謎の果物
← ゴーゴリ【作】『外套・鼻 (改版)』(平井 肇【訳】 岩波文庫) 「小役人アカーキュウィッチにとって,外套を新調することは生涯の大事件である.彼の心は裁縫師の一針一針に怪しく燃え上った.運命に辱められた不幸な人々への憐憫の情溢れる『外套』.ある日突然顔から脱け出し,歩き廻り出した自分の鼻を追って狂奔する下級役人を描く幻想的な物語『鼻』」。画像は、アマゾンより。
昭和13年初版で、昭和47年発行。我輩の蔵書か、父のか。
多分、今回で手にするのは少なくとも3回目。傑作。「狂人日記」を読んだ流れで。
ドストエフスキーなどへも強く影響。ただ、独特の諧謔というかユーモラスな表現は、真似できない。「オブローモフ」のゴンチャロフくらいかな。
併載の「鼻」も、身につまされつつも読む。
食事休憩などを挟みつつも、夜半過ぎには読めるかな。
→ 謎の果物。法事参列の返礼品の中に。生まれて初めて目にした、食べた。思いっきりジューシー。真っ二つにしようとしたら、真ん中に大きな核……種? 黄色の実。甘くジューシー。美味しくて、皮の裏も、核の周りにへばりつく実を、そう、アイスクリームの蓋の裏を嘗めるように、かじりとってまで食べた。あと、ひとつある。ほかにも謎のでっかい果物やイチゴなどが入っていた。明日、検診なんだけど、カロリーオーバーになりそう。
昨日、車で親戚宅へ。すると、通りすがりの庭先の梅の木に淡いピンクの小花がちらほら。春の予感。富山にも春が来ている。……のだが、我が家の庭先の梅の木はまるで開花していない。我が家に春は遠いのか……。
以下は、「犬が地べたを嗅ぎ回る」の中の一節への追記的呟き:
漱石の「我輩は……」にしても、犬版にして、家族や近所、出入りする人物たちの、生の(リアルな)肉体的相関図を感情や狭隘なモラルに囚われずに、淡々と描写したら、とんでもない地獄絵(阿鼻叫喚)図が示されちゃうだろうなー。
← ゴーゴリ 著『狂人日記 他二篇』(横田 瑞穂 訳 岩波文庫) 吾輩が読んだ蔵書は、『狂人日記 他一篇』。古すぎてか、もう売られていないようだ。訳者は、平井肇である。
初版は、昭和12年。旧字体。父の蔵書なのかな。でも、学生時代、読んだ記憶がある。ゴーゴリは好きな作家。有名な作品は、一通り読んだし、繰り返し読んだ作品も何作か。ただ、本作品は1度しか読んでない気がする。面白くないから…じゃなく、旧字体で敷居が高い。だからと云って買い替えるのも癪だよね。
「狂人日記」のみ、今朝までに読了。意外。長編ではないとしても、中編くらいの作品と思っていたが、50頁ほどの短編だった。再読してみて、佳品と感じた。ゴーゴリならもっと突っ込めそう。狂人本人(正気だと思っている)のモノローグ風な物語。面白いが物足りない。「死せる魂」などもだが、怪奇ものの「ヴィイ」は傑作。「羅馬(ローマ)」は読み辛い。読み通すのも苦痛。
学生時代に読んだ本の再読。『狂人日記』は、さすがのゴーゴリ作品。貶められている下級役人。溜まる憤懣。しかしプライドは踏みつけにされればされるほど、エネルギーは溜まり、やがて爆発する……のだが、語り手である本人は、自分はホントはとんでもなく偉い人なのだ、たまたま屈辱的な地位にあるが、やがて外国から俺を迎えに来る。そうしたら、見下していた連中を見返してやれる…はずなのだが…。諧謔と当時のロシア社会を描く執拗な叙述と。併載の『羅馬(ローマ)』などは、詩文。読み手を選ぶかも。
生活苦や階級的憤懣は、狂気へと。それが内面へ、つまり自分へ向かうか、それとも、外部へ、つまり政治活動、さらにはテロへ向かうか、そんな時代の瀬戸際にあって、ゴーゴリは作家…創作活動に狂気を噴出させたということか。
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