用心が肝要
← 中村 桂子【著】『ゲノムの見る夢―中村桂子対談集』(青土社)「現代生物学が明らかにしつつある「生きものとしての人間」を基礎において、自然と人間と文明を見据える総合的な知「生命誌」を提唱する著者が、さまざまなジャンルの思想家たちと語り合う。」
仕事の勤務体系、特に勤務時間帯の変更の日々が始まって、実際に(中に一日休みを挟んで)三日を経験した。まだまだ慣れるには遠い。仕事は夕方から翌日未明。当然、就寝時間帯は未明からお昼まで。明るい日中に眠らなればならない。眠れない。途切れ途切れの睡眠を重ねる。目覚めても、中途半端な眠りなので起きても活動していいやら覚束ない。
肝心のブログもいつどの時間帯に書けばいいか定まっていない。読書は目覚めた時に数頁でもいいからと齧り読みしている。慣れるにはどれほどの日数を要するやら。その前に体調を壊さないか用心が肝要のようだ。
中村 桂子著の『ゲノムの見る夢―中村桂子対談集』を昨日読了した。画像は、2015/07発売の増補新版のもので、小生が読んだのは、古書店で見出した本で、1996年刊のもの。その違いは、さすがに青土社版は良心的で新版を出すにしても増補となっている。その違いを目次にも見て取ることが出来る。最後の茂木健一郎氏と鷲田清一氏との対談は増補されたもの。清版も読みたいが、当初版でも十分に楽しめた。
目次
思考の枠組みはどう変わってゆくか 村上陽一郎
身体をどう捉えるのか 養老孟司
心をどう捉えるのか 河合隼雄
現代物理学と生物学の接点 津田一郎
オートポイエーシスと生物学 河本英夫
ロゴスとレンマと接続可能か 中沢新一
ゲノムの歴史に見える微かな記憶 樺山紘一
個と普遍のアーティスティックな関係 蔡國強
いちばん美しい生物を考える 崔在銀
「あいまいさ」の原理のために 多田富雄
いま、なぜ「科学的思考」がたいせつか 茂木健一郎
「縮小時代」の復興―新たな価値観を求めて 鷲田清一
中村 桂子氏は、1993年にJT生命誌研究館を設立された方で現在はJT生命誌研究館名誉館長。恩師は、本書でも名前の見える江上不二夫氏や渡辺格氏。いずれも懐かしい。後者については、吾輩が若いころ、「『人間の終焉-分子生物学者のことあげ』(朝日出版社)」など、多少は著書を齧ったことがある。
「38億年つづく生命の歴史のなかで――中村桂子が語る、テクノロジーと人間 | Mugendai(無限大)」が参考になる。
その冒頭に、「中村氏は、生きていることを知るためには、生物科学の研究領域のみならず人文学や芸術と共に、更には生活感覚を生かして新しい知を組み立てる必要があると説く。その考えを深めるため、「人間と自然」という向き合う関係性ではなく、「自然の中の人間」という立脚点から、「生命誌」(Biohistory)を提唱し、生命の歴史を曼荼羅のように視覚化しわかりやすく伝え、考えてきた」とある。
本書はまさにこの考えに貫かれ、第一線で活躍される多彩な有識者との対談で中村氏の考え方が分かると同時に、同氏も考えを深められていったことが感じられる。科学者が専門領域に閉じ籠ることなく、分野横断的に関心を持ち合い関係しあっていることを門外漢の小生も感じる。特に専門家なら現役のうちは口に(文章に)しなかった、生命、宇宙、生、死などについて論じることがタブーでなくなってきているのだろう。
仕事の合間には、R.D.レイン著の『レイン わが半生 精神医学への道』に併せ、チャールズ ブコウスキー作の『パルプ』 (ちくま文庫)を読み始めた。生憎とというか、夜中は死ぬほど暇かと思ったら、予想に反して案外と忙しく、読書は進まない。ま、それが本来の姿なのだろう。
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