辺境は辺境にあらず ? !
中井亮佑[著]『追跡!辺境微生物 砂漠・温泉から北極・南極まで』を読了した。
昨日の営業が、この8年で一番暇で、車中での待機中の時間が長い。
スマホを弄ったり、ナビのテレビを見たり、ちょびちょびと本書を読んだ……にも関わらず、120頁も読めてしまった。
トイレも、天気が良かったので、これまでより遠い場所のを散歩も兼ねてあちこちへ。
さて本書。腸内細菌も含め、細菌や苔などの本は、この数年の我が読書上のマイブームである。本書もそうした関心の趣くままに手にした。
若き研究者の悪戦苦闘の研究者生活の一端が伺えて面白かった。
ただ、先輩などいろんな方たちのお蔭を被っていることは分かるが、感謝の言があまりに頻度が多い。下手すると内輪話になりかねない。
一か所か二か所で言及すれば分かることではなかろうか。感謝の気持ちが熱いのはわかるのだが、やや鬱陶しい。
本書の感想は吾輩が語るのは烏滸がましい。細菌(バクテリア)も含めた微生物研究が近年熱い。分かってきたことも多いが未知のことも多々。
しかも、本書の最後の部分で大きな謎が提示されている。最後に来て、これはあんまり。
ところで、辺境微生物だが、人間には想像を絶する厳しい、人間には立ち入れない環境に生息する微生物という意味合いが常識的な理解。
だが、本書で、人間には厳しくても、あるいはそこで生きる微生物には最適であり、居心地がいい可能性もある
、という指摘は言われてみればなるほどである。
その場合、生存競争に負けて、居心地のいい場所を追い出されて、ようやく安住の地を見出したのか、そうじゃなく、嫌気の種もあるし、高熱環境を好み(そもそもバクテリアが生まれた環境に近い)自ら求めての環境なのか。
いろいろ可能性が考えられ、興味深い。
余談だが、厳しい環境に余儀なく追いやられていた微生物が、研究者らの手で、本来的に最適な環境に置かれ、これ幸いとばかりに大繁殖し、それが実は人類に脅威となる怪物だった、なんて(ありがちな)SFを妄想してしまった。
← 中井亮佑[著]『追跡!辺境微生物 砂漠・温泉から北極・南極まで』(築地書館) 「研究者の情熱とフィールドワークの醍醐味、驚きに満ちた発見、 研究の最前線もわかる充実の一冊」
「つちふる」は、黄砂など、大気中を飛来する(今で云う)エアロゾルのこと。春の季語。芭蕉の「奥の細道」にも出てくる。そうだっけか。「奥の細道」は、何度も読んだのに、「つちふる」なる言葉の印象(記憶)がない。ああ、なんたる不覚。本書にて知る……改めて!
自宅だし、せっかくなのでパソコンで調べてみる。
「土降る・霾る(つちふる)とは - コトバンク」によると、「大辞林 第三版の解説」として:
土降る・霾る(読み)つちふる黄砂こうさ④ が降ってくる。 [季] 春。 「雲端に-・る心地して/奥の細道」
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