『悪魔祓い』から『大洪水』へ
← ル・クレジオ【著】『悪魔祓い』(高山 鉄男【訳】 岩波文庫) 「無文字社会に生きながらも、あらゆる書字言語(エクリチュール)に先行する叡智を保持し、近代人の病である所有という概念に抵抗するインディオ社会の宇宙観。西欧文明と先住アメリカ社会のヴィジョンの対立をストレートに描く、現代文明批判の書」
年末は天気が荒れるということで、買い出しに行ってきた。ついでに、年越しそばも買ってきた。が、もう、食べてしまった。我慢できんかった。これじゃ、明後日くらいには、買い出し、もう一回、いかんといけんな。ソバ、久しぶりに食べたら、美味かった。
昨日から、ル・クレジオ作の『悪魔祓い』を読み始めた。期せずして、J・M・G・ル・クレジオ 著『大洪水』(望月 芳郎 訳 河出文庫)と並行して読むことになった。
多分、再読。以前は、掲載されている写真などに惹かれてだったような。南米やインディオへの関心は薄かった(マヤやインカは別として)。今は、マルケスらを除いても、中南米の文学のみならず、文化や歴史に関心を抱き、関連書も立て続けに読んできた。若き日の精神的危機に陥っていたル・クレジオ、インディオらの文化や精神にどんな脱出口を見出だしたのか。
なんて、昨日、車中での待機中に読み始めたのだが、同日夜半までにほとんど読んでしまい、帰宅後、ひと眠りしたあと、今朝までに読了してしまった。
ル・クレジオは、学生時代だったか、『物質的恍惚』や『愛する大地』を読んで以来、折に触れ、彼の作品を読んできた。
初めはかなり見当違いな読み方をしてきたと、今更ながらに思う。詩人の感性をまるで持ち合わせない小生だから、仕方ないとはいえ、それでも、この数年だけでも、『海を見たことがなかった少年』や『隔離の島』『物質的恍惚』(再読)などを読んできた。
中南米の作家の本も立て続けによんできて、それなりに味わって読めるようになっている(と自分では思っている)。
本書『悪魔祓い』を読んで感じるのは、クレジオが若き日の欧米文化への徹底した忌避感から、インディオ社会の宇宙観にどれほど遭遇していたのかは、疑問に感じられた。
ある種閉塞された世界がインディオの文化によって出口を見出した思いをしたのだろうが、だからといって、インディオの世界にどれほど触れ得ていたかは別問題だと感じる。
自分のような中南米文化音痴が読んでも、ル・クレジオがあくまで彼の思い込みの中で心が開かれる思いを抱いたのだろうと見做したくなる。
それはそれとして、別に南米文化理解のためにル・クレジオを読むわけではなく、あくまでル・クレジオ作品を読み楽しみことが眼目なのだ。
その意味で、今読んでいる、若き日の作品『大洪水』をじっくり楽しみたい。
ル・クレジオ関連拙稿:
「ル・クレジオ…物質的恍惚!」
「風邪を引いて『隔離の島』へ」
← J・M・G・ル・クレジオ 著『大洪水』(望月 芳郎 訳 河出文庫) 「生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くに至る青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の十三日間の物語」。クレジオの長編第一作。『調書』の前後に書かれたとか。
日中、小止みなく降っていた冷たい雨。夕方、不意にシーン。ああ、やばいなーと外を窺うと、案の定、霙っぽい。まもなく雪に変わるのだろう。そんな寒い午後、年内最後の庭仕事。水道管に菰を巻き、庭や畑の道具類を作業小屋に仕舞い、落ち葉を拾い、雑草を少々毟り取り、スコップを用意。雨の中、合羽を羽織っての作業。薄暗くなってくると、なんだか孤独な雰囲気が漂ってくる。作業後、急いでシャワーを浴びる。雪、そこそこにしてほしいなー。
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