一難去ってまた一難
← ディケンズ 作『荒涼館 (三)』(佐々木 徹訳 岩波文庫)「 生死の淵から生還したエスターを待ち構える衝撃の数々.鏡に映る変わりはてた容貌,「母」からの思いがけぬ告白,父のように慕うジャーンダイス氏の求婚」
「作家の古井由吉さん18日死去 「内向の世代」の代表:朝日新聞デジタル 」なるニュースを病院に持ち込んだ朝刊で知った。大江健三郎も激賞する作家。機会を作って改めて読み返さないと。
ディケンズ 作の『荒涼館 (三)』を読み始めた。全四巻の本作品を仕事の日は百頁、休みの日は150頁ほどと、淡々と読み続けている。名作だとは思うが、いかにも19世紀前半の作家という感が強い。作家が書きたいことをたっぷりと書き込む。ジャーンダイス対ジャーンダイスこそが本作のメインテーマ。不毛の極みのような底なし沼の訴訟地獄。生き血を抜かれ干乾びていく人々。カフカの城を思わせる、姿は見えるようであり、すぐにも辿り着けそうに感じるのに決して辿り着けない結審という幻想。
さて今日は日赤へ。尿鮮血が2月5日の検診で看護師さんに指摘され、27日、内科医院での採尿で改めて濃い尿鮮血。で、急遽、本日、日赤へ。即日の手術を覚悟して。それは吾輩の誤解で、今日は検査のみ。採血、CT、レントゲン、心電図などをやったが、やはり、膀胱の検査がつらかった。おちんちんに内視鏡を入れて尿道や膀胱を確認撮影する。
下半身をむき出しにし、カーテンの先の看護師やお医者さんに晒す。女性だと、妊娠出産の際に取るだろう恰好だ。管が尿道を通る際は傷みが走る。尿道内は敏感なのだ。そのうち、医師が「ああ、なるほど」とか。
検査後、尿管結石がありますねと指摘された。22ミリ。決して小さくはない。超音波での結石治療もあるが、大きすぎて治療に手間取る。ということで、手術を選択した。
2月の尿鮮血、昨日の再度の尿鮮血の際は、最悪の事態も覚悟した。結石という結果は予想していなかった。結石は相当に痛いと仄聞していたからだ。本当なら不幸中の幸いか。昨年の便鮮血、今年は尿鮮血。一難去ってまた一難である。
昨日、内科医院からの帰り道、あるいは最悪の事態を覚悟しつつ、あるいていたら、我が家の庭の曲がり角から厚着の女性がこちらへ曲がってきた。目を逸らそう、合わないようにする日頃の自分だが、近寄った際、つい、女性を、女性の顔を見た。マスクで目元しか分からないが、例の女性だ。美しい繭と真っすぐの目線。目がしっかりと遭った。
あちこちで、出会う人。謎の人。惚れてしまっていいのだろうか。
思わず助けを求めて縋りたい気持ちが噴き出しそうに。無論、そんなことのできる自分ではないのだ。
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