南天は高さ2メートルまで
でも、今冬は、つい、サボってしまった。だからだろう、冠雪の重みに堪えかねている。
束になって伸びていく南天だが、2メートルを越えるとさすがに雪の重みに堪えられない。アドバイスには、雪国ならではの教訓でもあるのだと勝手に悟った次第である。
← J・M・G・ル・クレジオ 著『大洪水』(望月 芳郎 訳 河出文庫) 「生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くに至る青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の十三日間の物語」。クレジオの長編第一作。『調書』の前後に書かれたとか。
ル・クレジオ作の『大洪水』を大晦日の夜半に読了した。解説部分を翌朝に持ち越したのは、年初の一冊目をル・クレジオにしたかったから。
これまで啓示めいた衝撃を幾度となく受けてきたが、本書は格別なものがあった。
ある意味、詩や詩文、詩想に疎い自分が、ル・クレジオの書を味読するのに、二十歳前に初めて『物質的恍惚』や『愛する大地』などを読んで以来、40年ほどを要したということかもしれない。
感想などは書かない。本書でも、痺れる箇所は随所にあったのだが、本書を各当時のル・クレジオの自分への違和感を抉り取ったと感じる記述を一か所だけ転記して、感想に代える:
(前略)あなたの人生、黄色くなり、かびがはえ、究極の転落へと沈んでゆく肉体のしなびた生活は、認識され、繰り返しいわれるだろう。それは地殻変動のようなスケールをとることだろう。あなたはあなた自身の力によって生きながら呑みこまれ、あなたのエネルギーはあなたの喪失のために費やされるだろう。あなたはベッソンだ。あなたは生きている。いつか、あなたは骸骨の束となり、屍肉、棺のなかの虫のゼラチン状の色褪せた物質となってしまうだろう。いつか、砂浜に寝ころがるようにあおむけに寝ころがるだろうが、大地はもはやあなたを支えず、あなたのからだの下はゆるやかに開かれ、その穴は深まり、墓のくさい空気のクッションとなってゆくのを感じるだろう。黒い大理石のような厚みは、またあなたをその日と切りはなすのだ。だが過ぎてゆく一秒一秒は、あなたを保護する砦を次第にむしばんでゆく。(中略 静かな雨は)私の眼を濡らし、下着を重くする。この平和、この調和から、やがて地獄の別な形が生まれてくる。やさしさ、静けさは、私をすりつぶす悔恨である。水はうがたれた穴のなかを流れ、私は、その水が私をすこしずつ運んでゆくことを知っている。それは私の秘密をひとつずつあばいてゆく。(p.371)
引用したい箇所は、多々あり、きりがない。下手すると、本作品の半分にさえなりかねない。
→ 十年近く前、京都駅前で撮影した、京都タワーと鉄腕アトムのツーショット。 (画像は、拙稿「「アトムが飛んだ日」からタクシー稼業のこと」より)
呟きで、ある方が京都の旅をアップされているのをずっとフォローしていた。最後は京都タワーの夜景。訪ねる場所は違うが、なつかしい気持ちで眺めていた。
京都へは、何度も。ただし、旅行では修学旅行でだけ。あとは、入院や通院。そのついでに、自分への御褒美(?)で、ちょっとだけ観光。
二条城や京都御所は何度も。比叡山延暦寺や金閣寺、銀閣寺など。
最後には、どうしても訪ねたかった哲学の道へ。
← プルースト 作『失われた時を求めて 13 見出された時 I』 (吉川 一義 訳 岩波文庫) 「第一次大戦さなかのパリで,変貌する人びと社会.それを見つめる語り手は,文学についての啓示を得る」
年初は、この本『失われた時を求めて 13 』 から。このあとは、翻訳については、もう残すところ一冊限り。
翻訳と同時並行して読んできた。たいていは半年余りで刊行されるのが、時には一年ほどのブランクがあって、心配したことも。何年も費やしての偉業。ただただ、恙なく全うしてほしいと思うだけ。
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