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2019/06/01

読書メーターの賜物

 嘱託になって2年余り。残業は控えてるし、休みの日に会社から突然の仕事のリクエストが入ることもない。
 何より、組合の執行委員長の責務からは逃れられたのが、肩の荷が下りたようで、気が楽。
 その分、庭や畑仕事を増やしている。組合の役員をやっている間に悲惨な状態になっていた庭を少しずつ回復させる作業も、ようやく目途が付いた(立派な庭になったわけではない。しなければならないが溜めていた作業をやり終え、通常の作業の日々になったというだけのこと)。
 この読書メーターを利用して、読書を意識するようになった。他人のことはさておき、毎月何冊読んでいるか常に気になってしまう。のんびりやっていこうと思いつつ、目の前の未読の本の山を見ると、いつになったら山が崩れるのか、プレッシャーみたいになっている。
 でも、それがまた楽しい。休みの日……晴れた日には、バイクでツーリングも楽しむ。貧乏なので、旅先での飲食は楽しめないが、風景というご馳走があれば言うことなしである。
 あとは、書くこと。今月の18日には精密検査。異常が発見されたら手術もあり得る。命がいつまで続くわけもない。自分が非力であるからといって、目先の困難を避けていてはいけない。書くのだ!

 

 今月は冊数こそ少ないが、読んだ頁数は先月に比べそんなに減ったわけではない。源氏関連の本や数学や科学(タコやイカ)の本を読んだり、中身的には充実していたと思う。
 もっと読みたいが、高望みはしないほうがいいのだろう。

5月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:3704
ナイス数:3476

贖罪〈上〉 (新潮文庫)贖罪〈上〉 (新潮文庫)感想
感想なんて書いてられない。さっさと下巻へ!
読了日:05月28日 著者:イアン マキューアン

 

イカ4億年の生存戦略イカ4億年の生存戦略感想
タコ本が続いたので、今度はイカだよね! タコは飼うのが比較的容易だが、イカは難しいとか。養殖に成功している専門家(施設)は数少ないらしい。著者も成功していないとか。理由は、タコは賢くて環境を学習し、慣れるが、イカは、ひたすら真っ直ぐ泳ぎたがるから。水槽で飼おうとしても、壁面に激突し、傷付いてしまうらしい。賢さの差なのか、生き方の差なのか、微妙な気がする。イカに限らないが、海に生きる生物は研究が難しいとか。飼えないし、直ぐに死んじゃうから。3Dプリンターが研究を促進するかも、というのは興味深い。
読了日:05月25日 著者:ダナ・スターフ

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)感想
感想は昨日、書いたことで尽きる。中国のあの時代には、傑出していたと感心した。ただ、推薦する気にはなれないか。訳がいい。さすが竹内さん。詳細な訳註は研究書かと感じるほどで、訳者の力の入りようが分かる。
読了日:05月21日 著者:魯 迅

物理学と神 (講談社学術文庫)物理学と神 (講談社学術文庫)感想
宇宙論を中心に、物理学と神という、特に欧米では重いテーマを扱っている。八百万の神々の日本人には、神という絶対神、唯一神の重さは、対岸の火事を眺めているようなものか。が、科学の探求上は、神の存在とはとっくに縁が切れたはずなのに、宇宙論の進展は、改めて折々の場面で神による天地の創造神話がちらついてしまうのも事実。人間原理という妖怪が死神のように、不死鳥のように最新最先端のはずの宇宙論の闇に跋扈している……のか。
読了日:05月20日 著者:池内 了

中国奥地紀行2 (平凡社ライブラリー)中国奥地紀行2 (平凡社ライブラリー)感想
実に読み応えのある紀行文。観察力、的確な表現力。粘り強い探求心。イギリスの植民地だったりした清においては、特にイギリス人は憎まれ嫌われ恐れられていた。イギリス当局のお墨付きがあるとはいえ、中国の役人の目の届かないところでは、命の危険が常に。実際、投石され頭にけがをしたことも。医者の勧めで病弱の体には外地での療養がいいと長期の旅行(と呼べるのか。海外滞在だよ)に。これが病弱とは思えない(吾輩には)蛮行と言うしかない、困難極まる旅。
読了日:05月18日 著者:イザベラ バード

光る源氏の物語〈下〉光る源氏の物語〈下〉感想
実に読みごたえがあった。対談の充実ぶりに感心。読了に時間を要したのは、読み飛ばしたくなかったこともあるが、引用されている原文を読み解くのに苦労したから。結局、読み切れず、付されている丸谷氏の現代語訳に頼るばかり。情けない。年内にも再読する。谷崎か誰かの現代語訳源氏物語も読みたい。
読了日:05月16日 著者:大野 晋,丸谷 才一

 

フェルメールと天才科学者:17世紀オランダの「光と視覚」の革命フェルメールと天才科学者:17世紀オランダの「光と視覚」の革命感想
17世紀は、ガリレオが自作の天体望遠鏡で大宇宙に目を見開かせ、レーウェンフックが自作したレンズで作った顕微鏡で微細な世界、小宇宙に目を見開かせた。この時代も神と信仰とをどうバランスを取るかは課題であり続けている。太陽は宇宙に一つではないし、月にはクレーターがある。一方、水たまりやそれこそ口の中にも無数の微生物が犇めき蠢いている。神の世界が一極に拡大したのだ。
読了日:05月11日 著者:ロー ラ・J・スナイダー

明治日本散策 東京・日光 (角川ソフィア文庫)明治日本散策 東京・日光 (角川ソフィア文庫)感想
ギメの熱意が素晴らしい。文献などで来日前に勉強はしてきたようだが、ギメはあくまで自分の目で見、聞き、確かめようとする。初めて箸を使う場面は日本人には滑稽だが、彼は真剣。日本の食べ物もチャレンジ。ギメが来た頃は古き良き日本の風俗や文化が濃厚に残っていた。それでも日本は、欧米の技術や文化、風習さえ採り入れた。廃仏毀釈は明治維新の蛮行の最たるもの。寺は破壊され、仏像や掛け軸、浮世絵などの文化財が大量に流出した。ギメは、消され行く日本の光景を惜しんだ。
読了日:05月08日 著者:エミール・ギメ

天空のパイ―計算・思考・存在天空のパイ―計算・思考・存在感想
読んだ充実感たっぷり。初読は十数年前、図書館本で。いつか所蔵して再読したいと願ってきた。でも、高いし、注文しても不可。過日、ネットの古書店でゲット。完全な数学論(数学とは)なんだけど、著者は宇宙物理学者だとか。数学は不思議。基本的には紙と鉛筆(ホワイトボードとペン)で獲られた成果は宇宙の何処にも通用する。その成果はプラトンのイデアなのか。数学は宇宙の言葉なのか。少なくともツールであることは間違いない。
読了日:05月04日 著者:ジョン・D. バロー

光る源氏の物語〈上〉 (中公文庫)光る源氏の物語〈上〉 (中公文庫)感想
実に中身が濃い。物語としての面白さもさることながら、紫式部の本書を書く上での自負心の凄さを本書で教えられた。日本には、飛鳥時代から平安時代前期にかけての6つの史書が残されていて、これを六国史と読んでいる。式部は、これらの中でも有名だし重要な史書である『日本書紀』を鼻で笑っているという。あんなものは、(式部はこういう表現はしていないが)骨皮筋衛門に過ぎないという。中身、つまり、人間がまるで描かれていないからだ。ある意味、六国史に次ぐ重要な、まさに本物の史書だという自負心が式部にはあったらしい。
読了日:05月01日 著者:大野 晋,丸谷 才一

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