理系も文系も
← ブッツァーティ 著『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』(脇 功 訳 岩波文庫)「人生という時の流れの残酷さ,死や破滅への憧憬など,人間を取り巻く状況の不可知性を,象徴的・寓意的な手法で描いた15の短篇.イタリア幻想文学の精華」
ブッツァーティ 著の『七人の使者・神を見た犬 他十三篇』を一昨日、車中で読み始めた。昨日今日と連休だったので、やはり自宅で読むべき本と、一気に読了。
不条理の世界を高ぶることなく、それでいて読むものは自然に何か胸が痛むような切迫したものを与えつつ描いている。戦後のヨーロッパで理論ばかりが先行する、頭でっかちの小説が持て囃される中、彼は淡々と自らの流儀を貫いて、ついには世界で高い評価を得た。
情けないことに、小生がブッツァーティを知ったのは、ホントについ最近で彼の名作『タタール人の砂漠』を書店でたまたま見つけのだった。パラッと読んで、読める、読むに堪えると直感。この本は、ほとんどを車中で読んだのだが、面白く、大半を待機中に読み通してしまったほど。
他にも本がないかと探していたら、あるではないか、本書が、である。
彼の小説は、ある限られた世界、閉ざされた世界での、つまりは情報が限定された時空で、主人公が、あるいは地域の人々が、時には、家の中や列車の中で運命共同体となっている人々が、何かしらの観念や思い込み、幻想、妄想(に翻弄される姿を描く。
現代と違って(視点を変えると今もそうだろうが)、情報が寸断された地域や空間が随所に生まれやすい。テレビもラジオもなく、情報はせいぜい伝聞だったりすると、乏しい情報が独り歩きする。あるいは、周りのみんなは知っているが(知っていると思っているが)、主人公だけが仲間外れにされて、不毛な迷走を強いられてしまう。
そんな状況はネットが発達していようがありうる。仲間外れは例外ではないのだ。
不条理の世界、カフカ的迷妄の世界をブッツァーティは、大人の冷めた視線で描いて、秀逸である。
← 今日は終日、雨。雨の中のカエデも風情がある。ついこの間まで枯れ木のようだったカエデが今は、新緑。逞しいまでの生命力。思い返すと、昨秋、落ち葉の季節の直前、かなり枝葉を剪定した。少しでも落ち葉に翻弄されるのを避けようと。なのに、春になると、反ってさっぱりしたと言わんばかりに枝葉を茂らせる。
今日はガスの点検やら、町内会費の集金など気ぜわしい一日。有り難かったのは、ガスの点検のついでにボイラーの調子を見てくれたり、閉まらなくて開きっ放しの襖をしめてもらったりしてもらったこと。いずれは、瞬間湯沸かし器の交換や、エアコンの設置を期待してのことだろうが、それはそれとして助かった。
← 著者ジョン・D・バロー『天空のパイ 計算・思考・存在』(訳者林大 みすず書房)
十数年前に図書館本で読んだ。数学の周辺を巡る本の中でも秀逸。蔵書にしたくて何度か注文したけど、入手叶わず。古本でゲット(今では死語寸前の初版!)。原書は1992年に刊行。訳書は2003年。
今日から自宅で読む。
古い? そんなの関係ない。バローの中でも一番お気にいり。以来、バローの訳書は必ず入手し読んできた。源氏物語を巡る本と並行して読む。別に他意はない。強いて言えば、理系と文系の両極に跨がりたいという、ペダンティックな欲求のなせる業(わざ)かもしれない。
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