世界最大のツアンポー峡谷
← アントニオ・ダマシオ 著『進化の意外な順序 感情、意識、創造性と文化の起源』(高橋洋 訳 白揚社) 「太古の単細胞生物から、神経系の構築、感情や意識の出現、そして創造性へ――(中略) 彼の独自理論をさらに深化させ、文化の誕生に至る進化を読み解く独創的な論考」とか。
朝九時頃、トイレに。すると、窓外からウグイスの鳴き声。久しぶり。今度は、鳴き声も堂に入っている。部屋に戻り、スマホを手に外へ。相変わらず鳴き声がする。が、四囲を見渡しても姿が見えない。
今年も今のところ、撮影が叶わないでいる。
雨。氷雨。寒い。外仕事しなくて済むのがありがたいが、洗濯が問題。やむなく、久しぶりに部屋干し。窓辺に干すので、部屋が暗い。
と思ったら、午後の四時頃には雨が上がった。となると、庭仕事。とうとう、薄暗くなりだした六時過ぎまで、庭いじりと相成った。
出来心で、パック入りのダイコンおろしを買ってきた。さて、どう使う? 豆腐にかけて、醤油を垂らす? やはり、そのまま醤油を垂らして? 納豆に加える?
すると、その呟きにレスがあり、ソバかうどんに加えるなんてアイデアを頂いた。早速、夕食で天ブラソバにダイコンおろし。美味かった。
アントニオ・ダマシオ 著の『進化の意外な順序 感情、意識、創造性と文化の起源』を一昨日から読みだした。
以下は、冒頭の数十頁を読んでいての感想と、自分なりの予断めいた基本認識。
約40乃至38億年前、原始的な生命が誕生。細菌と呼べるかも分か。らない微生物。生命の基本原理の一つは、遺伝子。誕生当初の生命体に遺伝子機構があっただろうか。生命の定義として、ホメオスタシスがある。生命体の外から何かを吸収し、何かを排泄し、一定の仕組みを維持する、その安定してある状態を維持すること。それができて、原始的な生命体が成ったとする。その上で、その仕組みを次世代へ伝える遺伝子機構が備わった。
原核細胞、やがてずっとあとになって真核細胞が生まれた。何れにしろ、生命の歴史の大半は細胞だけが占めていた。遺伝子機構もだが、細胞間の競争以上に協力関係も築かれていった。人間が意味するものではないとしても、意志の疎通のノウハウが成っていた。多細胞生物は勿論、人間は新参モノ。近年ようやく人間と微生物との共生が注目され始めている。が、ここには大いなる錯覚、勘違いが潜んでいる。
言われているように、腸内だけでさえ、人間の体細胞(約10兆から30兆)の数倍、約100兆が棲んでいる。人体の周りとなると、人体の10倍以上とも。そう、我々人間が細胞たちと共生しているのではなく、小生も常々強調しているように、細胞……微生物の大海の只中を漂流している、つまり、多細胞生物たちは、細胞の海に寄生させてもらって、やっと生かせてもらっているのだ。このことは、何を意味するか。
本書の記述はまさにこうした、生命観の大前提を覆すことから始まっている。やがて、神経が出来、神経系が成り、ついには中枢神経系……脳が成る。大きなイベントではある。ただ、ここで肝要なことは、神経系は後付けであり、細胞群(体)をいかしめる道具なのだという点。我々が、心とか気分と呼んでいる、つかみ所のない、でもある意味、一番大事なものこそが、細胞群が生んでいて、体の維持を、恒常性を保たせている。脳は、心や気分を感じ取れても、左右するのが困難なのは、中枢神経系をも包含する人体の内外の百数十兆の意志(スピノザの云うコイトゥスか)こそが主役だから。
← F.キングドン-ウォード 著『ツアンポー峡谷の謎 植物採集家による東ヒマラヤ探検記』(金子民雄 訳 岩波文庫) 「ヒマラヤ山脈に長い流路を刻むツアンポー川.その流れに沿って,植物採集家たちは,1924年から1年にわたり,東ヒマラヤ,チベットを旅した.(中略) 探検の記録」。
今日中には読了できそう。休み休みながら、10日余りで。
ヒマラヤの裏手、チベットからブータンへの長く、険しい、道なき道の旅。零下の世界。猛烈な風雪が突如襲来し、ホワイトアウトはしばしば。断崖絶壁に囲まれた渓谷をひたすら乏しい情報と勘を頼りに踏破する。泊まる当てなどあれどもなきが如し。未知同然の土地の人たちと交渉する日々。珍しい植物に狂奔する場面が印象的。無難な日常に馴れた自分には、旅に出て、今夜の宿の当てがないだけでも、不安でならない。しかも、地図のないような、極寒の険しい高地。本だから擬似体験できる。
以上は、今朝の呟き。そのF.キングドン-ウォード 著の『ツアンポー峡谷の謎 植物採集家による東ヒマラヤ探検記』を読了した。
イギリスの植物採集家で探検家。本書は、東チベット、特にツアンポー大屈曲部の探検を扱っている。著者は、ヒマラヤ、チベットの研究者には知られている人物だとか。第一次大戦当時、兵役についた以外、生涯を通して定職につかず、プラント・ハンターとして生きた。ちなみに父は、ケンブリッジ大学の植物学の教授だったことも。
ヒマラヤ山脈の北西部はお、東西交流の要衝の地であり、砂漠地帯。比較的話題に上る地域でもある。一方、北東部は、水浸しの土地柄であり、高山であり、熱帯雨林気候であり、高山植物と針葉樹林地帯。
この湿潤な地域を(依頼されて)植物採集を目的の探検していた。旅の目的は、植物調査や高度測定、そして謎の「虹の滝」の確認もあった。が、確認できなかった。それだけ険しい地域だったのである。
ちなみに、1998年度の中国による、ツアンポー峡谷調査の結果、この峡谷の全容が明らかになった。グランドキャニオンをも上回る峡谷であると分かった。
これまで随時、居ながらにして、こんな冒険を体験できることをありがたく思うばかりである。
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