意識の系脈を辿る
← 『ドストエフスキイ前期短篇集』 ( 米川 正夫訳 福武文庫) 「初恋」「クリスマスと結婚式」「ボルズンコフ」「弱い心」「鰐」所収。
今日は、書類仕事に神経を費やした。公共料金の引き落としを、給料振り込みが変わったことに伴い、変更するための書類作成というわけである。前の銀行は、大学に入った当初からの付き合いなので、あと数年で50年となる(口座そのものは残す)。
今の会社に入った際、なんとなく地元の銀行がいいかなと思ったのだが、引き落としの口座は前の銀行のまま。だから毎月、おカネのやり繰りに神経を使った。何とかしなきゃと思いつつ、腰の重い吾輩のこと、ズルズルと8年も経過してしまった。もうさすがに先延ばしはまずい。しばしば口座におカネが足りなくて、引き落としできませんでしたという通知が来る!
ブコウスキーの『町でいちばんの美女』(新潮社)を読み始めた。評判が高いというか、読み友さんの評価が高かったので。手に取って分かったことは、本書は短編集だってこと。吾輩、町でいちばんの美女と付き合いたかったのに、最初の一篇だけだった。いい女(作品)だったけどね。
『ドストエフスキイ前期短篇集』を読了した。さすがのドストエフスキー節が炸裂。
何故、これら短編集を買ったか、思い出した。我輩は、ドストエフスキー全集を二種類。当然、「作家の日記」を除く小説作品は読んでいる。全集を入手する前は、文庫や単行本でも一度ならず読んだ。が、全集にしか所収でない短編の数々(文庫にも入らない)は、手軽には読めないできた。そこにこれら短編集である。
これらを当時読むことで、ドストエフスキーの小説作品は、全作最低三回は読んだと言えるようになった。ちなみに、長編では、「未成年」だけ三回。比較的馴染めない。
明日から早速、後期短編集を読む。すると、ドストエフスキーの小説作品は、「未成年」を除けば全て四回以上読んだことになる。
それはともかく、ドストエフスキーは若いころからドストエフスキーだ。登場する主人公は、極端に感じやすい。何かに駆られると、行くところまで行ってしまう。その典型が「弱い心」だ。読むのが苦しいほど。救いがないほどに真面目で人にやさしく、自分に妥協を許せない。初めてこの作品を読んだ当時の切なさを思い出してしまった。名作と言っていいのかどうか分からない。よくも悪しくもドストエフスキーの資質が如実に現れていると思うばかり。
← 谷川 健一 (著)『白鳥伝説〈下〉 』 (集英社文庫) 「美しい白鳥の羽の下にどのような秘密が隠されていたのか。 「ひのもと」とは? ヤマトとは? 蝦夷のなかを吹き抜ける縄文の意識の嵐!」
谷川 健一 著の『白鳥伝説〈下〉 』を読了した。
旅の友にしのばせるには内容がやや重いし濃いけど、どうせ旅するなら、大概の人はしないような。バイク旅、美術館、博物館、寺社、観光地、伝統工芸、街並み(これが特に少ない)、絶景。ウーン、月並み。では、他に何が。
本書について感想など吾輩に書けようはずがない。以下、本書の終章における筆者の執筆の意図を多少でも汲み取ることができればと思うだけである:
「天皇家の歴史は(略)意識の連続体として把握することができる。(略)こうした意識の系脈は天皇家のほかにないものだろうか。それは邪馬台国と戦って敗北した物部氏とナガスネヒコの流れを汲む蝦夷にもあったのではないか。このことを理解するためには、まず第一に、縄文時代から弥生時代への移行を社会の断絶と見なさず、主体は連続するものと考えることである。これまでの日本の歴史は弥生時代以前にさかのぼることはなく、縄文時代の歴史は、「前史」として、それ以降の歴史から切り離された。しかし数千年に及ぶ先住民もしくは原住民の生活と意識が、日本の歴史の骨格を、もっとも深部において形づくっていないはずはない。」(p.326)「日本の歴史には、その裏側におそろしい真実が伏せられている! その真実とは、縄文時代から弥生時代へ、弥生時代から古墳時代へと連綿とたどることのできる歴史であり、天皇家の存在よりも古くから、この島国の中央の部分を支配してきた物部氏と蝦夷の歴史である。敗者としての彼らの歴史は抹殺され、ばらばらに解体された。だが、事実の断片を拾い集め、伝承の裏側に流れる意識と照らし合わせることで、もとの形に復元することがまったく不可能なわけではない。その確信の上に立って、私は「平地人」の歴史の地平から「山人」の歴史へと肉迫することを試みた。」(p.328-9)
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