季節の変化についていけない
← 陳 舜臣【著】『万邦の賓客―中国歴史紀行』(集英社文庫)「史書を繙き、悠久の時を生きた人を温かくみつめ、シルクロードへの想いを記し、辺境を旅した探検家たちの足跡を辿る珠玉の中国歴史随想」
梅雨が明けて、ようやく洗濯物が外で干せると喜んだ夏も疾うに過ぎた。晴れてると、昼前に外干ししたのが、夕方になっても生乾き。涼しいはずが、呆気なく寒さを覚える季節に。移り変わりが早すぎる。時よ もっとゆったり流れないかい。
陳 舜臣著の『万邦の賓客―中国歴史紀行』を読了した。仕事の合間に楽しんできた。何度か既に感想めいたことは呟いてきた。
古来より遺ってきた宝物文物は、少なくとも皇帝が集めてきたものの多くは北京や台北にある故宮博物院(館)に収まっている。すぐれた文物は、それを愛する人たちのもの、国籍も人種もこえて、人類の宝なのだ。それを「万邦の賓客」という筆者の好きな言葉で示している。
本書を読んで改めて気付かされたことがある。「中国の古典の特徴は、普通の人が普通の努力で、それに近づくことが出来るところにある。(中略)中国人だけではなく、返り点によって、あるいは読み下しにして、漢文を日本語として読む人たちも含める。これはおもに、中国の古典に、伝統の断絶がほとんどなかったからである」と筆者は言う。
「漢字が表意文字であり、発音が時代と地方によってどんなに変わっても、表記された古典は、ほとんど変化がなく現代に伝わっているという事情もあるだろう。」とも語る。
さらに、「日本は教養としての漢文圏であり、明治初期まで、男子の志気はたいてい漢文でかかれたものである」「明治以前は、詩といえば漢詩であり、歌は和歌であった詩歌が日本人の文芸の中心であったとすれば、詩の背景にある中国の故事のたぐいは、かつて日中両国の文人が共有していたものといえる」点も再認識していいだろう。
国柄としていろいろ問題はあっても、政治はともかく文化や歴史伝統において中国の存在は今後も大きいもので在り続けるだろう。
← 過日、関東(の房総半島か)の方が金木犀の薫りが……という話題を画像を付してされていた。そうか、もう金木犀の花の季節かと庭先を見るも、ちっとも気配がない。ま、富山だから遅いのもやむを得ない……が、ちと悔しい。と、小雨の中、回覧板を届けに庭先を歩いたら、これでもかというくらい、そう、目が覚めるよふな金柑色の鮮烈さ。雨の中の金木犀もいい感じです。
角川版の『夏目漱石全集〈4〉』 (1974年)を読んでいる。所収のうち、「虞美人草」を読了。若い頃の我輩には手強い作品だと痛感。何十年ぶりだが、再読して良かった。傑作かどうか分からないが、人情の機微がよく描かれている。本作品もだが、和漢洋に渡る分厚い素養が濃厚な下地となっていると感じさせられる。漱石はやはり凄いや。
← ボッカッチョ 著『デカメロン 上』(平川 祐弘 訳 河出文庫)「ペストが蔓延する十四世紀フィレンツェ。郊外に逃れた男女十人が面白おかしい話で迫りくる死の影を追い払おうと、十日のあいだ語りあう百の物語」
ボッカッチョ 作の『デカメロン 上』を読んでいる。予想外に面白い。結構、楽しんでいる。仕事の合間に読んでるんだけど、頭の中がエロくなっちゃう。
「デカメロン」の特長は、10人いる物語の語り部のうち7人は女性で、残りの3人が男性。艶話が多いのは当然として、女性(奥方)の側からの話が面白い。男性側の勝手な艶笑話は有りがちだが、この物語では、女性陣も大いにセックスをエンジョイしてる。旦那(男)が手を抜くと私が浮気しても、あなた 文句言えないでしょう!
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