私の天才は私の鼻孔の中に
← Jane M. Orient (著)『サパイラ 身体診察のアートとサイエンス 原書第4版』 (監訳:須藤 博 /藤田 芳郎/徳田 安春/岩田 健太郎 医学書院) 「身体診察は文化の違いや時代を超えた臨床医学のアート。筆者から直接回診で教わっているような語り口を通じて、本書にはPhysical Examinationを賢く経験するための英知、箴言がぎっしり詰まっている」。
今日は雨。週日の雨。風さえ吹いて。お蔭で(?)、庭など外仕事を堂々とサボれる。
さて、上掲書は、いま読んでいるホロウィッツ著の「犬であるとはどういうことか」にて参照されている。
患者の息から検知できる匂いの「ブーケ」について一節まるまる割いて述べているとか。
著者によると、診療に匂いを積極的に使っている人はまずいないという。
ホロウィッツによると、現代の医学テキストを見れば、診断材料としての匂いに対する無関心ぶりははっきりしている。ただひとつだけ例外がある。それは、感染症の領域だとか。
合格祈願されるされる立場にあったとして、全員を希望通りとはいかないし、どういう基準で、明暗を分けるんだろう? 賽銭の額か、お参りの回数か、男女で差別するのか、地元優先か、縁故か、権勢か、住職との馴れ合いか、現役優先か、多浪こそ優先か、健康次第か、老い先短い人をこそ慈悲の念で贔屓にするか、神か仏の好みのタイプを贔屓にするか、悩むだろうなー。
家の回り以外にも、純然たる市道、生活道路、つまり公道として提供(?)している敷地が200平米ほど。
親はずっと固定資産税、払ってきた。感謝状の一つも寄越せ!と言いたくなる。我が家から離れている道路なので(昔は我が家の田圃だった)、スーパーへ行く際など、わざわざその道を通っていったり。長年税金を払っているわりに、この体たらく。コストパフォーマンス、悪過ぎ!
← アレクサンドラ・ホロウィッツ 著『犬であるとはどういうことか その鼻が教える匂いの世界』(竹内和世 訳 白揚社) 「犬の認知行動の権威がユニークな観察をとおして、匂いで世界を知ること=「犬であるということ」を明らかにする」
アレクサンドラ・ホロウィッツによると、フリードリッヒ・ニーチェは、匂いを嗅ぐのが好きだった。「わたしの天才は鼻孔にある」と書いているとか。
あれー、初耳。曲がりなりにも(かなり余計な回り道したが)西洋哲学科卒だし、ニーチェの主著は一通り読んだけど(西尾氏による、浩瀚な伝記も読んだのに)、そんな話しは初耳だ。迂闊にも、ただの面白いエピソードだくらいに見逃したのか。
読み直さないと、特に匂いを嗅ぐのが好きってことと、彼の哲学との関りを意識して!
などと、7日の朝、呟いた。
早速だが、簡単に調べてみたところ、上掲の言葉の出典は、『この人を見よ』(ニーチェ/著、西尾幹二/訳 新潮文庫)にあるらしい。
「私がはじめて真理を発見するに至ったのは、まず嘘を嘘として感じとった――嗅ぎつけた、そのことによってである。……私の天才は私の鼻孔の中にある」という言葉があるようだ。
当然ながら、本書も読んだが、印象に残っていない。
嗅覚の自慢ということではなく、欺瞞を許さないある種の宗教的道徳的潔癖さが、いかにもアフォリズムの天才でもあるニーチェらしく、「私の天才は私の鼻孔の中にある」という卓抜した文学的表現に至ったのだろう。
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