ベストタイミング
← ダグラス・ホフスタッター 著『わたしは不思議の環』 (片桐恭弘/寺西のぶ子 訳 白揚社)「認知科学の大家でありベストセラー作家でもある著者が、自身の知見と経験をすべて注いだ新たなる知の金字塔。これぞ本物の読書体験!と言えること間違いなしの、知的な歓びが詰まった一冊」
今日、月に一度の内科医院へ。糖尿病などの経過などは順調に推移していよう。だが、2月5日の検診で尿鮮血。で、採尿しようとしたら、真っ赤な尿が。しかも、血の塊までもが。よりによって、通院の採尿の際に出るとは。看護婦さんたちが(内心の動揺を抑えつつ)慌ただしく動き出す。先生に急遽、明朝の入院(手術)を言い渡された。
ショック。だが、検診の際に看護婦さんから尿鮮血だと言われた時点で覚悟していたのだ。むしろ、採尿で何もでないと、手当てが遅れるわけで、今日、再度尿鮮血となったのはベストタイミングだったのだ。
ダグラス・ホフスタッター 著の『わたしは不思議の環』 を一か月を費やして本日ようやく読了。
名著の誉れ高く今も売れ続けている『ゲーデル、エッシャー、バッハ』の続編……というか、やや著者の意図とは違った理解がされがちだったので、真意を改めて伝えようと書いたとか。が、単なる敷衍の書ではなく、書いていくうちに独自のキャラクターが立って、思わぬ内容になったとか。著者は、高度な内容をかみ砕くようにして順を追って説明している。ゲーデルの不完全性定理の意味することを解き明かしているうちに、それが物質から心…魂へ至る階梯を辿っていく。素粒子、原子、分子、細胞、多細胞、組織、脳神経、精神活動。物質と精神の二元論か、意識も物質の究極として説明できるのか。
多様な元素の積み重ねや集合、組み合わせが違う次元で全く違う様相を見せる。星屑はある種の必然性を以て生命に至る。生命は神経網…細胞体の究極の姿として人が魂と呼ぶしかない姿を、つまりわたしという不思議な環を現出させる。何が不思議って、共感する心ほど不可思議な事態はない。デカルトの自我ではなく、他者と共感する心までもが生まれるのは自然の必然なのだろうか。
吾輩の理解は皮相にとどまるが、著者のプライベートな側面も垣間見られて、なかなかの好著だった。『ゲーデル、エッシャー、バッハ』に再トライしないと。
← 斎藤 幸平 (著)『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』 (Νυξ叢書 堀之内出版)「資本主義批判と環境批判の融合から生まれる持続可能なポスト・キャピタリズムへの思考。マルクスのエコロジー論が末節ではなく、経済学批判において体系的・包括的に論じられる重要なテーマであると明かす」
冒頭の書をようやく読了したので、今夕から早速、斎藤 幸平 (著)『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』 を読み始めた。新聞の書評で見つけた。経済学(社会学)関連の本を手にするのは久しぶり。
マルクスは今もって評価されつつも、基本、過去(歴史上)の思想家扱い。環境破壊やエコロジーが喧伝される今日、社会主義など過去の遺物……だった。が、今やそういったマルクス理解(認識)こそがアナクロ。著者の「はじめに」によると、「資本主義批判と環境批判を融合し、持続可能なポストキャピタリズムを構想したマルクスは不可欠な理論的参照軸として二十一世紀に復権しようとしている」のだ。
本書の土台となった博士論文(の英語版)は、マルクス生誕二百年の2018年のドイッチャー記念賞受章。日本人初、最年少受賞だとか。その後の論文を加え、加筆・修正を行った日本語オリジナル版。
マルクスの『資本論』をほんの百頁ほどで挫折した小生、いつかは再チャレンジしたい。
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