町の匂いがしない
昨夜来、朝方までの風雨。窓がびりびりし、木立がしなる。空き缶か何かが転がりぶつかるカン高い音。明け方、風が弱まって嵐が過ぎ去ったかのような静けさ。カーテンを開くと、外は既に明けている……いや、雪が降ってるぞ、富山。半信半疑だった天気予報、的中! 疑ったりして、ごめんなさい。
富山県は、幸いなことに(?)未だに一人も新型コロナ感染者が確認されていない、全国でも稀有な県の一つ。昨日、内科医院へ。折角なので、今も富山、感染者、確認されていないんですよね、(更に云わでもがなの一言)検査、やってるんですかね? って。先生、ピシャリと「やってます!」と。
消費税及びコロナ不況で仕事が悲惨。今月は病院の売店で買った一冊のみ。仕事ね合間に読む本が、あまりに暇なもので、読みきってしまった。已む無く再読で数冊も。一冊だけ買ってこようと書店へ。一か月ぶりの書店で、目移りし、三冊買ってしまった。その代わり、自宅では、トルストイの「戦争と平和」の再読中。来月いっぱい「戦争と平和」にかかりきり。
オリンピック一年延期のために、国(首相)も都(知事)もコロナ対策を怠り、それどころか先週末の三連休には「全国の小中高 臨時休校要請へ 来月2日~春休みまで」を緩めさえした。学校再開などは各自の判断で、などと。オリンピック中止だけは何としても回避したいと、緊張緩和ムードを政府が演出したのだ。多くの若者が花見や繁華街へと出歩いた。あの時点で感染爆発したのではないか。オリンピックの来年開催見通しが立ってから、慌ててロックダウンの可能性もと、危機感を煽っている。オリンピックと国民や都民の健康とどっちが大事なんだ?
今日も庭仕事を一時間余り。頭が痒い。今夜も瞬間湯沸し器での洗髪……うーん、今日は一週間の庭仕事の御褒美に銭湯へ。やっぱり気持ちいい!
足音だけが聞こえる。いや、足音さえ聞こえちゃいない。舗装された道を歩いている感触があるだけだ。…あるような気がする。そう思いたいのだ。大地を踏みしめているといえたら、どんなに感激だろう。だが、何処か夢見心地なままだ。実感があると言えば、胃袋のざわめき。喉のイガイガ。口中の渇き。ショボショボする目。腰の疼き。膝の痺れ。耳が遠くなったのだろうか、通り過ぎた二人の会話の声が風に紛れてしまっていた。口パクでもしてたんだろうか。
町の匂い。懐かしいはずの匂いがしない。感覚がぼやけている。朧だ。何処にいるのだろう。ここという感覚があやふやだ。そういえば、ここ一か月誰とも話してない。する必要が生じない。浮いている。ここにいる誰か。あそこにいる誰か。誰でもいい、呼び止めてくれないか。声を掛けてくれないか。思わず悲鳴にも似た声が出そうになる。助けてほしいのだろうか。何をどう助けてほしい、と聞かれたらどう答える。返事のしようがないじゃないか。黙っているに限る。ただ、素知らぬ顔をして通り過ぎればいいのだ。静かに消え去れば全ては無事終わる。だろう?
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