2019年1月の読書メーター
吾輩にしては読んだほうかな。年末年始、一週間ほど休んだからかな。雪も降らず、除雪はほぼなし。その分、草むしりに落ち葉拾い。
1月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:4453
ナイス数:2664
タタール人の砂漠 (岩波文庫)の感想
軍人であり、戦闘状況を渇望しつつも、辺境の地でいつ来るともしれぬ敵を警戒し、同時にあまりに長い生煮え状況に、敵の姿を待望する。
ただひたすらに待ち続ける中、同僚や後輩は、出世し、あるいは町に戻っていく。気が付けば青春などどこの話というような齢になってしまっている。
切望していた(?)敵がいよいよ! が、何たる皮肉か、彼は病に倒れ、砦には邪魔な存在として、遠ざけられてしまう。
読了日:01月30日 著者:ブッツァーティ
プレシャス (河出文庫)の感想
薄っぺらい本。だけど中身は濃くて重い。12際で父親にレイプされ障害児を生む(レイプは幼児の頃から)。更に父親にエイズを移され出産。母親には、夫を奪ったと詰られ、子供らの養育費は母親が手に。でも、凄さというのはこの先で、特殊な学校に曲がりなりに通い、文字を単語を文章を習い身に付けていく過程。文字通り、這い上がろうと必死に。作品の表現も、無明から日が射しかけるその過程を表すかのよう。作家の表現力であり、翻訳の力でもある。
読了日:01月28日 著者:サファイア
植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システムの感想
人間を含む動物は、植物なしで生きられない。動物の回りには植物がおり、そのベースにはバクテリアがいる。そのまたベースには、ウイルスという半生命体が。宇宙観も生命観も、今、大変貌を遂げつつある。
不思議だけど、哲学が変貌する現代でもある。
世界の政治地図も根底から揺らぎつつある。アメリカと中国の覇権争いと、喧伝されているけど、AIの爆発力は想像を超えるものがありそう。既に導火線に火が。世界の構図が一変しそう。
読了日:01月25日 著者:ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ
懐風藻 (講談社学術文庫)の感想
日本初の文学を意識した漢詩集。古代日本形成期の英傑たちが、やや背伸び気味ながらも、漢詩などの素養を身に付けようとしていた、懸命さのみなぎる「懐風藻」。これはこれで感じるものがあった。漢詩は、折々読む。背伸びしてもね。次は、「唐詩選」へ!
読了日:01月23日 著者:江口 孝夫
明治劇談 ランプの下(もと)にて (岩波文庫)の感想
半七捕物帖が大好き。妙に懐かしい感じがする。とっくに引退した半七に、ある若者が取り扱った事件について話を聞く。座談。話芸。江戸の世相や雰囲気が生き生き、彷彿と浮かび上がる。江戸の文化や風習、気風を引き摺っていた明治の古老の話をたっぷりと聞いてきた綺堂ならでは。本書には捕物帖の話は全く出てこず、まさか違う(同名異人の)書き手かと、焦ったくらい。明治五年生れの綺堂は、明治の常磐津や浄瑠璃や芝居にどっぷり浸かってきた。綺堂の父が団十郎と交流があったり。実際、後年、歌舞伎などの芝居の脚本も書いている。
読了日:01月22日 著者:岡本 綺堂
魂に息づく科学:ドーキンスの反ポピュリズム宣言の感想
いかにもドーキンスらしい、諧謔と知的遊び心と、生真面目なほどに紋切り型の欧米の神信心の勢力への徹底した論難。
同時に、ドーキンスの言う科学は、社会にとって必要なものであると同時に、それ以上に、魂にとっての驚異なのである。アメリカの先住民族たちが、「グランド・キャニオンの縁で深い宇宙と遠い昔について黙考している魂にとっての驚異」に比高できるものなのである。
読了日:01月19日 著者:リチャード・ ドーキンス
生命の星の条件を探るの感想
