人は記憶…思い出の積み重ね
← カルロ・ロヴェッリ著『時間は存在しない』(冨永 星訳 NHK出版)「“ホーキングの再来”と評される天才物理学者が、「この世界に根源的な時間は存在しない」という大胆な考察を展開しながら、時間の本質を明らかにする」。
入院が明後日に迫ってきた。明日、仕事の予定だったが、休むことに。入院の前に入浴しておきたいが、日曜日のお昼の入院で、当日は入浴は叶わない。今日では早すぎる。怠惰な心もあって、休んで明日は入浴。
お昼前からパソコンでの確定申告に挑戦。何度かの失敗を経て、ようやく成功。それも二度も。が、文書の保存に失敗してやり直し。次は、保存はしたんだけど、文書を読み込めないとメッセージが出て愕然。敢え無く沈没と相成った。あとは印刷だけだったのに。
カルロ・ロヴェッリ著の『時間は存在しない』をまる一昼夜で読了した。
アインシュタインの相対性理論は量子力学との愛称が悪い。その欠点を克服する理論として、超紐理論と著者らの研究するループ量子重力理論(時間tのない理論)とがあり、侃侃諤諤の議論が闘わされている。が、本書は肩に力を入れずに読めるよう工夫されている。数式は本文中にはエントロピーが増大することを示す単純(だが深淵)な式一つだけ。このエントロピーの増大こそが時間の存在を傍証する。形(秩序)あるものは壊れる。その逆はありえない。過去、現在、未来。記憶……思い出。物理学的には時間は存在しない(しなくても構わないはず)。
なのに我々の宇宙には時間が存在する。それは、我々がたまたまそんな宇宙に生きているからに他ならない(人間原理?)。時間とは、人間にとって記憶であり思い出の積み重ね。人が人たるのは、それぞれがその人だけの体験を思い出を積み重ねているから。記憶と思い出こそが人間の年輪であり顔の皺として刻まれて行く。……何だか著者の物理理論とは反するようだが、我々の宇宙がこうなんだから、当然の成り行きか。
← ディケンズ 作『荒涼館 (四)』(佐々木 徹訳 岩波文庫)「 レトリックを駆使し,ユーモアと批判を込め,英国社会全体を描くディケンズ芸術の頂点」とか。
全四巻、2000頁の大作を楽しんだ。昨日朝の読了。
18世紀風な語りと、ブロンテ姉妹にあと一歩に迫る緊密な心理描写、情景描写とが混在している。ごくたまに出合う現代文学を彷彿させる描写にゾクッと。刑事モノ探偵モノのハシリのようなサスペンス的要素の一方、ハラハラのドラマの果てに呆気ない結末への流れ。主人公やその仲間たちがいい人過ぎてつまらなく感じる一方、個性的な灰汁の強い登場人物群の言動が読み手を飽きさせない。ギャグにも近い諧謔的でユーモラスな人物表現は、ゴーゴリやチェーホフ、ツルゲーネフらに影響していそう。
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