まさかもう梅雨入りか
← ディーリア・オーエンズ著『ザリガニの鳴くところ』( 友廣 純訳 早川書房)「ノースカロライナ州の湿地で青年の遺体が見つかる。村の人びとは「湿地の少女」カイアに疑いの目を向ける。幼いころ家族に見捨てられてから、人々にさげすまれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのか」
朝から雨……じゃなく、朝になって間もなく降りだした。昨夜来の風は、季節風を感じさせる、不穏なもの。週間予報だと、ほとんど雨マーク。このまま一気に梅雨入りするのかな。庭仕事はなしだな。…これは朝の七時前に呟いたものだが、昼過ぎになっても風が唸り声をあげている。買い物に行きたくない。まして仕事へは。
ディーリア・オーエンズ作の『ザリガニの鳴くところ』を一昨日、読了した。評判の書。ベストセラーも頷ける素晴らしい作品だった。著者は、ジョージア州の動物学者。現在はアイダホ州に住み、グリズリーやオオカミの保護、湿地の保全活動を行っている。本作は、69歳での初めての小説。読み出して、最初はノースカロライナ州の湿地の描写が印象的で、そこに人間模様が織り込まれる、静かな物語かなと感じさせる。次第にサスペンス調になり、裁判の弁護側と検察側の遣り取りも緊迫してくる。その展開も見事だ。が、本書の眼目は、「幼いころ家族に見捨てられてから、人々にさげすまれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイア」を描くことで、自然の摂理を描くことにある。カイアの孤独の深さは、自然の人間の思惑や思い入れなど超えた深すぎる懐を象徴している。自然は善悪の彼岸に昔も今もとどまり続けるのだ。
← 津曲 茂久【著】『性のトリセツ―「性活力」あふれる生き方のすすめ』(緑書房)「獣医繁殖学者が科学と想像力で読み解く人と動物の性の真実と不思議。老いも若きも呼び覚ませ!人間本来の「性活力」。」
津曲 茂久著の『性のトリセツ―「性活力」あふれる生き方のすすめ』を昨日読了。獣医繁殖学者の専門的知識が満載。だが、学生への講義で培ったという興味を惹く技術の賜物か、随所にへえーと感じさせ、自慢げにあるいは駄弁の折に呟いてみたくなる豆知識が満載。人と動物の生殖学を一緒に学ぶ機会を提供しているという。この考え方は吾輩には当たり前に思える。ニール・シュービン著の『ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト──最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅』(垂水雄二訳 早川書房)は、こうした視点を深めてくれる。さらに、「ヒトの病気の治し方は、動物に聞け!がん、肥満、心臓病、うつ、依存症、性病、ストレス性疾患―動物もかかる病気の研究から、ヒトの新たな治療法が生まれる」といった内容の、バーバラ・N・ホロウィッツ /キャスリン・バウアーズ 著『人間と動物の病気を一緒にみる―医療を変える汎動物学(ズービキティ)の発想』を読んで大いに啓発された。にしても、本書は門外漢には高度過ぎる内容。そんな中、最後の第七章「悪しき生活習慣が人口減少に及ぼす影響」と、第八章「人類が初めて経験する超高齢人生と性」とが、あるいは筆者が一番危機感を抱いており訴えたかった主張だったのではと思え、悩める我々へのヒントがあるのかもしれない。興味が湧いたらここから遡って読むのもいいだろう。
← バーバラ・N・ホロウィッツ /キャスリン・バウアーズ (著) 『人間と動物の病気を一緒にみる―医療を変える汎動物学(ズービキティ)の発想』(土屋晶子 (翻訳) インターシフト) 「ヒトの病気の治し方は、動物に聞け!がん、肥満、心臓病、うつ、依存症、性病、ストレス性疾患―動物もかかる病気の研究から、ヒトの新たな治療法が生まれる」
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