« 荷風の韜晦趣味? | トップページ | 外出自粛…庭仕事に汗を流す »

2020/05/01

2020年4月の読書メーター

 コロナ禍の際立った4月。こんな時こそはとトルストイ「戦争と平和」。3月末から読み始めて何とか4月中に読了。今月も何か大作にチャレンジしたい。

4月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:4691
ナイス数:8541



荷風追想 (岩波文庫)荷風追想 (岩波文庫)感想
荷風が亡くなったのは、1959年(昭和34年)4月30日。つまり今日。もう60年以上。書店でも彼の本はよく見かける。今も読まれている人気作家であり続けている。直木賞や芥川賞受賞者でも、ちょっと前になるとすっかり忘れられている作家もいる中で、何故荷風は読まれるのだろう。本書は追想ということで、荷風を多少なりとも知る人たちが書いたもの。巨象を凡人が…じゃなく、それなりの著名人ばかりだ…荷風の評価がそれぞれで随分と違う。
読了日:04月30日 著者:


富山県の歴史 (県史)富山県の歴史 (県史)感想
本書は97年刊行。富山県史なる浩瀚な文献のハンディ版。当時は東京在住だったから、帰省の折りに読んだのか。かなり慌てて読んだようで、特に中世の勢力争いの輻輳ぶりに辟易した記憶がある。今回は、帰郷して12年だし、少しは県内をツーリング、富山関連の本も何冊かは読んできたので、本の少し見通しが良くなった……と思いたい。富山の魅力、もっともっと、である。
読了日:04月27日 著者:深井 甚三,久保 尚文,市川 文彦,本郷 真紹


世界文学全集〈49〉トルストイ (1978年)世界文学全集〈49〉トルストイ (1978年)感想
40年ぶり。読了。感懐ひとしお。本書に感想など要らないだろう。ロシアの運命を決める戦争、その中で翻弄される人々。愛と憎しみ、嫉妬、信仰、貴族(領主)と百姓(農奴)との葛藤、百姓の知恵。いつの間にかトルストイ晩年の大作だと思い込んでいたが、なんと36か37歳から書き始め、40歳の頃に完成。信じられない。再読だし、この時節柄なので、大河に身を任せるよう、急く思いを抑えて敢えてゆっくり読んだ。
読了日:04月27日 著者:


富山県謎解き散歩 (新人物往来社文庫)富山県謎解き散歩 (新人物往来社文庫)感想
各章とも2頁から3頁の短文で綴られた富山探訪。再読。前に読んだ『富山散歩』が情報量が豊富だが、それぞれの項目は短い。本書はやや敷衍されている。カフェで、車中で気軽に読むのにいい。いろいろ教えられた。
読了日:04月21日 著者:


すごい物理学講義 (河出文庫)すごい物理学講義 (河出文庫)感想
さすがのロヴェッリ。一般向けサイエンス書として一級品。「時間は存在しない」を読んで、ちょっと腑に落ちなかった方は、本書を推奨。西欧の物理学者って素養が豊か。面白く分かりやすい。敢えて日にちを費やして楽しんだ。超ひも理論に対抗する有力なループ量子重力理論の第一人者。ビッグバンのリバウンドも、場合によっては宇宙を観測することで証拠が見つかるかも、だって。刺激を受けた吾輩、アインシュタインの相対性理論の論文はともかく、せめてニュートンの「プリンキビア」くらいは読まなけりゃと背中を押されたよ。
読了日:04月19日 著者:カルロ・ロヴェッリ,竹内薫


世界文学全集 48 戦争と平和Ⅱ(1978)世界文学全集 48 戦争と平和Ⅱ(1978)感想
題名「戦争と平和」。原題からすると「戦争と民衆」だとか。テーマもロシアの信心深い民衆を描くこと。貴族らは、要所要所でさりげなく民衆……百姓に救われている。が、百姓のことなど、眼中にない。百姓らはあっさり殺されていく。貴族らは、何の感懐も抱かない。踏み台んしている濃度や百姓と貴族とのその乖離が痛切、現実の重さを感じる。これを37歳から41歳に書いたなんて人間業じゃない。本巻ではロシアに侵攻したフランス(ナポレオン)軍との凄絶な戦闘場面の見事さが圧巻。恋愛沙汰もこれだけでも一級品。深く美しい。早速、最終巻へ。
読了日:04月17日 著者:トルストイ


