元号が変わっても変わらないこと
新元号の初日。だけど、福島原発事故などの被災や被災者の苦しみは、元号が変わっても続く。
桑田佳祐のひとり紅白歌合戦を録画、聴いている。いい! DVDは、無理なので、CDほしいな。
さて、読書。三月来のタコ本からスタンダール、中国の古典、源氏関連本と、まずまずの内容かな。
4月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:3943
ナイス数:3468
金瓶梅 1 (岩波文庫 赤 14-1)の感想
「金瓶梅は、猥書なり」とは、本書の序の冒頭の言葉。「水滸伝」のスピンアウト作品。「水滸伝」は英雄豪傑の話に終始するが、それでも淫する話題が少々ある。その部分を思いっきり膨らませたというべきか。色恋の話だが、英雄も女や色、カネには惑う。小説的な展開は、やがて「紅楼夢」へと道を拓いた。 面白かったのだが、全10冊。挿絵が豊富。場面を忠実に描いているし、愁嘆場でもあるのだが、色事の真っ最中を描いているわけではない……のは残念。
読了日:04月30日 著者:笑笑生
七人の使者・神を見た犬 他十三篇 (岩波文庫)の感想
不条理の世界を高ぶることなく、それでいて読むものは自然に何か胸が痛むような切迫したものを与えつつ描いている。戦後のヨーロッパで理論ばかりが先行する、頭でっかちの小説が持て囃される中、彼は淡々と自らの流儀を貫いて、ついには世界で高い評価を得た。彼の小説は、ある限られた世界、閉ざされた世界での、つまりは情報が限定された時空で、主人公が、あるいは地域の人々が、時には、家の中や列車の中で運命共同体となっている人々が、何かしらの観念や思い込み、幻想、妄想(に翻弄される姿を描く。
読了日:04月26日 著者:ブッツァーティ
中国奥地紀行1 (平凡社ライブラリー)の感想
日本(東北)や朝鮮、ハワイなどの紀行を読んできた。ここまで来たら、中国にも付き合うということで、本書を手に取った。虚弱な体を癒すために始めた紀行だが、旅のハードさを乗り越える姿勢には逞しさすら感じる。
読了日:04月24日 著者:イザベラ バード
科学者の夜想 (地人選書 21)の感想
本書は昭和61年の本。古い…のだろう。特にエッセイとはいえ、サイエンスをメインの書なのだから、言及されるデータや研究成果は最新であることが肝要だろう。実際、自分が一般向けであろうと、サイエンス本を買う場合は、よほど、古典とされるような本とか、高名な学者の著作でない限り、新刊から興味を惹く本を選ぶ。 正直、題名の夜想という文言に釣られたという側面も否めない。吾輩には殺し文句なのだ。その上で、本書を読んで、なるほど今では古くなった話題が多いのは事実。それでも、最後は科学とは、人間力だと感じさせられた。
読了日:04月22日 著者:ルイス・トマス
コレクターズ版世界文学全集 (1) スタンダール 赤と黒の感想
やはり素晴らしい。感想……書けないくらい。初めて読んだとき、今ほど素晴らしいって思ったろうか。あの頃は、ドストエフスキーに圧倒されていたから、感激も掻き消されていたかもしれない。
読了日:04月19日 著者:スタンダール
バートン版 カーマ・スートラ (角川文庫―角川文庫ソフィア)の感想
インドは、カースト制度の国である。現代では、表向きは否定されているようだが、実態は変わっていないと仄聞する。徹底した身分制と徹底した男尊女卑。本書が書かれたのは、著者とされる人物が二千年前のようだから、古代。万人に向けて、男女の在り方や夫婦の心得などを説いた。まるで、男女を対等に扱っているかのよう。さて、では実際はどうなのだろう? まずは、虚心坦懐に読み始めた。
読了日:04月16日 著者:ヴァーツヤーヤナ
緋の舟の感想
本書を読み始めた日、以下のように呟いた: 染色作家の志村ふくみ氏と批評家の若松英輔氏との往復書簡。共に我輩には初めての人物。染色作家という仕事に惹かれた。もっと云うと、石工にしろ、大工にしろ、彫刻家(わけても石碑や墓石の)にしろ、漆喰などの左官、電気(電機)工事士、歯科技工士、彫金作家などなど、実務の専門家の仕事や発想、心構えが気になる。人間国宝の志村氏を彼らと同列にするわけではないが、日頃、接することのない、プロの仕事(に対する姿勢)を垣間見たいのだ。
読了日:04月11日 著者:志村ふくみ,若松英輔
グアテマラ伝説集 (岩波文庫)の感想
アストゥリアスの作品を読むのは初めて。ボルヘスやマルケス、ドノソなど、南米の文学は少しは読んできたが、高名だし、始祖というべきアストゥリアス作品は手付かずだった。とりあえず、入門編ということで本書を選んだ。 かなり期待したが、読んでみて、詩的センスの乏しい吾輩には苦手な世界だった。世界に入りきれない。詩文風なのだが、そのイメージの喚起力が自分の感性のツボを射ないのである。
読了日:04月10日 著者:M.A.アストゥリアス
隠れた脳の感想
昔なら無意識という言葉をやや無邪気に、あるいは好きな風に解釈して使っていたものだ。背景には、フロイトの影響もまだ強かったこともあろう(吾輩自身は、今は、振り子が逆に振れ過ぎていると感じている)。 本書も無意識という言葉が頻出する。隠れた脳というのも、昔なら無意識という言葉乃至概念で表現しようとしていただろう、人間の行動への本人も伺い知れない、あるいは自覚しきれていない、特に集団での行動の傾向を左右する脳の仕組みというところか。 言葉に敏感なものには、やや粗雑な無意識という概念の使い方に辟易するだろう。
読了日:04月08日 著者:シャンカール・ヴェダンタム
聊斎志異〈上〉 (岩波文庫)の感想
似たような趣向の掌編が多い印象を受けた。比べるのは、やや無理があるのを承知で言えば、ふと、福永武彦編訳の『今昔物語』を思い浮かべてしまった。福永訳の力か、平安時代の闇を浮かび上がらせてくれて興味深かったからか、どうしても面白さの点では、福永武彦編訳の『今昔物語』に軍配を上げてしまう。話の要になるのは、美女。そんな稀有な女の色香に男は迷ってしまう。ただ、男が発情すると、目の前の女はみんな絶世の美女に見えてしまうという言い方も可能かなとも思ったり。
読了日:04月07日 著者:蒲 松齢
ウィトゲンシュタイン セレクション 平凡社ライブラリーの感想
彼の本を読むのは久しぶり。高校三年の頃から関心を寄せてきた。前期と後期で哲学の姿勢や課題が変貌したとされるのが、黒田氏の研究などもあって、一貫して追求しているテーマがあるとされてきた。それは語りえることと語りえないことの峻別。およそ哲学者が語ることは明晰でなければいけないし、何を語っているか分かっていなければいけない。痛みは語り得るか。私の痛みなる考えは示せるか。存在しないのか。
読了日:04月04日 著者:ルートウィヒ ウィトゲンシュタイン
愛しのオクトパス――海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界の感想
著者は、ナチュラリスト。タコの体には青い血が流れ、三つの心臓が脈打っている。神出鬼没で変幻自在。短い生を好奇心たっぷりに過ごす。多くは単独で生きる。子を孕むと、食べるものも食べず、ひたすら卵を守る。子が孵ったら、力尽きたように間もなく朽ち果ててしまう。
読了日:04月03日 著者:サイ・モンゴメリー
読書メーター
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