吾輩を震撼させた哲学書の数々
某SNSサイト(読書メーター)で、心理学(哲学)関連の文献を探しているという呟きが。
小生に情報を提供できる素養もない。
ただ、若いころの自分……特に高校から大学にかけての数年の間で吾輩が震撼させられたり、その世界に魅入られてしまった心理や意識や宗教的心情を描いたり、分析し尽くしている書籍を何冊か、思い出すままに呟きの形で挙げてみた:
◎ キェルケゴール (著)『死に至る病』 (岩波文庫など)
心理学というか、やはり哲学なんだろうけど、キルケゴールほどに心理の隘路に分け入った思想家はいないだろう。彼の諸著を読み浸ったばっかりに、大概の小説や詩が甘く感じられてならなくなった。その隘路から抜け出すのに何年を費やしたことか。というか、嵌まり込んだままなんじゃないのか?!
◎ ショーペンハウエル著『意志と表象としての世界』
我輩を一番虜にした哲学者は、デカルトか、ヴィトゲンシュタインか、それともやはりショーペンハウエルか。主著である「意志と表象としての世界」は、それぞれ違う訳者で、通算して4回読んだ。挙げ句、全集まで揃えてしまって。そろそろ、5回目の時期かな。新訳は、出そうにないし、さて、誰の翻訳で読むか、それが問題だ。
◎ W.ジェイムズ (著) 『宗教的経験の諸相 上・下』 (桝田 啓三郎 (翻訳) 岩波文庫)
若き日の自分を熱中させた心理学の本は少なからずある。フロイトは別格として(性について極端に禁欲的、つまり偽善的だった当時の世相下にあって、現代から見たら過度に性に拘っていると、揶揄気味に評価されがちだけど、依然としてユンクやアードラーより遥かに再読再評価すべき思想家だ)、最近挙げた心理学関連の書籍に加え、本書も挙げなくてはならない。人には、宗教的としか評する言葉のない瞬間、心理状態が間違いなくある。それは、愛するという狂気をも時に圧倒する。
→ 朝9時頃、外は白銀一色。これがほんとに白銀だったら、大喜びで拾いまくるのだが。犬は喜び庭駆け回るって、ワンちゃんには、雪が白銀に見えてるのかなー?
◎ ダニエル.パウル・シュレーバー (著)『ある神経病者の回想録』 (講談社学術文庫)
この本も繰り返し読んだっけ。同じ頃、違う出版社から(当然、違う訳者で!)刊行されたことに戸惑ったものだ。というか、一冊買って、暫くして書店で本を物色していて、似て非なる本を発見し、我が目を疑ったよ。
◎ W.ブランケンブルク (著)『自明性の喪失―分裂病の現象学』 (木村 敏 (翻訳) みすず書房)
神経病者(昔は、精神病者とか精神分裂病者とか呼称されていた)というけれど、本人は極めて明晰な知性の人物。彼の回想を読んでいると、カントの明晰で判明な意識や自覚なんてものの根拠が危うくなる。どれだけ深甚なる反省を自らなそうと、疑っても疑いきれないはずの自我なるものが信じられなくなる。では、一体何処に出口を見出だせばいいのか。そもそも、自分では自分が正常だとしか思えないのだよ!
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