無残やな山茶花散って血溜まりか
← 藤井一至/著『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』(光文社新書) 「世界の土はたった12種類。しかし、毎日の食卓を支え、地球の未来を支えてくれる本当に「肥沃な土」はどこにある? そもそも土とは一体何なのか?泥にまみれて地球を巡った研究者の汗と涙がにじむ、一綴りの宝の地図」。
一昨日、車道沿いにあるサザンカから散る花びらの掃除をしたが、今日は、隣家の山茶花の花びら掃除。通りかかったら、凄まじいほどの散りよう。
無残やな山茶花の花血溜まりか ……である。
隣家は年配のご夫婦で、犬の散歩くらいはするが、雑草退治や落ち葉掃除は望み薄。吾輩がやるしかない。気が付いたら、いつもよりも一時間ほど長い、3時間近く、草むしりやら花びらや落ち葉拾い。
ずっと、ウンチングスタイルで疲れた。
藤井一至著の『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』を三日、車中での待機中に読み始めた。
五日、今年二回目の仕事の日も、車中での待機中に読んでいて、夜半までに本文はほぼ読了。
残り十頁ほどを、帰宅してからの楽しみにと残しておいた。
著者名、何処かで聞いたような、と思ったら、以前、同氏の著書「大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち 」(ヤマケイ新書)を読んだことがあった。富山県の立山辺りが出身らしい。
その本についての感想は以下:
本書は、「大地の五億年」とあるが、現代の農業や食の在り方にも深刻な問題を突きつけている。食卓に上る食品も、植物オイルも、割りばしも木材も、合板も何もかもが世界中の農業や経済事情に関わっている。日本の山は、昔から鬱蒼と生い茂っていたように錯覚しているが、過去、木々が片っ端から伐採され、はげ山になることもしばしばだったとか。日本も狩猟採集だけじゃなく、焼き畑農業も盛んに行われてきた痕跡が見られるという。土と生物は、深く相関している。土と共に生きるしかない人類は、土壌の在り方にもっと関心を抱いてもいいだろう。
『土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて』については、以下のように呟いている:
大地を離れては、人どころか、どんな生き物の生存はありえない。大地を踏みしめるのはいいけど、踏みつけにしてはいけない。
我々に馴染みの土は(今のところ)地球上にしか存在しない。何故なら気温の変化や日光、風雨などによる侵食・風化もだが、バクテリアなどによる腐敗も土の成り立ちに不可欠。
土は、多様な生物たちの生きる証でもある。
、
日本の土壌が酸性度が高いのは、火山国ってことより(酸性雨のせいでもなく)、土壌でのバクテリアなどの活動が活発だから。葉っぱなどを食べると、二酸化炭素が排出される。それが土壌を酸性にする主因。
日本の水田は、環境条件に恵まれている。スギ林からのカリウムの含まれる養分補給がされている。山からの天然の肥料というわけである。連作障害が少ないのもメリットだろう。
ここには詳しく事情を説明する余裕はないが、著者は気になる指摘もしている。
「土に恵まれていることは必ずしも健康と直結していない。一つの地域の農産物ばかりを食べていると栄養素が偏るリスクがある反面、いろんな地域の土壌に由来する農産物が集まる都市部ではそもそも食に気を配らないために、よほど不健康な人が多いという。スーパーでいろんな産地の食材を選ぶことが、自分の健康にも産地の応援にもつながる」という。
いろんな食材を選ぶだけじゃなく、いろんな地域の産物を選ぶことも大事のようだ。
余談だが、本書を読んで気になった点がある。
それは、ベストセラーとなった、やはり若き研究者の著書である、前野ウルド浩太郎/著『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)をかなり意識しているのではと、勘繰りたくなる箇所が随所に。
乏しい研究予算と、世界各地を訪れて、蚊などの虫に悩まされつつ、地道に研究する姿勢は望ましい。
実際、『バッタを倒しにアフリカへ』は、「エンターテイメント的な本として、バッタ好きならずとも読んで楽しめる本なのである」。
しかし、柳の下の泥鰌を狙ってはいけない。媚びを売っているように感じられかねないのだ。
地道は地道に徹したほうがいいのではと、老婆心ながら思った(著者が実際に柳の下を狙ったかどうかは分からない)。
← 片山 杜秀 著『クラシックの核心 バッハからグールドまで』(河出書房新社)
片山杜秀著の『クラシックの核心 バッハからグールドまで』を読み始めた。
以下、本書を読んでいての呟き:
片山杜秀の本は、初めて。NHK-FMの『クラシックの迷宮』は、車中での少ない楽しみの一つ。語りが軽快で詳しく且つ面白いので、音楽(クラシックかジャズ)関連の本を読むのは昔から好きなこともあり、手を出した。音楽通には有名のようだが、我輩にはFM番組で知った。昨夜から読み始めた。第一章は学生時代から聞き始めたバッハ(片山氏は子供の頃から)。眼からウロコってほどに面白く、一気に読んだ。今後の章は、敢えて日に一章ずつ読んでいきたいが、自制できることやら。
松坂慶子が子役時代、「ウルトラセブン」や「忍者ハットリクン」に出ていたとか。「ウルトラセブン」に付せられていた音楽には、クラシックが多かった(有名曲をそのまま使うことも)。それは、音楽担当が冬木透という作曲家で、主題歌も含め作曲していた。松坂慶子扮する美少女の体内に宇宙生物ダリーが棲みつく……ダリーは、あのダリから取った名前だとか。
川上徹太郎に「ドン・ジョヴァンニ」(講談社学術文庫)なる、モーツァルト論攷を集めた本があるらしい。
「モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」こそ音楽における無比の到達点である。モーツァルトの真髄をオペラ作家として捉えることによって、小林秀雄のモーツァルト観と際立った対比を示す長編評論を中心に、音楽批評から出発して近代文芸批評の確立者となった河上徹太郎の、30年間にわたって書き継がれた珠玉のモーツァルト論を初めて集成。天才音楽家の無垢の魂を生き生きと描出する名著」とか。小林らのモーツァルト観(論)に影響大らしい。
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