3月の読書メーター
タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源の感想
本書を読了した。タコ。食べるのも好き。ワカメのタコやキュウリの酢の物を今日も食べたばかり。だけど、タコに犬並みの心があると知ると、これからはちょっと躊躇われる……けど、食べますね。
葛飾北斎の版画でも有名だ:『蛸と海女』
読了日:03月29日 著者:ピーター・ゴドフリー=スミス77冊から読む 科学と不確実な社会の感想
さすが、海部さん。どの本も読みたくなった。特に、日本の原発政策がいかに杜撰だったかを物語る数冊が印象的。名だたる科学者の、原子力は基礎から地道にという声を無視して、まともな技術者も育てず、結果、事故に至った。津浪の危険も何度も指摘されてきたのに、政府も東電もそんな声を封殺してきた。本書、お薦め。77冊のうち、14冊は既読だった。多い? 少ない?
読了日:03月28日 著者:海部 宣男
タクシー (角川文庫)の感想
さすが、森村さんは、タクシー事情の周辺をよく調べられている。職業柄、タクシー関連の本は、大概読んできた。森村さんの作品は、他のタクシーモノの杜撰さとは違う。惜しむらくは、カーナビもGPSもなかった時代の話で、もはや今では昔の話になってしまっていること。それにしても、タクシーの客に幽霊が、という話、多いね。なぜだろう。
読了日:03月23日 著者:森村 誠一
進化の意外な順序ー感情、意識、創造性と文化の起源の感想
アルゴリズム万能主義の世にあって、その危うさをダマシオは説く。人間(生き物)は、中枢神経系に象徴される知能のみで生きているわけではない。内臓や皮膚も含めた肉体全体という、総合的な存在。その存在感は、我々が感情という、アルゴリズムの範疇には(当面、あるいは相当研究が進むまでは)入りきれていない、曖昧だけど極めて生き物にとって大切なサバイバル機能が考慮されていない。ロボットには、アルゴリズムの能力を高めても、感情モドキが加わってくるのは可能性として乏しい。
読了日:03月23日 著者:アントニオ・ダマシオ
意識の川をゆく: 脳神経科医が探る「心」の起源の感想
サックス最後の本。遺稿集。フロイトの精神分析医になる前の優れた研究者としての実績、ダーウィンも優れた研究者だったことは、彼らの著書も伝記も読んできた自分には目新しくはなかった。でも、改めて研究者としての着実な歩みを再認識した。サックス自身、幼い頃からの、豊かな前史があることは、素晴らしい自伝「タングステンおじさん」で何度となく確かめてきた。
読了日:03月19日 著者:オリヴァー・サックス
ツアンポー峡谷の謎 (岩波文庫)の感想
イギリスの植物採集家で探検家。本書は、東チベット、特にツアンポー大屈曲部の探検を扱っている。著者は、ヒマラヤ、チベットの研究者には知られている人物だとか。第一次大戦当時、兵役についた以外、生涯を通して定職につかず、プラント・ハンターとして生きた。ちなみに父は、ケンブリッジ大学の植物学の教授だったことも。
ヒマラヤ山脈の北西部はお、東西交流の要衝の地であり、砂漠地帯。比較的話題に上る地域でもある。一方、北東部は、水浸しの土地柄であり、高山であり、熱帯雨林気候であり、高山植物と針葉樹林地帯。
読了日:03月16日 著者:F. キングドン‐ウォード
世界の名著〈第14〉アウグスティヌス (1968年)の感想
一か月以上を費やして読んできた『世界の名著〈第14〉アウグスティヌス』を30年以上ぶりに読了した。
敬虔な気持ちで…この上なく真剣で熱い信仰心、神への祈りと問いかけに鞭打たれるつもりで、読んできた。が、悲しいかな、段々、何か鬱陶しいものを感じてきてしまった。
何が問題というわけではない。恐らくは吾輩の怠惰が堂に入ってしまった心が、アウグスティヌスの信仰心を眩しく感じさせてきたのだろう。
読了日:03月12日 著者:アウグスティヌス
犬であるとはどういうことか―その鼻が教える匂いの世界の感想
犬の嗅覚、その能力の凄さは、知れば知るほど思い知る。その能力を何かのマシンで代用できれば、犯罪捜査などにどれほど役立つことか。しかし、そんな嗅覚探知ツールが身近にあったら、浮気は不可能になる! お漏らしも隠せない! ま、そんなことより、本書を読んで感じたのは、人と犬との、ますますの寄り添い(互いに必用とし合う)と同時に、互いの(多分永遠の)もどかしさ。犬の嗅覚能力を知り、匂いの世界を何としても言葉にしたがる人間。が、犬は匂いの世界に生きている。だが、彼等は言葉にはしない。
読了日:03月09日 著者:アレクサンドラ・ホロウィッツ
冷血 (新潮文庫)の感想
実に読み応えのある文章で、サスペンス物だったら、最初からネタバレじゃ、読む意欲が失われるはずが、最後まで読ませる筆力はかなりのもの。
ただ、本書を読んで一体、題名の「冷血」とは誰を指しているのか、分からなくなった。カポーティの取材の賜物なのかもしれないが、犯人二人は冷酷非道の輩とは思えないのだ。
犯人たちは二人とも、血の通った人間だと感じさせられるのだ。少なくとも一人は精神鑑定が必要だったろうし、一人は不幸な家庭事情が見えてきて、同情はしないものの、犯行に至るのもやむを得ないのかとも思わせられる。
読了日:03月05日 著者:トルーマン カポーティ
追跡!辺境微生物ー砂漠・温泉から北極・南極までの感想
本書の感想は吾輩が語るのは烏滸がましい。細菌(バクテリア)も含めた微生物研究が近年熱い。分かってきたことも多いが未知のことも多々。
しかも、本書の最後の部分で大きな謎が提示されている。最後に来て、これはあんまり。
ところで、辺境微生物だが、人間には想像を絶する厳しい、人間には立ち入れない環境に生息する微生物という意味合いが常識的な理解。
だが、本書で、人間には厳しくても、あるいはそこで生きる微生物には最適であり、居心地がいい可能性もある
、という指摘は言われてみればなるほどである。
読了日:03月03日 著者:中井 亮佑
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