『荒涼館』など本の買い出しへ
← ヴラジーミル・ナボコフ著『ナボコフの文学講義 〈上〉』(野島秀勝訳 河出文庫) 「世界文学を代表する巨匠にして、小説読みの達人ナボコフによるヨーロッパ文学講義録」とのことだが、彼に日本の文學作品をも論評してもらいたかった。ナボコフの鑑識眼に叶う日本の作品はあるのか、あるとして何なのか。気になる。 (画像は、「紀伊國屋書店ウェブストア」より)
雨の心配もないし、それほど寒さもきつくないので、バイクを駆って書店へ。本の買い出しである。サイエンス系の本と文学関連。その中に、急遽、ディケンズの『荒涼館』を追加した。理由は下記のとおりである。『デイヴィッド・コパフィールド 』など、どれも大作だが、『荒涼館』も負けず劣らず。読めば、本年のトピックになるかも。
例によって書店の女子店員は、吾輩がカウンターに近付くとサーと消えて行って、男子店員が応対。女性が吾輩を避けるのは慣れているけど、辛いという気持ちに慣れることはできない。だから一層、女性には近づかないのだ。
入れ歯の補修中。今までの入れ歯は、歯が一本抜けたため、作り変える必要がある。過日の治療の際、歯科技工士のお姉さん、雑な方で、応急に欠けた部分に詰め物を宛がったが、それが歯茎に合わず、食事するたび傷む。歯茎が腫れている。柔らかいものを摂ることで誤魔化してきた。明日も治療だけど、同じふくよかな体形の歯科技工士さんなのか。憂鬱。
ヴラジーミル・ナボコフ著の『ナボコフの文学講義 〈上〉』を読了した。僅か5年前に読んだばかりだが、つい先日、本書でのナボコフによるジョイス作「ユリシーズ」講義があまりに素晴らしく、ユリシーズ理解が深まったと感激の呟きを目にした、それが刺激になり敢えて手に取った。
上巻では、ジェイン・オースティン『マンスフィールド荘園』、チャールズ・ディケンズ『荒涼館』、ギュスターヴ・フロベール『ボヴァリー夫人』が扱われる。ジェイン・オースティンなどはナボコフの好みの作家ではないのだが、決して辛口にならず丁寧に読み込まれている。ディケンズや更にフロベールともなると、文学とは、偉大な作家の世界では、どんなに取るに足りぬ人物でも、ことのついでに登場してくる人物でさえも、息づく権利をもっていると説く。あるいは、『ボヴァリー夫人』は不倫の挙句の借金地獄による自殺と、物語としてはありがちだが、ペテン師や俗物、凡人、気紛れな淑女たちが住むありがちな世界を、フロベールは「比類なく完璧な詩的小説という傑作に変容させている。その力こそ芸術の力だと説く。
美は細部にあり。作家の文体は個々の叙述の妙にこそある。筋書きをなぞっても削ぎ落される細部にこそ、作家の精力が注ぎ込まれている。悲しいかな、我輩、ディケンズはそれなりに読んできたが、肝心の『荒涼館』は未読である。
フロベールの『ボヴァリー夫人』は、二度読んだが(二度目は本書を読んで間もなく!)、ナボコフの講義を再読して、改めて自分が何を読んでいたのかと、忸怩たる思いに駆られた。
ナボコフの本はいろいろ読んできたし、『ロリータ』も二度は読んだが、久しぶりに再読してみよう。本書の講義以降に書いた作品だというし、心して楽しみたい。
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