肉眼の思想―現代芸術の意味 (中公文庫 M 100)肉眼の思想―現代芸術の意味 (中公文庫 M 100)感想
初版は79年だが、吾輩が入手したのは90年。吾輩が創作活動を始めた頃だ。大岡氏の本はいろいろ読んできたが、80年代後半に入手した『抽象絵画への招待』 (岩波新書)が、絵画については刺激的で影響を受けた。ポロック、クレー、ミロ、ヴォルス、デュヴュッフェ、フォートリエなどなどの作品を見て回った。89年の一月からは、ポロックの作品(画集)を横目に創作に励んだ。大岡氏の現代芸術への展望も変遷したのだと感じる。 いろいろ参考になることはあったが、大岡氏のレトリックを堪能させてもらった。
読了日:04月17日 著者:大岡 信


富山県の歴史散歩富山県の歴史散歩感想
再読である。
 初回は、帰郷した08年で、富山のことを知りたいと新刊だった本書を入手し、ほとんど一気読み。あれから12年。特に3年前バイクを買ったこともあり、バイクでの往復100キロに満たないようなミニツーリングの形で、県内各所を訪れている。今回は、主に就寝前に10頁ずつと牛歩し、味読。それなりに馴染みとなった場所が増えたのが嬉しい。
読了日:04月15日 著者:


崩れ (講談社文庫)崩れ (講談社文庫)感想
本文には筆者が72歳であり52キロであることが何度か出てくる。昭和51年からの連載(『婦人之友』にて)。当時の72歳というと、いまなら80歳は優に超えている。その年で思い立って自然の剥き出しの惨状に立ち会おうと思い立った。厳しい場所が多く、時には関係者に背負ってもらってまでも崩れの現場に近付こうとする。もう、なりふり構わず。その思いは何処から来るのか。身辺雑記の叙述を得意とする作家が何故。昭和の作家で山の厳しさ美しさを愛でた人物は散見される。が、崩落現場へ自ら出向き対面した作家は少ないのではないか。
読了日:04月11日 著者:幸田 文


偉業 (光文社古典新訳文庫)偉業 (光文社古典新訳文庫)感想
ナボコフが初期にロシア語で書いた長編の四作目。時に邦訳題名が『青春』や『栄光』だったことから分かるように、自伝的要素を色濃く反映した青春小説という理解だったとか。訳者は、そんな読み方も可能だとした上で、他の読み方ができると言う。読んでみると、かなり野心的な作風。方法的自覚が強いナボコフならではの、ややとっつきにくさを感じることも。若書きなのか。
読了日:04月09日 著者:ウラジーミル ナボコフ


金瓶梅 2 (岩波文庫 赤 14-2)金瓶梅 2 (岩波文庫 赤 14-2)感想
四大奇書のひとつとして知られ、明の万暦中期(16世紀末)に書かれた。徽宗治下の15年間の世態人情、市民生活を描いている。「タイトルの『金瓶梅』はストーリーの中心となっている3人の女性、潘金蓮、李瓶児、春梅(龐春梅)の名前から1文字ずつ取ったもの」であり、「『水滸伝』の 第二十三話から二十七話までの武松のエピソードを拡張し、詳細にした、『水滸伝』からのスピンオフ作品」(「金瓶梅 - Wikipedia」より)だとか。
読了日:04月07日 著者:笑笑生


生き物の死にざま生き物の死にざま感想
分かりやすく読みやすい。それこそカフェで気軽に楽しめる。生き物は子をなすまでがすべてだと思い知る。子が生まれて…あるいは自立してからは親は消えゆくのみ。それどころか子供の栄養源とさえなる。残酷なようだが、合理的でもある。つくづく人間は、不自然な生き物なのだ。
読了日:04月04日 著者:稲垣 栄洋


世界文学全集〈47〉トルストイ (1978年)戦争と平和 1世界文学全集〈47〉トルストイ (1978年)戦争と平和 1感想
感想など書けない。ただ、ひたすら凄い作品としか云えない。第一分冊だけで、堪能。これ以上、何を書くの! 徹底した求道者。国家から危険人物扱いされ弾圧されるほどの。奥さんを始め、まわりの凡人は理解できずに振り回され苦しんだのも無理はない。
読了日:04月02日 著者:トルストイ


半自叙伝 (河出文庫)半自叙伝 (河出文庫)感想
優れた作家の自叙伝。作家の悪戦苦闘ぶりがひしひしと感じられた。だが、読む順番を間違えた。吾輩はまだ、古井由吉の作品をわずかしか読んでいない。もっといろんな作品を読んでから再読、味読したい。
読了日:04月02日 著者:古井由吉

読書メーター

|

« 荷風の韜晦趣味? | トップページ | 外出自粛…庭仕事に汗を流す »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

書評エッセイ」カテゴリの記事

読書メーター」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 荷風の韜晦趣味? | トップページ | 外出自粛…庭仕事に汗を流す »