「方丈記」も「方丈記私記」も
午後の五時前から今日も庭仕事。今日は、車道沿いの細長い花壇の整備。つい先日、この一角の草むしりや剪定を行ったのだが、今日は、主にトタン葺きの壁面にこびりついているというか、蔓延っている蔦…蔓退治である。
南に面するトタン葺きの壁。太陽光パネルを張ったら絶好と思える日当りのいい一角。蔦が壁面を覆い、壁にある出窓にも侵入。つい先日気が付いたのだが、蔦はトタンの中にまで食い込んでいた。剥がすのが大変。力づくでもダメで、ハサミなどで蔦の蔓にグリグリ突っついて取っ掛かりを作り、蔓を掴んで改めて剥がす。トタンから剥がれるバリバリという音。トタンの塗装が剥がれ、トタンの地金も傷む。
やはり近いうちに壁面を補修しないといけないだろう。
例によって作業が終わった七時前にはすぐにシャワー。汗びっしょりの体が生き返るようだ。
← 未だ若い椿。樹高は一メートルほどか。新芽というか若葉が初々しい中、他の椿がほぼ散り尽くしてしまった今頃になって開花。花も若さが出るのか、勢いがある。
朝方、燃えるゴミ出しで、ゴミ置き場と今日出すゴミのある納屋とを数往復。だからか、午前十時の時点ではやくも万歩計の数値が1100だ。
堀田 善衞 著の『方丈記私記』を読了した。二度目か三度目か。
先の15年戦争の悲惨な結末。東京にしろ富山などの地方にしろ焼夷弾などで焼き尽くされた。あるいは沖縄は地上戦が戦わされたたけにもっと悲惨だったろう。なのに、終戦直後の日本人は負けてすみませんと天皇に詫びる。天皇はというと、天皇制の維持に汲々としている。国民の困窮、まして中国や朝鮮への懺悔の気持ちの欠片も示さなかった。
「『方丈記』の中で長明は、安元3年(1177年)の都の火災、治承4年(1180年)に同じく都で発生した竜巻およびその直後の福原京遷都、養和年間(1181年~1182年)の飢饉、さらに元暦2年(1185年)に都を襲った大地震など、自らが経験した天変地異に関する記述を書き連ねて」(「方丈記 - Wikipedia」より)いる。
← 堀田 善衞 著『方丈記私記』(ちくま文庫) 「1945年3月、東京大空襲のただなかにあって、著者は「方丈記」を痛切に再発見した。無常感という舌に甘い言葉とともに想起されがちな鴨長明像はくずれ去り、言語に絶する大乱世を、酷薄なまでにリアリスティックに見すえて生きぬいた一人の男が見えてくる」
都の権威は失墜し、火災や盗賊、地震の頻発する時代。人心は都から離れ、いよいよ頼朝が挙兵するという時代。そんな時代にあって、当代第一級の歌人である藤原定家は、「紅旗征戎吾が事に非ず」と、潔い。要は、世俗の悲惨も政治的混乱も一切、眼中になく、芸術至上主義を貫く。歌は、300年前の歌に使われた言葉(美意識)を踏襲するものでないといけない。そこには、新しい空気の入る余地などなかった。
が、長明はこんな世相にあっても日々宴会や歌舞音曲に興じる貴族にとっては雑音に過ぎないものが気になってならない。定家らに認められたいと切に願う一方で、卑俗な身分に過ぎない彼は巷の悲惨を無視はできない。といって、朝廷や貴族とは絶縁を宣言する親鸞らほどには徹底できない。
中途半端と云えばそうだが、だからこそ人間的でもある。
堀田善衛は、そんな定家の美意識も長明の人間味も余すところなく抉り出す。
「方丈記」もこの「方丈記私記」もこれからも読み継がれるに違いない。
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