッド・クアメン 著の『スピルオーバー ウイルスはなぜ動物からヒトへ飛び移るのか』を一昨日読了。日に30頁ずつ読んできたが、最後は連休だったし文体に慣れてきたこともあって、二日で残りの170頁余りを一気に読んだ。原書は2012年のアメリカのベストセラー。こんな中身の濃い分厚い本がベストセラーって、アメリカの懐の深さを感じる。内容は、「ウイルスたちはなぜ、いつ、どこで、いかに種を超え人間へと飛び移り、大惨事をもたらしてきたのか。異種間伝播(スピルオーバー)を通じて爆発的に広がった疫病の実態とそれに挑戦する人々の苦闘を、徹底した現地取材を通して辿る」というもの。ウイルス学の現在を知るだけなら国内外を問わずいろいろあるし、我輩も何冊かは読んできた。本書は研究者らの謎の疫病の実態と宿主やウイルスの正体を求めての苦闘ぶりを綿密な取材で描く。こうした結果がウイルス学の現状に繋がっているのだ。ヘンドラ、エボラ、マラリア、SARS、ヘルペスB、二パ、マールブルク、HIV…。そのどれもドラマに満ちている。現下の新型コロナもウイルスの源を調べないといけないが、未だ隔靴搔痒の感があって不安である。
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