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2020/12/27

ガルシア=マルケス『誘拐』に満腹

Yuai_20201227204301 ← ガブリエル・ガルシア=マルケス【著】『誘拐』(旦 敬介【訳】 角川春樹事務所(1997/12発売)) 「マルーハ・パチョンとアルベルト・ビヤミサル夫妻は、一九九三年の十月、六か月におよぶ彼女の誘拐中の経験と、彼女を解放させるまでに夫がたどった経緯を本にまとめたらどうかと私のところに話をもちかけてきた。(中略)きわめて巧妙に選ばれた十人の人間がひとつの集団として、ひとつの誘拐団によって、たったひとつの目的のために誘拐された事件だったのだ」

  ガブリエル・ガルシア=マルケス著の『誘拐』を読了した。先々週から仕事の合間に読み始めていたのだが、昨日は、他にも本を持参していたのだが、本書の続きを読み始めたらやめられなくなった。仕事があまりに暇で、仕事の合間に本を読むんじゃなく、読む合間に時折仕事が入るという惨状。残りの160頁ほどを車中で110頁ほど、残りを自宅で。


 ガルシア=マルケス(1928年 - 2014年)による本書は、「南米コロンビアの麻薬密輸組織と政府当局が繰り広げる、凄惨な誘拐とテロの応酬。政府・マスコミの要人を狙った連続誘拐事件を繋ぐ一本の糸とは? 綿密な取材をもとに現代コロンビア社会の暗部を鋭くえぐる」というもの。ガルシア=マルケスは魔術的リアリズムの旗手であり、ノーベル文学賞受賞。『百年の孤独』『コレラの時代の愛』などで有名。吾輩は、『百年の孤独』は20世紀最高の文学作品と思っている(19世紀最高は、メルヴィルの『白鯨』)。ほとんどの作品は読んだし所蔵しているが、本書を見逃していた。古書店で幸運な発見遭遇。彼は、『エル・エスペクタドール』紙の記者の経験がある。カストロとの親交も長く続いたり、政治への関心も深かった。但し、「自身は「小説家の任務は優れた小説を書くこと」として、政治の舞台には一度も上がっていない」ようである。だが、本書ではコロンビア大統領を始め、政治家や役人、軍隊、警察、ジャーナリスト、文化人、一般庶民など、それぞれに生き生きと描かれていて、メデジン・カルテルの首謀者パブロ・エスコバルを追い込み自首させ収監するまでの長く行き詰るドキュメントでありながら、ちょっとした小説以上に文学足り得ている。1990年頃のコロンビアの暗殺や誘拐続きの状況は日本のマスコミもしばしば賑わせていた。背後にはコカイン消費大国のアメリカがあるんだなと感じていたっけ。とにかく、読後の満足感充実。

 今朝テレビのベートーベン特集で、久しぶりにブラームスの交響曲一番を(冒頭だけだが)聴いた。学生時代 LPを持っててワーグナーと共に散々聴いたっけ(持ってるLPが少なかったし)。次第にバッハに移っていったけど。

 

 ドナルド・キーン/著『渡辺崋山』(角地幸男/訳 新潮社)を一昨夜から読み始めた。が、ショックというか落胆したというか、我輩、本書を僅か13年前に読んでいた! しかもなかなかの好著と感想までブログに書いたことがある:「君の貞節堅固は、松や柏と同じである」 但し当時は帰郷して間もなくて、本は専ら図書館を利用。

 当時は図書館通いしていて、入り口のカウンターには新刊本がテーブルに並べられていた。吾輩は、まず、それらをざっと見て、気に入ったのがあったら即手にする。当時はキーンによる崋山の本は新刊で、吾輩が見逃すはずはなかった。既に崋山に注目していた。ただ、その後、展覧会に際会する機会には恵まれなかったのが残念。本書を買っていたら、折々本の背くらいは見ることもあったろうに。

Teiken   ← キーンによる崋山の評伝を僅か12年前に読んでいたと書いた。気付いた切っ掛けは、キーン著の「崋山」の中の、「貞固兼松柏」なる崋山による画への自讚の漢詩を見て。我が家の座敷に似たような漢詩の文句の欄間額が飾ってあるのを思い出したのだ。この連想パターンも12年前と同じ。ネットで原典に当たろうとした。我が家のは、「竹柏喩堅貞」で、やや違う。似て非なる漢詩は他にありがちではないか。ネットでは、「竹柏喩堅貞」が見つかる。

 ここは読書メーター。読書に絡む話題の場。が、我輩は政治の話題も欠かさない。特に時の政権に対しては辛辣。というか、現下の政権に遠慮はしない。仮に支持する政党の政権であっても(但し特定の党の支持者ではない)、同じスタンス。現下の政権に国民が優しくしちゃいけない。と言いつつ政治は、話題のワンオブゼムである。

 ああいう今のトップや ああいう前のトップを持って 支持者は恥ずかしくないのかな? 我輩なら恥ずかしくて町を歩けんぞ。……あ、コロナ禍だから歩かずに済むのか。クーポン券まで使ってコロナを日本中に拡げるってのは、なかなか出来る芸当じゃないです。

 元農水相の事件。鶏の飼育方法を国際基準にするのはヤメテケロという趣旨のワイロ。日本は、ブロイラー。つまり(ブヨブヨの体……病的肝臓)状態の鶏を喰っている。確かに安い。が、これでいいのか?

 角川版漱石全集第10巻を読み始めた。通算12冊め。「行人」など所収。

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