宅配ボックス設置
仕事が暇で、このままでは想像以上に勤務中に本を読んじゃいそう。なので、車中での待機中に読むに相応しい本を父の書庫で物色してきた。父の蔵書(生前、かなり整理したようで)は、時代小説、歴史小説が多数。名のある時代・歴史小説家の本は揃っている(当然、生前の10年前までのものに限るけど)。
← 稲垣栄洋 著『生き物の死にざま』(草思社)「老体に鞭打って花の蜜を集めるミツバチ、地面に仰向けになり空を見ることなく死んでいくセミ、成虫は1時間しか生きられないカゲロウ…生き物たちの奮闘と哀切を描く感動の物語」
稲垣栄洋 著の『生き物の死にざま』を今朝読了。ほとんどを車中での待機中に読んだ。呆気なく読み終えるのももったいなくて、30頁ほどを残して自宅で読んだ。
本書については、読んでいる最中にその都度、メモ風に感想めいたことを書いている:
「死」は、10億年前に。性という仕組みの誕生と同時……引き換え。子を成す(遺伝子を遺す)ことが全て。セックスは命懸け。人間も灰になるまで性慾は消えない。
カゲロウは、翅を発達させて空中を飛んだ最初の昆虫とも。
ネタバレになるので書かないが、ハサミムシ、哀れ憐れ! 本書は、分かりやすく興味深い。セミは土中に何年生きるか必ずしもわかっていないとか。確かに土の中を何年も観察できないね。
蟻の章。蟻の体長一センチほどだって。どんだけデッカイ蟻なんだ?!
雪虫は、冬を迎えることなく、死んでしまう。 雪虫や冬に紛らすいのちかな
ミノムシのメスは、一生、簑の中。……そう言えば、ミノムシ、見かけないナー。気が付かないだけ?
ガキの頃、ミノムシを突っついたら、中からウジムシのようなモノが出てきて、びっくりしたことがある。いったい、何が飛び出すと思ってたのか?
クモの章。 昔、「我が友はクモ!」って、雑文書いたことがある。東京での孤独な暮し。でも、ホームページに載せたから、文章は、ホームページの消滅と共に消えた。「我が友はクモ!」って題名だったから、雲か霞と消えたのかしら。
蜂の章: 蜂(や蟻)は、階級社会と説明されることがしばしば。女王蜂やら働き蜂やら。でも、人間社会の階級とは、決定的に違うことが。それは、(恐らくは)蜂や蟻は、階級なんてことを意識(自覚)していないだろうってこと。階級を意識(自覚)しない階級社会なんて、支配階級には夢(理想)だろうね。実際、アホな(賢い)評論家は、質素でも幸せな生き方は可能とか何とか。が、いざ、新型コロナ禍となると、フリーターや嘱託やは、一気に奈落の底へ。
← デヴィッド・クリスチャン / シンシア・ストークス・ブラウン / クレイグ・ベンジャミン 著『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史』(石井克弥/ 竹田純子 / 中川泉 訳 長沼 毅 日本語版監修 明石書店 ) 「最新の科学の成果に基づいて138億年前のビッグバンから未来にわたる長大な時間の中に「人間」の歴史を位置づけ、それを複雑さが増大する「8つのスレッショルド(大跳躍)」という視点を軸に読み解いていく。宇宙論、生物学、化学などの自然科学と歴史学、地理学、社会学などの人文社会学が融合した「新しい学問」、ビッグヒストリーのオリジナルテキスト」
上掲の『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史』を日々少しずつ読み続けている。
今日は、プレートテクトニクス。おおよそは知っていたので復習かな。新型コロナ禍根はまだまだこれから。だからこそ、本書だったり、トルストイ「戦争と平和」だったり、スケールを大きくみたい。ウイルスも細菌も数十億年を生き抜いてきた。人間も含め多細胞生物は、そうしたバクテリアの巨大な海の表層を漂っている。生命についても、分からないことだらけ。謙虚に気長にたゆみなく。
蟻をめぐる思い出: 二十歳頃だったろうか。何が原因か覚えちゃいないが、やたらとムシャクシャしていた。帰省していた。庭に出てみたら、蟻の長い行列が眼下に。庭先。いつもなら、跨いで行くのだが、その時は違った。見過ごすことが出来なかった。
庭先の蛇口。ホースが繋いである。蛇口を捻って水を出し、ホースの先を行列のど真ん中に勢いよく注いだ。蟻たちは右往左往し始めた。あっという間に出来た水溜まりに浮かび流れる蟻たちも。けれど、列を乱したくらいじゃ気がおさまらなかった。
サンダルの足を上げる。躊躇ったかどうか覚えていない。足を勢いよく蟻の列へ。水溜まりから這い上がる蟻の塊へ。サンダル越しに踏み潰す感触が感じられた。蟻の骸か泥水の感触なのか、分かるはずもない。踏み潰す肉の気持ち悪さを打ち消そうと、なおのことむきになっていった。
ちっぽけな良心しか、生き物への思いしか持ち合わせない自分は、後味の悪さが夢にまで忍び込んできた。数日後、五月の帰省の期日は終わり、帰省した時同様オートバイでアパートのある町へ向かった。雨だった。土砂降りだった。合羽は着ていたが、一時間も走らないうちに、びしょ濡れ。
寒くはない季節。が、たださえ走行するバイクには秒速数十メートルの風が当たる。濡れた衣服、つまりは体から熱を容赦なく奪っていく。走行距離にすると、500キロほど。降りやまない雨。雨は体をヘルメットを叩く。砕ける雨粒とエンジンの鼓動……振動。
若かったから走りきれたのか。が、若かったから無理を押し通してしまった。給油以外に止まる発想はなかった。やるなら、走るなら一気だ。昂る体。興奮が部屋に辿り着いてもさめやらない。次第に妙な神経の昂りを覚えた。体の芯から沸き上がる熱が止まらなくなった。体の震え、歯の根がガチガチ合わなくなった。とうとう倒れ込んでしまった。アパートの一室で三日三晩、寝込んむことに。蟻たちの復讐? それともささやかな良心の呵責?
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