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2020/09/14

大坂なおみ選手全米オープンで2度目の優勝

Shuri-2 ← 高山羽根子/著『首里の馬』(新潮社)「沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。」

 大坂なおみ選出全米OP優勝。第一セットは、奪われ、どうなることかと。コーチの指導、彼氏の存在もあるかもしれないけど、今大会は彼女の執念集中力が際立った。黒人として、人種差別への怒り。怒りで欠場するより、試合に出続けることのほうが影響力が大きい。その決断が見事。

 高山羽根子作の『首里の馬』を読了した。
 沖縄を舞台の幻想物語。沖縄の置かれた特異な悲しい歴史が土台にある。支配者が次々に変わって歴史が塗り替えられ、頻発する台風が住民を家や村もろともに吹き飛ばしていく。古くからの歴史は断片や言い伝えの形で、あるいは読み取りが可能かどうかわからないカセットテープの形で残ってはいるが、それを読み解く人がいない(機械がない)。現れる前にこの物語でも資料館は閉鎖される。物語ではクイズ番組の解答者に送信されるのだが、いつか解読されるとも限らない。それでも、世間から食み出した孤独な人が何処かにいて、嘗て何処かであったことは、語り継がれ、いつか何処かで想像され物語の中で形となっていくのだろう。生まれたものは形を変え夢幻の余波となって伝わっていくのだ。それにしても、首里の馬、宮古馬は何処から来たのだろう。何処へ行くのだろうか。

 また、旅客機から一人の乗客が半ば強制的に降ろされた。マスク着用を拒んだから、という。一般の民間旅客機にそんな強制の権限があるのだろうか? 仄聞するところ、降ろされた男性客は、マスクするとアレルギー反応が生じるとか。そういう体質の方がいることは、マスコミの報道でも伝えられている。航空会社でも、そんなことは常識であろう。そういう客が乗ってきたなら、席を別に設けるか(前回のトラブルの客は席の移動すら拒んだ)、透明なシールドを用意するとか、対処の方法はいろいろあったはずではないか。
 また、乗る客にしても、乗り込む(申し込む)際、どのような準備が必要か、現下のコロナ禍にあっては、予め問い合わす心懸けもあってよかったはず。

 ジャレド・ダイヤモンド著の「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」を読んだが、消化不良気味。人間はなぜセックスがそんなに好きか。しかも生涯に渡って。進化の視点に立てば、人間の生存戦略に迷いがあるからに他ならない。正解である方向が見えないから、あらゆる変態を試すしかない。ネオテニーじゃないが、幼児から老人まで痴態の限りを尽くすようになるかも(表向きは健全に、裏社会では……)。
 一方で人間は、妊娠前に受精卵の染色体や遺伝子に異常があることが分かるためと、着床前診断をやり始めている。ニーズがあってのことだろうが、進化せんとする圧力がもたらす可能性の芽を摘んでもいる。何が、何処へ向かうのが進化なのか、誰にも分からない。先が見えないのだ。
 人間と他の動物との違いは、個々の人間が生存を賭けてあらゆる手段を尽くそうとすること。子供を産まないという選択肢も含めて。

 東西間の冷戦崩壊で、米軍にとっての日本の最前線基地としての意義や存在感は薄れた。最早、日本の繁栄を放置する意味はなくなったわけだ。よって日本は日米構造協議などで完膚なきまで叩き潰された。以来、失われた30年がなすすべもなく過ぎ去った。ロシアには嘗ての輝き(?)もパワーもない。変わって中国の台頭、米国の沈下などの事態が現前している。日本は世界の中でどのような位置を持つのか、ギリギリの選択を迫られる時が近付いている。待ったなし!
 旧大蔵省は解体され、省庁統合、市町村合併、消費税(逆進制)の導入、年功序列への罪悪視、日本の成長モデルが壊され、格差社会へ突き進んだ。中間層が消され、成長の主力エンジンである民間消費が弱まった。
 アメリカの次期大統領が民主党に変わろうと、世界の構図は変わらない。アメリカの余力や存在感が磨り減っていく。EUは、その事態を見越して統合した。中国だけじゃない、インド、東南アジア、中東、中南米、アフリカ諸国勢力の伸長。日本は、当面はアメリカ追随だろうけど、立ち位置は変えざるを得ない。どう動く?
 世界の勢力地図が大変貌する。どの国もサバイバルに必死。日本は、水を含めた食糧やエネルギーの自主独立を図ることが最低限の戦略になる。原発も可及的速やかに廃炉にしないと。住宅地に近いこともあり、ミサイルの格好のターゲット。
 今の利益死守、現状維持、拠らば大樹。自民は先制攻撃もあり だって。外交能力も戦略もない。アメリカから情報を貰えなくなったら、あっさり日本は沈没。立憲民主にも戦略も展望も示せていない。ただ、言えることは、アメリカにも中国にも展望を描けないでいる。だから、軍事力と独裁政治に傾斜してしまう。断言し他者を排除する姿勢が頼もしく映る。ほんとは、強がる奴ほど、臆病者なんだけどね。

Iut_20200914203401 ← 加藤文元著『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(角川書店)「理論のエッセンスを一般の読者に向けてわかりやすく紹介。その斬新さと独創性を体感できる」

 加藤文元著の『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』を読了した。

 望月新一教授が発表した、「宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論」の極めてユニークな特性が念入りに語られる。19世紀に非ユークリッド幾何学が数学(幾何学)の世界に革命を起こした歴史に匹敵するとか。数学者でも、対面で濃厚なレクチャーを受け、且つとことん疑問をぶつけていかないとならない。それでも、得心が行くかどうか。兎に角斬新奇抜な新しい数学なのだと、力説。着想もだが、使われる数学言語もユニークで、数学者でも理解に数年あるいはそれ以上の年月を要するかも! だって。結語で、「従来の数学は、単一の数学の舞台で、ものごとを実行します。しかし、IUT理論は複数の舞台で作業をするということで、それまでになかった柔軟な状況、つまり、従来の数学の視点からは「非常識な」柔軟性を手に入れる、というわけ」だという。正直、劉 慈欣作のSF『三体』より遥かにファンタジックな読書体験だった。

 昨日は、アメリカが同時多発テロの発生した日。我輩は、夜の10時過ぎだったか、ラジオでそのニュースを聞き、仕事を切り上げ、行き付けの食堂へ。アメリカ(ブッシュ大統領)は、復讐とばかりに、デッチ上げの<証拠>を盾に、イラクに侵略し政権を倒し、フセインを殺した。とんでもない蛮行。日本の小泉首相(当時)は、アメリカの侵略戦争を支持した。理解とか、容認じゃなく。支持したってことは、アメリカと同罪。他国へ侵略し、フセイン氏を殺した罪は小さくない。イギリスを見倣って、徹底した検証は不可欠だ。
 思えば、先の敗戦でさえ、国家として検証したことがないんだから、論外か。無責任国家体質だけは一貫している。悲しい。
 小泉元首相は、自民党をぶっ壊すとか、勇ましかったけど、己れの為した愚をどう総括するのか。知らん顔?

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