十年ぶりの路面電車
← 目取真 俊【著】『虹の鳥 (新装版)』(影書房)「基地の島に連なる憎しみと暴力。それはいつか奴らに向かうだろう。その姿を目にできれば全てが変わるという幻の虹の鳥を求め、夜の森へ疾走する二人。鋭い鳥の声が今、オキナワの闇を引き裂く」。
昼前、ようやく重い腰を上げて、バイクを車検に出した。買ってから早くも2年が過ぎた。定年記念ということで、小冊子ながら本を出し、玄関前に車庫を設置し、車種の選択に半年迷った挙句、中古ながらもスズキのバイクを買った。
乗った距離は多くはないが、夏場と冬場を除いて、月に二度ほど、往復百キロほどのミニツーリングを楽しんできた。未だに県外に出てない内弁慶なライダー生活である。
店への往路はバイクだが、帰りは富山駅までは路面電車、駅からは歩き。ゆっくり普段は車からの車窓からしか見ない風景を眺めて。路面電車に乗るのも十年ぶりか。車か自転車の利用が多いので、なかなか乗る機会がない。車と違って、交差点を優先して走る。普段、苦々しく電車を眺めていたのが、逆の立場になって、なんとなく嬉しい。
帰宅後、一服して、庭仕事。隣家との間の樹木の枝葉の伐採作業。雪が降ったり、先日のように強風ともなると枝葉が隣家の壁などを擦る恐れがある。苦情を言われないよう、早めにカット。髪も枝葉も短めに。
昨日、読み始めた目取真 俊作の『虹の鳥 (新装版)』を今朝というか未明に読了。吾輩にしては珍しく一気に。
本書については、昨日、読んでいる途中で、「ぶつける先のない怒りに満ちている。ノワール的作品の気味も。しかし読み進めるうちに、暴力が売りのエンタメとはまるで違うことを感じさせられている。少女への米兵による強姦事件を背景にしている。同様の事件は数知れず発生しているのだろう。日本の警察の手の及ばない歯がゆさ悔しさ」と書いた。
日本の面積の1%の沖縄に、米軍基地の75%が置かれている。本土でも制空権はアメリカ軍にあるが、沖縄県は米軍の管轄下にあるようなもの。そこに社会の矛盾や歪みが生じないわけがない。今では返還された米軍用地が沖縄県のもと、有効に活用されている。米軍に借地料などをもらうより利益は出ている。もう、米軍には頭が上がらないとは言わせない。しかし、嘗ては米軍に対し卑屈にならざるを得ない面があったのも事実。本書はそんな時代を背景に物語は綴られている。
出口なしの中で、作者は懸命に救いを模索している。その足掻きにも似た最後の場面は印象的である。
← トニ・モリスン作『青い眼がほしい』(大社淑子訳 ハヤカワepi文庫)「人間としての価値や美しさは白人の世界にのみ見出され、そこに属さない黒人は存在意義も認められていない。白人が定めた価値観を痛烈に問いただす、ノーベル賞作家の鮮烈なデビュー作」。
トニ・モリスン作の『青い眼がほしい』を読み始めた。ノーベル賞作家らしいが、全く未知の作家。読書メーターでの評判で買い求めた。自宅では、「平家物語」と本書を交互に読んでいる。
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