鼻をかんだら耳の通じがよくなった
← ジュンパ・ラヒリ著『停電の夜に』(小川高義 新潮文庫)「夫婦、家族など親しい関係の中に存在する亀裂を、みずみずしい感性と端麗な文章で表す9編。ピュリツァー賞など著名な文学賞を総なめにした、インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集」
ジュンパ・ラヒリ作の『停電の夜に』を今朝未明から読み始めた。短編集。冒頭は表題作の「停電の夜に」だが、これからして味わい深い。ドラマチックじゃないけど、じんわり。
小雨降る中、庭仕事。週に一度の作業なので、たっぷり作業。汗だく。これだけ頑張っても、傍から見ると変化は見えないだろうなー。だって、納屋に溜めた枝葉を袋詰めするのがメイン。これじゃ、何をやっているか、分からない。あとは、燃えるゴミの日に汗の結晶をだすだけ。
明日は休み。だから、たっぷりの庭仕事に洗濯2回に、トイレ掃除、台所の流し台磨き、風呂場のマット磨きと頑張った。それでも、今夜は時間を気にせず読書できるのがうれしい。
ハンコの歴史を調べた本が紹介されていた。ハンコに似て非なる篆刻が亡くなった父の定年後の趣味……いや半ば執念のような情熱を傾けていた。お陰で特選になり、地方版だろうが新聞に顔写真も載ったことがある。何回か入選し、あと1回くらい入選したら次は審査員になれるとも言っていた。果たさず亡くなったけれど。父の性分に合う対象に出合えた好運。
惜しむらくは出合いが遅きに失したことか。父の蔵書には、篆刻に彫る文字・熟語を探すためもあってか、中国の古典や辞典が何冊も。いつか中国を旅するのが夢だった。が、生憎その夢を父が呟いた頃、自分は仕事はしていたけれど、貯金が皆無だし給料は生活にピリオドかつかつで、父(母)に行ってきなよと、旅行代の足しを出せる状態じゃなかった。しかし、貯金はなくとも、多少の借金くらいは出来たんじゃないか……
鼻をかんだら、耳の通じ(?)が良くなって、聴こえも良くなった。耳垢が取れた?
ネッ友が曰く、「鼻かんでも耳垢は取れません。耳管が通じたんですね」とのこと。
← ナボコフ/著『カメラ・オブスクーラ』(貝澤哉/訳 光文社古典新訳文庫)「裕福で育ちの良い美術評論家クレッチマーは、たまたま出会った美少女マグダに夢中になるのだが、そこにマグダの昔の愛人が偶然姿をあらわす。ひそかに縒【よ】りを戻したマグダに裏切られているとは知らず、クレッチマーは妻と別居し愛娘をも失い、奈落の底に落ちていく……。」
ナボコフ作『カメラ・オブスクーラ』を昨日未明読了した。
ナボコフの出世作「ロリータ」の雛型の印象もあるが、まだエクスキューズがある。少女は16歳だし、すれっからしの設定。女優志願だが、演技の才能もなければ勉強もしない。主人公はお人好しの金持ちという絶好のパトロン、カモ。とことんかもられるが、男は少女という名の娼婦にメロメロだもの、家庭が崩壊しようと、彼の娘が死のうと少女への偏愛は止まない。堕ちるところまで落ちる。
落ちぶりは堂に入っているが、恐らく本作の眼目はストーリーにはあるまい(展開として予想を裏切ってくれて楽しめる)。まさに、少女の娼婦性を描くことにある。作者は、きっと本作に中途半端なものを感じていたに違いない。だから、「ロリータ」では、少女の年齢を下げた。さらに、ありがちなすれっからしには描くことに作家として妥協、逃げを自覚した。すれっからしの少女にしておけば、エンタメにはなるがナボコフの本意、作家としてのプライドが傷付くのだ。「ロリータ」では、少女の設定は違っている。
但し、本作は、小説として面白かった。ドラマに仕立てたら(監督次第だけど)サスペンスとして成立する。
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