« 色のこと染織のこと | トップページ | 苗字・名前の順がいい »

2019/04/17

カースト制度とカーマスートラ

 イザベラ・バード 著の『中国奥地紀行 1』(金坂清則 訳 平凡社ライブラリー) を読み続けている。

 さすが、イザベラ・バードの紀行文は読ませる。清朝末期の皇帝や官僚らじゃない、庶民のヴァイタリティをイキイキ描いてくれている。特権のある奴等は、生きる目的を失い阿片に溺れたようだが、一方で逞しく生きる人々も多い。病気や貧困に喘ぐ人々も数知れず。日本人には馴染みのない時代だし人々。でも、こういった時代を経て今日の中国がある。

1555482326391385  ← 16日の夕方近く。滅多に見ることの叶わない、素晴らしい立山連峰。稜線も鮮やか。 

 子供の頃……学生になるまでは、立山連峰の向こうは、別世界でした。文学も哲学も、およそ文化は山の向こうの成果。自分が何をするにしても、山を越えることは叶わない……。心を豊かにしてくれる山々ですが、同時に越えられない山でもあったわけです。超えないで(じたばたしないで)山の内にこもっている限りは平温な生活が約束されている……ような。勿論、幻想に過ぎないのですが。

『コレクターズ版世界文学全集 (1) スタンダール 赤と黒』 ( 鈴木力衛 (翻訳)  日本ブック・クラブ )を読み続けている。1972年に第一巻が出た、見た目も豪華な本。大学に入学して間もなく買った。

 確か、ドストエフスキーの『罪と罰』も、このコレクターズ版で買ったっけ。
 装丁は立派なのに、誤植なのか校正ミスなのか、特に名前のミスが目立つ。スナールなのに、スーナルと何度も。これだけ重なると、小説上の意味が何かあるのかと勘繰ってみるが、やはりミス。見掛け倒しってことか。

 ようやく半ばを過ぎた。なかなか一気に読めない。調べてみたら、初読の時も、ちびちびだった。プルーストというわけにはいかないけど、ある時期までのフランス文学は貴族らの集まりでの、思惑や権謀術数や機知に富んだ会話を描けないとお話しにならない。スタンダールもうまく書きこなしている。明日から連休なので、残りの200頁あまりを一気に読みたい。庭や畑仕事もあるけどさ。

1555488608033672 ← 内庭のカエデ。いよいよ新緑。目に青葉を実感する。 

 今朝も庭仕事。ちょっとだけのつもりが、ムキになり始め、気が付くと二時間ほども。それでも、昨年より成長したのは、トングを手にしていること。部屋着で突っ掛けで、素手(当然、無帽)だけど、手や指先が泥に塗れないだけでも、褒めておく?

 楓に限らず、害虫対策は気を使いますね。我が家では、モミの木が(理由は不明ながら)枯れてしまいました。内庭には、カエデと松が父のお気に入りでした。その松、大きくなり、庭側じゃなく、車道側に傾き始めてしまいました。強風の折など、松葉が車道に散らばって、掃除が大変。雪が降ると、松の枝葉に降り積もり、溜まった雪がドッと落ちる。余儀なく、上のほう数メートルを伐採。それでも、残った部分だけでもドンと存在感を発しています。そうそう、カエデって、子供たくさん、残しますね。庭のあちこちに育ってくる。生命力が強いんですね。

 携帯で通信料金が安くなるとか。これまでは頻繁に機種を買い替える人にお得な料金体系だったとか。吾輩のように、一度買った機種を大事にする者には不利な料金体系だった。ずっと端末代を負担するなどして損してきたわけだ。不公平な扱いで損した分を返せ、と言いたい。携帯会社には、機種を大事にするという発想はないんだね。吾輩は、格安スマホに替えたよ。ほんと、バカにしてやがる。

51v5ibv1yal__sl500__4 ← ヴァーツヤーヤナ著『バートン版 カーマ・スートラ』 (大場 正史訳 角川文庫ソフィア) 「愛と性の深淵を丹念に、かつ実践的に探求した古代インドの愛の教典」!

  ヴァーツヤーヤナ著の『バートン版 カーマ・スートラ』を読了した。
 読みだした当初、以下のように書いた:
 インドは、カースト制度の国である。現代では、表向きは否定されているようだが、実態は変わっていないと仄聞する。徹底した身分制と徹底した男尊女卑。本書が書かれたのは、著者とされる人物が二千年前のようだから、古代。万人に向けて、男女の在り方や夫婦の心得などを説いた。まるで、男女を対等に扱っているかのよう。さて、では実際はどうなのだろう? まずは、虚心坦懐に読む。

 といいつつ、実際に読みだしてみると、案の定というべきか、かなりひどい箇所もあった。娼婦たる女性の嗜みなどを称揚しているようだが、その実、明らかに完全に男の都合から書いている。どう見てもレイプなのだが、その女性の表情仕草をも男は楽しみ、悲痛なはずの女性の苦悩(の表現)をも嗜みとして制度化している。
 時代が今以上に身分や男女の差が歴然としていたことを考慮しないといけないのだろう。王族や貴族でない限り、女性がのし上がるには、娼婦など限られた手段しかなかったと考えるしかない。その名残がインドなどは濃厚に残っているようだ。
 男の側、既得権益を持つ側からしたら、有利な立場を手放すはずもない。一方、欧米を中心とする男女平等の趨勢はインドへも押し寄せている。世界の中で存在感を示すには、乗り越えていかないとならない。

|

« 色のこと染織のこと | トップページ | 苗字・名前の順がいい »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

恋愛・心と体」カテゴリの記事

写真日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 色のこと染織のこと | トップページ | 苗字・名前の順がいい »