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2019/08/24

我田引水も極まれり

 家の中に虫が生息している。久しぶりのゴキブリか。それとも鈴虫か何かの昆虫が迷い込んだのか。最初に観たのは一昨日、男子トイレで。窓が開いていたので、そこから忍び込んだものと思われる。今日また玄関で観た。ゴキブリなら殺っちゃうが、秋の虫ならなんとか外へ自分で出てほしい。奴の動きが素早いので、正体を確かめられない。今度、見かけたら正体を確認するぞ。

9784062924207_w ← 『新版 平家物語(一) 全訳注』(講談社学術文庫)「「おごれる人も久しからず」――権力を握った平清盛の専横は、平氏一門の運命を栄華の座から滅亡へと転回させる。院庁と山門の紛争、天台座主明雲の流罪、鹿ヶ谷の謀議。清盛激怒の末の鬼界が島への流罪と、俊寛の客死。さらに後白河法皇鳥羽離宮幽閉などなど、物語序盤にして時代は末期的様相を呈する」

 昨日、庭仕事に精を出したこともあり(仕事の前日は庭仕事しないという決まりもあって)、今日は買い物や洗濯などを除き、雑事は控え、読書と居眠りに終始した。

平家物語』を再び読み始めた。
 やはり、原文がいい。と言っても、読み下し文。琵琶と共に謡うように語る。世人の耳に心に訴えかける。伴って内容もどんどん膨らんでいった。ま、ゆっくり楽しんでいくよ。

 実は、半ば近くまで読んだところで、浮気してしまった。古川日出男(翻訳)の『平家物語』 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09)に飛びついてしまった。一巻本だし、読みやすいだろうと。
 確かに読みやすかったが、訳調というか語調に違和感を覚えてしまった。違うという感じ。何とか読み通したが、満足感が訪れない。
 そこで、今頃になって、本妻(?)というか古巣に戻ったわけである。

『ショーペンハウアー全集〈3〉意志と表象としての世界』を昨日、読了した。前編と併せ、一か月以上を費やした。通算すると五回目。特に本巻こそは、音楽や絵画などの芸術論や、さらに後半は倫理道徳から宗教論を論じる。

 久々、本書に手を出したのは、ミシェル・ウエルベック著の『ショーペンハウアーとともに』を読んだことが切っ掛けである。読書メーターも含め、ショーペンハウアーの主著を称揚する人は見当たらなかった。そんな中、好きな作家であるウエルベックのこんな本が出たのである。ウエルベックの特に若いころのショーペンハウアーへの傾倒ぶりに刺激されたわけである。

81rolbxxtul_20190824210001 ← 『ショーペンハウアー全集〈3〉意志と表象としての世界』 (斎藤忍随ほか訳 白水社 1973年)

 彼の哲学についてはネットでも調べることができる。吾輩ごときが祖述するのも僭越を超えて蛇足だろう。大切なことは、世界の根源に生への盲目的な意志を喝破していること。地上や水中を問わず、数知れぬ生き物が犇めいている。そうしたあらゆる生き物の生と死は全て生への盲目的な意志の強大な河にあり流されている。ショーペンハウアーは、動植物(の性)に着眼しているが、そもそも地球のみならず太陽系が銀河が、さらに宇宙が何処かから何処かへと動いてやまない。宇宙論ではビッグバンに始まり、今も宇宙は膨張しつつあり、しかも、膨張が加速している。生命が宇宙の膨張の証であり、その前に物質自体が何処かへ向かって、まさに盲目的な意志で以て流れゆくその証なのである。
 かなり私流に我田引水したが、ショーペンハウアーの哲学の視野は想像以上に広いと考えているのである。

 ミシェル・ウエルベック及びショーペンハウアー関連拙稿:
宇宙大の竜の尾
朋あり遠方より来る

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