疫病のもたらすもの
← 小雨の中、内庭散策。カエデの新緑が瑞々しい。椿の赤紅や濃緑とのコラボ。
トルストイの『世界文学全集 48 戦争と平和Ⅱ(1978) 』(集英社)を読み続けている。
今日は風雨。終日、家に籠っていた。外仕事もせずに。読書に専念し、本書の残り150頁を読み終えたかった。でも、頓挫。活字が細かくて、数頁読むごとに休憩。老眼の悲しさ。初めて読んだときは肉眼だったなんて、我ながら信じられない。
『富山県の歴史散歩』(山川出版社)を夜毎少しずつ読み続けている。
富山、すごい。行きたいところが目白押し。外出を控えるべきだろうが、バイクで出掛けるし、大概、人影はまばらと相場は決まっている。月に二度のミニツーリングだと、主だったところを訪ねるだけでも数年を要しそう。
ちょっと嬉しいのは、初めて読んだ(買った)08年と比べ、さすがに訊ねた場所も少なからずということ。それでも、まだまだ奥が深い。
← 玄関先の名のツツジの木が芽吹いていた。小雨に埃も洗われ気持ち良さそう。
あと一冊、日々読み続けているのは、デヴィッド・クリスチャン / シンシア・ストークス・ブラウン / クレイグ・ベンジャミン 著の『ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史』(石井克弥/ 竹田純子 / 中川泉 訳 長沼 毅 日本語版監修 明石書店 ) である。
370頁ほどなのだが、とにかく大判。日に10頁ほどずつ読んでいるが、ようやく3分の1。まあ、138憶年の歴史なんだから、気長に悠然と、である。
この三冊と、あとは車中での待機中に日々日替わりに近い形でいろんな本が入ってくる。仕事が暇で車中でもどんどん読めるので、カネもないし、書庫を物色し、上掲のトルストイを含め、再読が増えそう。
新型コロナ禍が猛威を振るっている。疫病と時代の価値観の転換とがネットでも話題になっている。
思い起こされてしまうのは、かのアイザック・ニュートンの逸話。「学位を取得したころ、ロンドンではペストが大流行しており(ペストは以前14世紀にヨーロッパの人口の3分の1以上を死亡させたほどの恐ろしい病気だった。ニュートンが学生のときのそれは数度目の襲来であった)、この影響でケンブリッジ大学も閉鎖されることになり、1665年から1666年にかけて2度、ニュートンはカレッジで彼がしなければならなかった雑事から解放され、故郷のウールスソープへと戻り、カレッジですでに得ていた着想について自由に思考する時間を得た」(「アイザック・ニュートン - Wikipedia」より)。かの万有引力の法則の発見などにつながったわけである。
そもそもペストの流行が、ボッカッチョの『デカメロン』の執筆の動機付けとなったとも云えそう。 ← ジェイムズ・シャピロ 著『『リア王』の時代 一六〇六年のシェイクスピア』(河合 祥一郎 訳 白水社)「アーデン家も関わりし火薬陰謀事件の翌年──1606年を、シェイクスピア目線でクローズアップ!『リア王』執筆の時代背景を活写」
ジェイムズ・シャピロ 著の『『リア王』の時代 一六〇六年のシェイクスピア』は、出版社による内容案内によると、「宗教対立によるテロ事件、愛国主義の高まりと外国人排斥の声、そして疫病にも脅かされていた島国の首都・ロンドンを舞台に、『リア王』や『マクベス』が書かれた背景を政治的にも探究し、ジェイムズ朝をあざやかに甦らせる」というもの。疫病はペストなのは言うまでもないが、当時としては原因不明の、姿なき謎の病だったことは間違いない。
本書について詳しくは:「パンデミックと劇場閉鎖 『『リア王』の時代 一六〇六年のシェイクスピア』|じんぶん堂」を参照のこと。以下は、『マクベス』の一節:
弔いの鐘が鳴っても
誰が死んだか問う者もない。
善男善女の命が、帽子に挿した花よりも早く事切れ、
病でしぼむ暇もない。(第四幕第三場一七一~四行)
吾輩などは、ニュートンのようなわけにはいかない。が、仕事の暇をいいことに、読書がドンドン進む。ナボコフの一連の文学講義やトルストイの『戦争と平和』を再読しようと思い立ったのも、空いた時間を有効にという思いからだ。生き方というと大袈裟かもしれないが、何かしらを瞑目するにはいい機会だろう。というより、何かしらを学ばなければ嘘だろう。
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