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2021/05/02

意識高い系の主婦の末路なのか

Takada_20210502114501 ← 柳 美里 著『JR高田馬場駅戸山口』(河出文庫)「居場所のない「一人の女」に寄り添う傑作」だとか。

 

 勤務体系が変わって、生活のリズムが狂いがち。それでも、なんとなくパターンがつかめてきたような。通勤時間を入れると、日に十時間は仕事に費やされる。残りの中で庭仕事は無理。せいぜい、内庭の松葉拾いくらい。買い物や洗濯、入浴、食事、睡眠(休息)などの雑事。読書すら数十頁がやっと。そうした自覚を持つことだ。

 柳美里 作の『JR高田馬場駅戸山口』を昨日読了。本書については、既に何度も呟いてきた:「忘れられた町を走る
 本作の語り手は、意識高い系の主婦。旦那は単身赴任。浮気している(と彼女は睨んでる)。子供を私立の幼稚園に。が、食事の際、子供たちを正座させることを入園させてから知って愕然とする。
 幼い子を正座させたら膝を悪くする。脚が格好悪なる、と主婦は思ってる。知ってたら入園させなかったのに。あとの祭りである。園に抗議する。専門家や医者らに意見を求め止めさせようとするが、神道系の園側も頑固で主婦に受け入れさせようとするばかり。嫌ならやめて、である。園側からしたら、主婦はクレイマーと受け止めているかもしれない。
 さすがに柳氏の作品で、斬新な表現スタイル。本作が書かれたのが東日本大震災発生から間もないということで、撒き散らされた放射能に東京に住む、特に子育て中のお母さん方(特に意識高い系の主婦)が神経をとがらせていたことなども風俗として描かれている。あるいは食品添加物に公園の砂場の犬猫の糞尿などによる汚染にも子供への感染など考えられ敏感だったりする。
 旦那からすると、奥さんはあらゆることに過剰に敏感で、子供だって息苦しいと感じている、旦那も一緒には暮らしたくない…奥さんも自分の浮いていて孤立している、周りから持て余されていると薄々感じていて、物語の最後では彼女の自殺が強くにおわせて終わっている。
 ある意味、やや悲劇の語りを通じて、世に山積し、しかも埋もれがちな社会問題を読者に啓発している、という感を覚えてしまった。普通の主婦には問題意識を担いきれないことを描くことで、小説の域を超えたかったのだろうか。

 

Tanpopo_20210502120501 ← 昨日、庭を見て回った際に見付けた生け垣の野草。三重カナメが繁茂し、車道に迫り出していたので、大胆にカットした。

 

 早くも一か月が過ぎた。先月読んだ本のまとめの日が来た。
 面白い本、念願だった本、話題の本といろいろ読めた。濃厚接触者認定で2週間の自宅籠りを体験した月でもあった。
2021年4月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4884ページ
ナイス数:6795ナイス
★先月に読んだ本一覧はこちら:「やいっちさんの4月読書まとめ - 読書メーター

 

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