黒いマスク 黒いサングラス
← 池内 了著『物理学と神』(講談社学術文庫)
今日から車中にて読む。好きなテーマだし、活字も大きめで読みやすい。
さて読みだしたら、気になることが幾つか。まだ、数十頁しか読んでいないのだが。
八百万の神々の国の宇宙科学者。池内氏に限らず日本の科学者全般に言えそうに思うのだが、唯一神の国、キリスト教やイスラム教、ユダヤ教の国々では神の存在をどう理解し扱うかは、命懸けの深甚なる課題であり続けてきた。今も、である。が、日本人にはその真剣さが理解不能か、せいぜい歴史の話(過去のこと)。
読んでいて、神に翻弄されてきた科学者や哲学者(本書では扱われていないが政治家や文学者、芸術家、さらには一般の信徒を含めて)をおちょくるとまでは言わないが、揶揄しているような感じを受けてしまう。だから、本書の議論も、射程が(当然ながら)日本にしか及ばない。唯一神の神は、日本人には他人事なのだ。
しかし、それでは欧米を含む仏教以外の三大宗教(圏)の抱える精神の危機は見えてこないだろう。どうやったって、内輪の議論に終始することは想像に難くない。
リチャード・ドーキンスやダニエル・デネットの火を吹くような議論……を参考に、なんて、無いものねだりですね。
デカルトの哲学を参照するのに、哲学史などの文献を参考にするのって、どうなのか。せめて、デカルトの本(翻訳書)を参考にすべきでは。一般向けだから敢えてなのか。
← ロー ラ・J・スナイダー著『フェルメールと天才科学者 17世紀オランダの「光と視覚」の革命』(黒木章人訳 原書房 )「フェルメールの『地理学者』『天文学者』のモデルとされる顕微鏡科学者レーウェンフック。長年謎だった二人の運命的な関係を新たに解明し、光学の発展と科学革命が17世紀オランダにもたらした「見る」概念の大転換点を解説」。
ロー ラ・J・スナイダー著の『フェルメールと天才科学者 17世紀オランダの「光と視覚」の革命』を読了した。
17世紀は、ガリレオが自作の天体望遠鏡で大宇宙に目を見開かせ、レーウェンフックが自作したレンズで作った顕微鏡で微細な世界、小宇宙に目を見開かせた。この時代も神と信仰とをどうバランスを取るかは課題であり続けている。太陽は宇宙に一つではないし、月にはクレーターがある。一方、水たまりやそれこそ口の中にも無数の微生物が犇めき蠢いている。神の世界が一極に拡大したのだ。
一方、フェルメールは、レーウェンフックという、ある意味、レーウェンフックら科学者の先端のツールを使って風景を人物を新しい目で見、表現する試みに没頭した。レンズの齎した世界をどう表現するか。単にレーウェンフックで齎された相貌をそのまま描くわけではなかった。新規な道具を得たからと言って、あくまで画家としての光の変幻を独自に描く姿勢は変わっていない。科学者のような姿勢で眼前の世界を見ても、画家の魂の目で創造することがフェルメールの秘密だった。
天才画家のフェルメールと天才科学者のレーウェンフックは、デルフトにほぼ同じころ生まれた。近所だったし、いろんな形で関りがあったろうことも傍証される。だが、二人が直接交わったという証拠は、筆者の丹念な調査にも関わらず、最後まであったに違いないという憶測にとどまっている。
残念といえば残念だが、そんなこと以上に、二人の天才が間近でそれぞれに新しい世界を切り拓いたことが肝要なのだろう。
ところで本書では、理性の哲学者デカルトに対比する形で、経験を重視する哲学者フランシス・ベーコンとなっている。なるほどさもあらん。だが、デカルトの真髄は、徹底した原理への還元主義だろう。その典型がデカルト座標だ。微細な点で空間が表現される。その発想がとことん貫かれている。神の存在証明はいただけないが。
いずれにしても、デカルトの哲学の射程はベーコンよりはるかに鋭く長い。
何年か前、大気汚染がひどいと話題になった中国。テレビには、真っ黒のマスクの人々が映る。白いマスクが当たり前の我々には異様な光景。今や、観光で来る中国人の姿は、我が富山でも珍しくなく、黒マスクの中国人も珍しくない。黒マスクは買った経験がない。機能は違うのか。今や黒マスクでも中国人とは限らないのか。
昔、サングラスが街中では見慣れなかった頃、サングラスなのか、黒い眼鏡なのか、サングラスをした優男を見かけると、その筋の怖いお兄さんかなって。でも、今じゃ、サングラスはファッション(その割には、気の弱い吾輩は未だサングラスできない)。そのように、黒マスクも日本人だって平気でするようになるのでしょうか。街頭インタビューやアンケート希望!
気の弱い吾輩は、黒マスク、買えない。白マスクとは効果が違うのか。日傘は昔は明るい色が当たり前だったのが、黒っぽいほうが紫外線対策になると言われ出して黒系統に。マスクも、効能はともかく、紫外線には黒いほうが強そう。
← ルキアノス (著)『本当の話―ルキアノス短篇集』 (呉 茂一 (翻訳) ちくま文庫)
上掲の池内了著『物理学と神』にてルキアノスの諸作品に言及されていた。
ジュール・ベルヌ(月世界旅行)やガリバー旅行記などの先駆となった古代ギリシャの風刺詩人。古代ギリシャには、地球の大きさをかなりの精度で算出した人物もいる。アリストテレスやプラトンやアルキメデス、ターレス、パルメニデス、アナクサゴラス、ユークリッド……。とんでもない時代だ。大航海時代の冒険者たちのバイブルだとも。
ルキアノスというと、昔、好奇心で「遊女の話」だけ、図書館で読んだような。内容、忘れた。
とにかく、いつか、本書に限らずルキアノスの本を読みたくなった。
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