ここに孤独の理解者がいる
コロナ禍ということで読み始めた角川版漱石全集。先月は三冊を読んで、欠巻と別冊を除いて全巻読んだ。まさかコロナ禍がこんなに続くとは想像だにしなかった。その分、読書は充実したが。先月は豪雪で孤軍奮闘の除雪。腰や腕を傷めてしまった。
2021年1月の読書メーター 読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4782ページ
ナイス数:8799ナイス
今日も自宅では、シャーロット・ブロンテ 著『ヴィレット(上)』(青山誠子 訳 白水Uブックス)とリンダ・リア (Linda Lear)著『レイチェル―レイチェル・カーソン『沈黙の春』の生涯』(上遠 恵子訳、2002/08東京書籍刊)とを交互に読んでいた。
前者は、「異国の都ヴィレット(ベルギーのブリュッセルがモデル)での、孤独な若いイギリス人女性の物語。 シャーロット・ブロンテの最後の長篇で、自伝的要素もある作品」とか。読んでいて小説風な感じがあまりしないのも、当然なのか。人間分析がするどく、観察眼がきめ細かい。だからだろうか、ブロンテのような方と心底から共感しえる存在には、女性にもだが、男性にも出会えないだろうと感じる。孤独が友なのも仕方ないのか。読んでいるほうとしては、彼女の檻に触れての孤独な夢想や述懐、自己分析が図抜けていて、ここに孤独の理解者がいると感じるわけである。あるいは、ルソーの孤独な散歩者の夢想の畏友なのかもしれない。
ダンテ 著の『神曲 地獄篇』(平川祐弘 訳 河出文庫)を仕事の合間に読んでいる。
「19世紀半ばからロマン主義運動とナショナリズムが高揚するにつれて、ダンテは注目されることになり再び読まれ研究されることとなった。そして20世初めにホフマンスタールやT.S.エリオットら詩人や作家によって、半ば神格化されて今日の評価に至るのであり、永続的な高評価を受けてきたわけではない」(「Wikipedia」より)。
一部のキリスト教徒(主にカトリックか)らには神格化されるのもむべなるかな……だが。翻訳のせいではなく、地獄像にリアリティを感じられない(源信の「往生要集」でも同じだった)。我々の現実のほうか遥かに地獄から極楽に渡ってリアルだし重く感じる。 中世の人々に神信心させるには、天国や地獄をとことん当時の人々にリアルに感じさせる必要があったのだろう。
あるいは、凡俗の我輩であってさえ、地獄極楽をリアルに感じられるのは、ダンテや源信らの極め尽くした言葉(表現)の賜物なのか。はじめに言葉ありき。
こうした地獄像が(言い方は悪いが)陳腐に感じられるのは、我輩が擦れっ枯らしだからじゃなく、所詮は勧善懲悪の戒めに他ならないからだ。近代から現代の文学なとに描かれるのは、罪を犯した人より犯された人やその周辺の人々のほうが苦しむことにある。ヒットラーは殺されたとしても(肉体的苦しみは被ったとしても)、精神的な煩悶に追い込まれたわけじゃないだろう。
正当な因果応報は可能なのか?
正宗白鳥、森鴎外、内村鑑三ら、日本でも「神曲」を高く評価する人がいる。現代には居るのかな? と疑問を呈したら、大江健三郎が評価しているというレスを頂いた。「懐かしい年への手紙」とか?
が、文学史や宗教史的意義じゃなく、読んで面白いって 感じているようには思えない。
仕事の合間には、他に、陳 舜臣 (著)『唐詩新選』 (新潮文庫)をも読んでいる。余談になるが、本書を読んでいて、円仁の「入唐求法巡礼行記」を読みたくなった。当時の唐の文化などを当時の中国人より詳しく記録しているとか。
今年、お年玉年賀葉書 1枚も当たりなし。数えたことないけど、数十年分の切手シート(ほとんど父の分)があるのに、途切れちゃったい。
国語便覧なんて初耳。普通に使われてる? 吾輩は覚えていない。
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