ハーン再発見 土地再認識
← 白井聡著『武器としての「資本論」』( 東洋経済新報社)「なぜ格差社会が生まれるのか。なぜ自己啓発書を何冊読んでも救われないのか。資本主義を内面化した人生から脱却するための思考法」
今日も午後の五時過ぎから庭仕事。杉や泰山木、バラ、柘植、などなど剪定。
それより、今日のメインは、午前中の土地関連調査の立ち合いだろう。我が家の私有地のうち、合計四か所…百坪近くが道路として使われてきた。私有地ではあるので、固定資産税も払っている。何年か前、何とかならないかと要望し、一部は固定資産税の課税対象から外してもらった。ただ、未だに田圃扱いとなっている。この度、法務局の調査に立ち会うことで、これらの土地が正式に富山市の公道扱いとなる。税の対象から外れるが、同時に、私有地でありながら、最早手が出せなくなる。ま、実際、今までだって住宅地の道路として使われてしまっているから、手が出せなかったのだが。
昨日からは白井聡著の『武器としての「資本論」』を引き続き読んでいる。初心者向けの資本論の解説書というより、マルクスの考察と分析の凄みを思い知る。19世紀のイギリスの産業革命当時の社会を分析して今日の資本主義制の病弊をここまで見通しているとは。凡百の経済学者らの分析など嗤えてしまう。面白い。いや、面白いなんて言ってる場合じゃない。この度のコロナ禍でも、社会の矛盾や歪みが増幅して現れたのだ。派遣や介護や医療や運輸や家庭や学校などなど、現場が苦しんだ。評論家など一部の連中はリモートだとか、安全を保っている。なのに、そういった連中が高い給料をもらっている。リスクに直面しているのは現場なのだ。
← 『ラフカディオ・ハーン著作集」第一巻「アメリカ雑録」』 (平川祐弘,仙北谷晃一,池田美紀子,河島弘美,牧野陽子訳 恒文社)
『ラフカディオ・ハーン著作集」第一巻「アメリカ雑録」』 を読了した。コロナ禍ゆえの休業の日々。せっかくだからと2月以降、トルストイの『戦争と平和』の再読やナボコフの文学講義四冊、書庫の奥に埋まっていたディケンズの『二都物語』や漱石の『文学評論』など、今でなければ読めないような本にトライしてきた。本書も書庫の奥に潜んでいたハーン著作集のうちの第二冊目。本書も発見だった。
ハーンは1850年生まれ。1.ギリシャに生れ、イギリスで育ち、フランスで教育を受けたヨーロッパ時代。2.アメリカのシンシナティへ渡り、ニューオーリンズへ移り、仏領西インド諸島のマルティニークにも行ったアメリカ時代。3.明治23年に横浜に着き、松江へ赴任し、ついで熊本、神戸、東京へ移って明治37年に亡くなった。
本書は、シンシナティ並びにニューオーリンズ時代、ハーンが二十代前半から三十代半ば過ぎの新聞や雑誌での仕事。ハーンの研究家が主だったもの53編を集め、「アメリカ雑録」と題して刊行したもの。解説の平川祐弘によれば、「霊のアメリカ」と題したほうがいいような内容だと。
物語としての「ドリー」や「ビダザリ」、犯罪記事というより文学作品と称すべき「皮革製作所殺人事件」の焼死体の描写、gruesomeな「人間遺体の利用について」、鳥と蛇とを物語って怪奇趣味的な「小鳥店での夢想」など、構成のハーン…八雲を彷彿させる作品が並ぶ。
それどころか、日本での怪談もの、幽霊ものを想わせる作品や、民俗学的な調査の嚆矢と言いたくなるような作品群。
後期と違うのは、文章の洗練度くらいなもので、それは言わずもがなだろう。若き日のハーンが、新聞記事にこんなレベルの高い作品を発表していたとは。吾輩には発見の書であった。
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