生命の育まれた地球の環境を列挙すると、①地表に水があること。②大陸があること。③プレートテクトニクスがあること。④生命がいること。これでも条件を緩めにしたもの。生命体にはリンが不可欠とか、そのほか、生命が誕生し持続するには、様々な条件が不可欠となる。
(中略)
では、まったく違う条件の惑星などで生命は生まれ得るのか、生まれたとして持続できるのか。
本書を読むと、かなり厳しいと(吾輩のような)素人は考えがち。
やはり、地球は奇跡の星なんだ、と。
読了日:01月15日 著者:阿部 豊
フォッサマグナ 日本列島を分断する巨大地溝の正体 (ブルーバックス)の感想
仕事があまりに暇で、車中での待機中に一昨日読み始めたのが、二日目の今日。、あっさり読了してしまった。
専門的な内容であり、感想を言う立場にない。
雑談だけメモっておく。
駿河湾、相模湾、富山湾は、フォッサマグナが形成される前にはつながっていたとみられるとか。オオグチボヤが富山湾と相模湾に見つかるなど。
読了日:01月13日 著者:藤岡 換太郎
失われた時を求めて(13)――見出された時I (岩波文庫 (全14巻))の感想
全14巻のうちの13巻目。長丁場の翻訳作業は、ひたすらご苦労様と言うしかない。あと一冊。今夏の出版を目標に訳されているとか。
鈴木氏訳の3巻本や、文学全集所載の井上氏の訳(たぶん、全体の3分の一)などを読んできたが、全体を通して読んだことはない。今夏、最終巻を読めば、初となる。楽しみ。
読了日:01月11日 著者:プルースト
クラシックの核心: バッハからグールドまでの感想
一気に読むのが勿体なくて、一日に一章に制限しようと思ったのだが、三日目には残りの3章を一気に読んでしまった。
クラシックにも疎い小生が本書を論評するなど僭越極まる。
同氏は幼いころからクラシックに親しんできた。
ただ、本当に出会ったのは、テレビ番組の主題歌などを通じて次第にだったなんて、話は、共感以上に、ええ? あのウルトラマンや忍者ハットリくんの音楽にクラシックなんて、と、ひたすら驚くばかり。 吾輩は何を聴いていたのやら。
それにしても、専門は政治思想史とは驚きだった。
読了日:01月09日 著者:片山 杜秀
土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて (光文社新書)の感想
日本の水田は、環境条件に恵まれている。スギ林からのカリウムの含まれる養分補給がされている。山からの天然の肥料というわけである。連作障害が少ないのもメリットだろう。
ここには詳しく事情を説明する余裕はないが、著者は気になる指摘もしている。
読了日:01月06日 著者:藤井 一至
腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するかの感想
今、腸(体に関わる細菌)のみならず、AIや宇宙観も含め、大変貌を遂げつつあることは、本ブログでもメモってきた。「腸や腸内微生物は、身体はもちろん心の影響にさえ、非常に大きな影響を及ぼすことがわかってきた」のだ。
例えば、「人間自身が持つ遺伝子の数は、およそ二万二〇〇〇だが、この数は人体の内部や表面に存在する遺伝子の総数の一パーセント相当にすぎず、残りの九九パーセントはマイクロバイオータが保有する」。
読了日:01月04日 著者:エムラン・メイヤー
大洪水 (河出文庫)の感想
これまで啓示めいた衝撃を幾度となく受けてきたが、本書は格別なものがあった。
ある意味、詩や詩文、詩想に疎い自分が、ル・クレジオの書を味読するのに、二十歳前に初めて『物質的恍惚』や『愛する大地』などを読んで以来、40年ほどを要したということかもしれない。
感想などは書かない。本書でも、痺れる箇所は随所にあったのだが、本書を各当時のル・クレジオの自分への違和感を抉り取ったと感じる記述を一か所だけ転記して、感想に代える。(注:以下は、本文からの抜粋です)
読了日:01月01日 著者:J M G ル クレジオ
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