漱石「思い出す事など」にしみじみと
← メラニー・ミッチェル著『ガイドツアー複雑系の世界―サンタフェ研究所講義ノートから』(高橋 洋【訳】 紀伊國屋書店)「ヒトの脳に存在する何兆ものニューロンという「物質」は、いかに「意識」のような複雑な現象を生みだすのか?免疫系、インターネット、国際経済、ヒトのゲノム―これらが自己組織化する構造を導いているものは何か?一匹では単純に振る舞うアリが、グループを形成すると、ある目的のために統率された集団行動がとれるのはなぜか?」
庭木の伐採作業をやるたびに思う。枝葉は毎年 嫌ってほど出る。葉っぱや雑草はともかく、枝は燃やしたい……そう、焚き火はダメだが、薪ストーブで。晩秋から初冬は、今年こそ煖炉を……。納屋に枝を一杯 貯めておいて、多少は薪を買っておいて、薪ストーブのある生活。あくまでただの夢か、正夢となるか。
メラニー・ミッチェル著の『ガイドツアー複雑系の世界―サンタフェ研究所講義ノートから』を読了した。2011年に訳本が刊行。原書は2009年刊。やや古いか。本書が書かれたころには既に複雑系フィーバー(?)は終わっていた。観方を変えれば、研究が熟成の時代に入ったとも言えるか。ノーバート・ウィナーのサイバネティクス、アンリ・ポアンカレらのカオス理論、ルネ・トムによるカタストロフィー理論、スタニスワフ・ウラムとジョン・フォン・ノイマンが発見したセル・オートマトン力学(計算)理論、イリヤ・プリゴジンによる自己組織化理論(散逸構造論)、ウンベルト・マトゥラーナとフランシスコ・バレーラらによるオートポイエーシス…などなど。ミッチェル・ワールドロップやスチュアート・カウフマンさらに本書の著者であるメラニー・ミッチェルら(日本では、佐々木正人ほかによるアフォーダンス)による複雑系は、「いくつかの異なる流れをたどったものが統合的に整理されて形を成したもの」とも云えそう。本書でもガイドツアーの名の如く、その大半が触れられている。可能性は大だが、風呂敷を広げすぎているという批判もある。上記したように本書(原書は10年以上も前の本。その後の展開が気になる。
明日は休みなので、精根尽き果てるまで、庭仕事をやった。例によって枝葉の剪定……じゃなく、 伐採作業である。脚立に昇って、剪定鋏や高枝切鋏でバッサバッサと。届くところは伐る。すると、届かず残る天辺が残る。至って不恰好。で、作業を終えて、ふと庭を見渡すと……何も変わってないように見える。あの自棄な頑張りは何だったのか……。それにしても、作業を終えたのが午後の二時半で、その後、シャワーを浴び、仮眠を取ったりしたのだが、体の節々が傷む。一服したら読書したいな。漱石の「思い出す事など」は、吾輩は初めて読む。闘病生活の漱石ならではの感懐が読めて読み応えがあった。
コロナ禍の今年。自粛生活を強いられて……じゃなく、仕事が減ってサバイバルに懸命。代わりに、庭仕事を増やせたことと、読書傾向は確かに変わった。書庫の奥で眠っていた、ハーン著作集や漱石全集などを手にしている。コロナ禍に由来する時間の使い方だ。漱石全集は来春には読了するだろう。その頃にはコロナ禍は沈静化しているだろうか……まさか拡大してないよね。その時は、プラトン全集だな。それとも、新書版のシェイクスピア全集を買うか。いっそのこと「源氏物語」をウェイリー(?)訳の日本語版を読むか。早く終息させろ!
仕事柄、夜半を回って帰宅。はや2のカプセル放出が気になる。寝る時間を延ばして、暫し本を読んだあと、再びテレビをオンにして、丑三つ時の2時25分からNHKをリアルタイムで観ることができた。歴史的瞬間に際会。はやぶさ2は、そのまま遥か遠くへ旅する。カプセルの中身もだが、はや2の11年の旅もロマンだ。
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