カフカ「城」からル・クレジオ「大洪水」へ
→ クロガネモチか万両か。SNSサイトでいろいろ教えていただいて、実の生り方や木の高さ、葉っぱなどから、クロガネモチと結論。名称もカネモチだしね?! 名札、下げないと、来年までには、名前、忘れそう。
予約していた本が届いたということで、やや風はあるものの、薄日だったこともあり、バイクを駆って書店へ。
25日はクリスマスの日。さぞかし、若い女子店員がサンタじゃないが、赤い服で働いているかと思いきや、中年以上の店員ばかりだった。
なるほど、今日のような日に、若い女性は働かない(デートで出払っている)ってことか。
年末には年内最後の通院へ。その日は土曜日。予約を入れたら、「あなたいつもギリギリに来るけど、最後の日だし、もっと早く来てください! ガチャン!」だった。こっちは真夜中過ぎまでの仕事で、昼前後に行くのだって、やっとなんだよ、なんて事情は聴く耳を持たないのね。
← 『カフカ全集〈6〉城 』(マックス・ブロート/編集 前田敬作訳 1981年 新潮社) 「測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な“城”は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない……。」
『カフカ全集〈6〉城 』(マックス・ブロート/編集 前田敬作訳 1981年 新潮社)を読了した。
本書では2回目。文庫本でも一度、読んだことがあるので、本作は3回目となる。
やはり、類書などまったく考えられない作品。本書には、補遺もたっぷり。その断片群すらカフカだ。
目の前に目当ての城があるのに、どうやってもたどり着けない。あがけばあがくほど、混迷の中に沈み込んでいく。
一体、何を描いているのか。神へ至る道? 卑近に言えば、1920年代、いよいよ肥大してきた官僚制度の、絡み合いもつれ合ってほどけない網の目にもがく市民? もっと身近に引き寄せると、それなりの町に生まれ育った男が、謎の城の暗黙の支配に雁字搦めとなっている村に紛れ込み、どうやっても溶け込むことのできない悪戦苦闘?
昨日は、「カフカと量子論と」なんて中途半端な感想を書いたが、城につながる人はそこここにいる。それなりにコンタクトも取れなくはない。あるいは時に村人のほうから寄ってくることすらある。村の異物として排除されているし、逆に城へ、あるいは村に置いて存在を確保するために絆を求められたりもする。
異邦人であり、異物なのだが、主人公Kはあくまでめげることなく戦い続ける。まさに不毛なるヒーローでもある。
← J・M・G・ル・クレジオ 著『大洪水』(望月 芳郎 訳 河出文庫) 「生の中に遍在する死を逃れて錯乱と狂気のうちに太陽で眼を焼くに至る青年ベッソン(プロヴァンス語で双子の意)の十三日間の物語」。クレジオの長編第一作。『調書』の前後に書かれたとか。初期の本なのに、読み残していた。ようやく手にした。今日から読む。
だから、地元の人たちにとっても、城の関係者にとっても厄介であり、邪険にされるのだが、さて、Kはいつかどこかへたどり着くことができるのだろうか。
謎の多い作品。解釈がいかようにでもできそうな作品。でも、きっと誰にも解きほぐせないだろう作品でもある。
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