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2019/08/30

光の洪水も騒音だ

9784062924207_w_20190830202201 ← 『新版 平家物語(一) 全訳注』(杉本 圭三郎 (翻訳)  講談社学術文庫)「「おごれる人も久しからず」――権力を握った平清盛の専横は、平氏一門の運命を栄華の座から滅亡へと転回させる。院庁と山門の紛争、天台座主明雲の流罪、鹿ヶ谷の謀議。清盛激怒の末の鬼界が島への流罪と、俊寛の客死。さらに後白河法皇鳥羽離宮幽閉などなど、物語序盤にして時代は末期的様相を呈する」

 激しかった雨も上がり、日も差してきた。昨夜半過ぎに干した洗濯物は、雨に濡れたのか、しっとりしたまま。これから乾いていくのかな。

新版 平家物語(一) 全訳注』を読んでいる最中で、今、まさにかの俊寛の悲劇の下りに至っている。
 その注釈に、鬼界が島にて、発掘がなされ、掘り出された骨の鑑定が鑑定された。その結果、俊寛の可能性ありと。なので、ネットで情報を検索してみた。その結果が以下:

 panzerさんの鈴木 尚著『骨が語る日本史』に寄せたコメントによると、「『平家物語』に鹿ケ谷の陰謀にて平清盛により鬼界ケ島へ流罪との俊寛。何処の場所か歴史的には不明。伝承のある鹿児島県の喜界島から発掘した骨から生前の顔を復原すると庶民の顔とは異なる貴族的容姿。埋葬の仕方から見ても島外の貴人。人類学的に俊寛と考えて間違いないとの見解」とか。

 トヨタ、エスティマの生産終了へだって。寂しいな。帰郷して最初の愛車は、エスティマだった。エッグシェイプという売り出しの宣言文句に痺れた(わが体型を連想させるからじゃない)。20万円の中古だったけど、冬、この車で新聞配達したことも。

けばけばしいネオンサインは静かな町の夜には邪魔: 

 我が町は、つい最近まで村だったかのような、静かな町。市街地から海辺を結ぶ街道沿いにある。十数年前までは我が家にも田圃が残っていた(5月の連木には帰省して田植えを手伝っていた。今は町民有志の共同の畑に)。数年前には、近所に残っていた唯一の田圃も耕作放棄となった。街道からは家々に阻まれ耕作放棄地や町の共同の畑、かなり大きな公園(ここもかつては田圃だった)などは見えない。
 小さな食堂、(数年前廃業した)自転車屋、家庭用品店、酒屋、スナックなどがあるが、到って静かな町である。夕方ともなると、家々の灯りがポツポツ宵闇に浮かびだし、夜ともなると、街道を走る車のヘッドライトが目立つだけ。
 富山市は、市の中心部だけは、それなりに高層のビルが建ち並ぶが、ほんの一歩街中を離れると閑散そのもの(それどころか夜の九時頃には中心部すら寂れた風情が漂う)。さて、我が町は静かな、悲しいかな開発や発展から取り残されたような(場末では決してないのに)場末っぽい雰囲気が濃厚。さてそんな静かすぎる町の佇まいを唯一壊す存在がある。
 それも村だったのがようやく町となった頃から生じたもの。それは、宝飾品の店。店の種別が問題じゃない。問題なのは、店の屋上のけばけばしいネオンサインである。夕方には薄暗くなり、夜には闇に沈む町が、さらには街道からは裏手の公園や畑、野原までもかネオンサインの煌々たる光の洪水に晒される。夜空を楽しみたくても、僅かその店の広告塔の光の洪水の故に阻まれてしまう。発光は夜まで、せめて10時までで、夜半には照明を落としてほしい。静かな夜が欲しいのだ。あるいは、光は街道側に放たれる工夫はできないものか。
 宝飾品って、単なる贅沢品ではないはずだ。身に付ける人のセンスが如実に現れる。金ピカな装飾品をこれでもかと見せびらかす、あるいは相応しい場で身に付ければキラリとセンスを現す、時にはふとした瞬間に首もとや手首、耳元にかいま見えるコジャレたアクセサリー。まさに、センスと常識の度が現れる。さてでは一晩中けばけばしい光の洪水で静かな帳を破り続けて平気なセンスの店って、どうなのか。とにかく、邪魔くさい。音ではなく、物言わぬ光だって、静かな町には煩いのである。
 星空を楽しみたい。この店がなければ……と思ったら、コンビニができた。あの店みたいに屋上でけばけばしく光るわけじゃないが、それでも明るすぎる。宝飾品店ほどじゃないけど。街道に向かってだけ輝けばいいはずだよね。

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